CO2削減のため、何をしたらいいのか。電気をこまめに消すことやレジ袋を断ったり、マイ箸、マイボトルの利用が望ましいとされている。けれども、このときに持ち上がるのがこれらの行為がどのくらいCO2削減に効果があるのかということだ。たしかに、電気のムダをなくすために、薄暗い部屋で生活している人がいたら、そこまでしなくても…と声をかけたくもなる。家庭でCO2削減に取り組むなら、一番効果があるものから手をつけていきたいと思うのは私だけだろうか。
CO2削減に高い効果を狙うなら、エネルギー使用量の多い事項を洗い出して、その部分を減らせばたくさんの効果が出る可能性は高くなる。だとすると、家庭内で利用するエネルギーって何が多いのか知りたくなる。調べてみると、家庭でのエネルギー消費でもっとも多いのは「給湯」。全体の約3割を占めているという。そう言われてみれば、ぐうたら家では、娘も私もおふろの湯船、シャワーと大量のお湯を利用している。ということは、給湯に関するエネルギー使用量を改善できれば、確実な省エネができそうだ。
給湯の省エネといえば、最近話題の「エコキュート」がある。ご存じない方のために説明しておくと、エコキュートというのは早い話が電気給湯機。どこがすごいかというと、大気熱を利用して効率よくお湯を沸かすので、CO2削減になるところだ。
エコキュートにはヒートポンプというものがついていて、これが大気エネルギーをとりこむ。そして、電気の力で空気を圧縮して熱を発生させ、この熱を水に伝えると、水の温度が上がって、お湯ができるというわけだ。ガスや電気でお湯を沸かすのではなく、電気はヒートポンプの中で、空気を圧縮するために働く。しかも、電気代が割安な夜間の時間帯に熱エネルギーをつくりだすので、光熱費の節約にもなる。
もうひとつのポイントはヒートポンプで利用する冷媒にある。従来はフロンなどが主だったが、エコキュートでは自然冷媒であるCO2といったフロンではないものが用いられる。オゾン層にダメージを与えないことも、エコキュートがエコロジー給湯システムだといわれている理由だ。
給湯機にも「ラク」を求めていいのか
今回、お話をうかがった東芝キヤリア ヒートポンプ電化事業推進部 商品企画担当 グループ長 村上則行さん |
パナソニック電工や日立など、電機メーカー数社がエコキュートを発売している。光熱費が安くなる点はどの会社も同じだ。東芝キヤリアによると、季節によって多少差はあるものの、給湯の年間ランニングコストは都市ガスと比べて約1/5になると試算している。
生まれてからそんなに年月がたっていない新しい商品だということもあり、どの会社のエコキュートがよいのか迷ってしまう。ぐうたら主婦としては、家事の手抜きというか"省力化"のポイントをおきたい。エコキュートにすると、風呂掃除がラクになるような機能ってないのだろうか? といっても、給湯機に家事をラクすることを求めるなんて、ちょっと無理があると思う。ところがだ。いいんである。給湯機に手抜きを求めても許されるのである。
今回紹介する東芝エコキュート「ESTIA(エスティア)」は、お風呂の残り湯を浴室の浴槽や洗い場、壁面などにまいておくと、汚れを抑制する効果が期待できるというものだ。ただでさえ憂鬱な掃除。その中で、もっとも気が乗らない風呂掃除。ラクしていいの? くどいようだが、いいんである。
身体への心配はご無用
東芝エコキュート「エスティア」の特徴は銀イオン発生ユニットがついているところだ。銀イオンは消臭スプレーとか、チューイングガムの包み紙とか、仁丹とかに、古くから除菌や消臭効果が期待できるとして利用されてきた。
エスティアは搭載されている銀イオン発生ユニットの働きで、お湯が「銀イオンの湯」になるのだ。といっても、銀イオンは目に見えないので、外観は普通のお湯と変わりはない。でも、湯を張ってから、しばらくすると効果がでてくる。
普段、お風呂に湯を張りしばらくすると、お湯はぬるくなり、なんだかヌメッとした感じになる。夏場などはおまけにニオイまで付いてきて、こまめにお湯を入れ替えたくなる。が、銀イオンの湯だと除菌効果によってニオイやヌメリがなくなるのだ。いつでも湯を張りたてのお風呂に入った気分を味わえる。
さらにうれしいのは、銀イオンはしばらくしても消えないので、残り湯を壁などにまいておけば、中に含まれている銀イオンが効いて、壁などが汚れにくくなるという。風呂掃除は重労働。がんばって掃除しても、お風呂の洗い場などはヌメッとした感じが漂ってすぐに汚れてしまうのでとても悲しい。残り湯を撒いておけば、掃除がラクになるのはとてもうれしいことである。なんて素晴らしいのだろう、銀イオン。
でも、心配なのは身体への影響だ。子どもの成長に悪い影響はないのだろうか。東芝キヤリアの村上さんによると、「銀は食品添加物としても認可されていて、人体への影響はありません」という。そもそも、歴史上では約1,300年前のローマ帝国ですでに壺や食器に銀が用いられ、食べ物の腐敗防止の効果が実証されていたのだ。銀が身体に悪影響を及ぼすのなら、とっくの昔に銀食器はこの世から抹殺されているはずだ。今でも、問題なく銀食器が利用されているのだから、銀は危ない物質ではないようだと考えられる。そんなわけで、エコキュートの概要を解説したが、次回はもう少し詳しく機能を紹介していきたい。
イラスト:YO-CO