メーカーの人たちが便利さを追求してくれたおかげで、今の時代、生活する上で不便を感じることが少なくなった。たとえ、あったとしても、誰かがめざとく不便さを見つけ出し、対策品をこしらえてしまうから、使い勝手の悪さにずっとストレスを感じていることはまずない。
冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ……、性能も使い勝手もいきつくところまで、行ってしまった感がある。そのなか、これでもまだ、不便に感じる余地が残っている商品群もある。それは、世に出たばかりの新しい商品であることが少なくない。
生まれてまだ、年月がさほど経ってなく、改善の余地が残されている商品群の代表といえば、「電子マネー」である。Edy(エディ)、Suica(スイカ)、nanaco(ナナコ)、WAON(ワオン)と、ここ数年で次々と新たなものが登場している。私はSuicaが登場した直後から電子マネーを利用し始めた。今では、電車やバスの運賃支払いだけでなく、自動販売機や小売店などで、電子マネーで支払いができるときは、積極的に利用している。
お釣りのやり取りがないのが、面倒くさがりのぐうたら主婦に適しているのである。だが、一つだけ、電子マネーを不便に思うことがあった。それは、残高がわかりにくいことだ。
改札を出るときゲートが閉まる恥ずかしさ
駅の改札を通ると、改札機の表示窓にカード残高が表示されるので、気にしてみるようにしているのだが、混んでいると、自分以外の人の残高が表示されることがある。あるいは、せっかく残高が表示されても、歩いているうちに金額が頭から抜けてしまうことがある。店でSuicaで支払おうと思っても、残高が足りなかったら恥ずかしいので、引っ込めてしまうこともあった。
そんな私がひと目ぼれ、欲しいと思ったのが、電子マネービュアー「RELET(リレット)」である。カード型のリレットを電子マネーと重ね合わせて、ボタンを押す。すると、表示窓に残高が現れるのである。まあ、便利! いつでも、どこでも、残高が確認できるから、改札を出るとき、残高不足でゲートが閉じ、恥ずかしい思いをしなくてもすむわっ。
リレットを初めて目にしたとき、使うたびに毎回、電子マネーとリレットを重ね合わせていたら、面倒くさいと思っていた。ところが、実際使ってみると、そんな面倒なことは不要であった。カードケースがついているのである。ここにあらかじめ、電子マネーとリレットを入れておけば、わざわざ重ね合わすこともなく、残高を知りたいときに、ボタンを押せば全て解決するようになっている。
実は、使う前は、このリレットが邪魔をして、改札機での読み取りが鈍くなるのではないか、という疑う気持ちもあった。5回に1回くらいは、改札を通るときにエラーになるのではないか、などとちょっとだけ意地悪な期待を心に置きながら、使用していた。
ところが、使い始めてから10日間くらい経つが、今のところ全く影響なし、快適である。電子マネーで支払いした後、ボタンを押す。表示窓にぱっと現れる残高。これが意外と快感である。
専用ケースに入れて使う
厚みは4.5mmあるが、カードケースに入れておく分には問題なし。気にならないレベルである。重さは電池込みで21g。軽いので、バッグに入れても負担にならない。
利用できるカードはEdy、Suica、nanaco、PASMO、WAON。そのほか、2010年4月時点、メーカー側で動作確認しているカードが、ICOCA、IruCa、Kitaca、SUGOCA、SAPICA、TOICA、nimoca、PASPY、はやかけん、PiTaPa(JR利用分)である。つまり、Felica技術を利用した、交通カードや買い物用の電子マネー、ICカードで利用できる。
価格はマイコミジャーナルの価格情報(2010年4月17日現在)で、5,750~8,379円で出ていた。本体には、専用ケースがついているのだが、使っているうちに、専用ケースが破れてしまっても、替えが発売されているので安心だ。それに、付属専用ケースは、ややつくりが安っぽい。もうちょっと高級感のあるものが欲しいという人には、別売の専用ケースをおすすめしたい。
素材がポリエステルのものが出ているのだが、こちらはオレンジ、黄緑、ネイビーの3色、それぞれ価格が1,365円(マイコミジャーナル価格情報では1,050円~1,365円)である。ケースはもっと高級感あふれるものがいいという方に向けた本革ケースも発売されている。色は茶のみで、価格は6,825円(同5,120~6,825円)だ。
4月になって、新しい生活環境になった方もいるだろう。今まで、徒歩で通学していた子どもが新しい学校に入学することで、電車に乗るようになる。ぐうたら家でも、娘は小学校を卒業して中学生になって、初めて定期券というものを持つようになったのである。親としては、持たせる現金はできるだけ小額にとどめておきたい。そんなとき、電子マネーは便利だ。さらにいえば、残高のわかるリレットがあれば、残高不足で困ることもなくなり、ますます安心である。そんな、新しい生活を始めた人にも、リレットは是非おすすめしたいアイテムである。
イラスト:YO-CO