家電コンシェルジェに聞く「エコポイントがつく省エネ家電のおすすめ品」。シリーズ第3弾は地上デジタル放送対応テレビである。決して安い商品ではないので、省エネを踏まえつつも買うなら少しでも安い価格で手に入れたいと願う人も多いだろう。こういうときは、量販店に買い時をおうかがいするのがいい。なぜなら、彼ら自身が商品に値札をつけているわけだから。テレビにも、買うのにお得なタイミングというものがあるのだ。いったい、いつを狙うのがいいのだろうか。
以前は、次機種が出る直前、在庫がなくなりかけた時期が一番安くなる狙い時だといわれていた。が、この傾向は少しずつ変わってきているようである。現在、地上デジタル放送対応テレビ市場は競争がますます激化している。新しい商品が次々に売り出される中で、価格はどんどん下降傾向にあるのだ。したがって、新商品が古い機種よりも割安で手に入れることもできるようになった。よって、新型に切り替わる少し前がお得に買えるとは断言できない状況になったようだ。
では、いつがお得なのか。ヨドバシカメラ マルチメディア Akibaの"家電コンシェルジェ"下地浩介さんによると、状況に応じて、商品の価格は日替わりで変わるという。もちろん、店内全ての値札全部を毎日取り替えているわけではない。ヨドバシカメラでは週末特価などのセールとは別に、必要に応じて一部の商品を安くしている。競争が激しいのはメーカーだけでなく量販店も同じ。きめ細かく価格を変えていくことがお客様にとって他店よりも魅力のある量販店になる要因の一つなのだ。
生鮮食品では「最近、レタスが高い」「キャベツは安くなった」といった声が聞かれる。同じように、家電の世界でも今日はシャープ製の××が安いといったことが起こっている。時には、安くしすぎてしまうこともある。そのときは、元の値段に戻し高くすることもあるという。ということは、もっとも安く買うことを信条としている人は、こまめに売り場に足を運ぶといい。昨日と比べて、狙っている商品の価格がどう変わったかを細かく見ていくのだ。下地さんによると、お客様の中には、欲しい商品に目を付けて毎日チェックし、安値をつけた日に買う人もいるという。まるで、株のようである。
特徴的な省エネ機能をもつソニー
そんな、安く買いたい! という人にとって、エコポイントは嬉しいものだ。ご存じ、地上デジタル放送対応テレビはエアコンや冷蔵庫と比べて、たくさんエコポイントがつくのである。エアコンでは、3.6kw以上の冷房能力の機種に9,000ポイント、これが付される最高のポイント数だ。冷蔵庫は501リットル以上で10,000ポイントが一番上のポイント数である。対する地上デジタル放送対応テレビは、46V型以上でなんと36,000ポイントもつく。42V型、40V型では23,000、一番少ない26V型未満でさえ、7,000ポイントもつくのである。
本題に戻って、省エネを基準に地上デジタル放送対応テレビを選ぶなら、まずは「電気代の目安」の札を見るのがいい。エアコンや冷蔵庫と同様、機種ごとの違いがわかる。ただし、省エネの性能はメーカーによってそんなに変わるわけではないようだ。そこで、注目したいのは搭載された省エネ機能。ソニー BRAVIA(ブラビア)「KDL-46V5」(46V型)などのV5シリーズは低消費電力バックライトや人感センサーを搭載し、省エネを図っている。
特に、人感センサーは2009年2月発売時では世界初の賢い機能。人がテレビの前からいなくなると、自動で画面を消してくれるというものだ。家族の中には、何度言ってもテレビから照明まで、つけっ放しで部屋から出て行く人がいる。娘である。口うるさく言っても効果なしで私は困っていた。このセンサーがあれば、いちいち小うるさく娘に注意する必要もなくなる。家族の関係と家計にとって、優しい機能だといえる。特徴的なのは、画面だけ消すところにある。たとえば、主婦が夕食の支度でキッチンに行ったとき、画面は消すが音は残ると便利だ。私もたまにテレビを聞きながら、夕食の支度をすることがある。ユーザーの生活の仕方を考え抜いた機能だといえる。
薄型とプラズマを比較すると……
新モデルでは8割以上がエコポイント対象となるというデジタル放送対応テレビ。選ぶ際には、壁を覆い隠す面積にあわせて大きさを選ぶといい。昔のテレビは画面から離れないとよく見えなかった。したがって、設置する部屋に離れて見られるほどのスペースが必要だったのだ。が、今のテレビはそれほど遠くに離れなくてもキレイに見られるようになった。したがって、部屋の奥行きではなく、壁の面積だけを考えて大きさを選べばいいのである。売れ筋は42V型。ただし、家電コンシェルジェの下地さんによると、「ワンランク大きいのにしておけばよかった」という声が多く届くという。そんなに価格が変わらないのなら、少しでも大きなものを買って映画やスポーツの映像を楽しみたい人が多いようだ。
薄型テレビというと、プラズマと液晶に分かれる。プラズマは内部放電により発光する形をとっており、他方の液晶は後ろからバックライトを当てて光っている。この違いは画質にも影響を及ぼす。液晶は後ろから光を当てているので、真っ黒の色を出すのが難しい。プラズマと液晶では「黒」が違うと言われているのはそのためだ。が、現在では液晶の画質が向上したので、そんなに遜色はなくなったといえる。
画質で選ぶなら、「東芝の画像は玄人好み。こだわってモノを作っているのがうかがえる」と下地さん。東芝のREGZA(レグザ)「ZX8000」、「Z8000」シリーズなどには、画質を補正し、よりキレイにする「超解像技術」がついている。部屋の照明を落として、映画などをじっくりと楽しみたい人などが東芝を指名買いする傾向にあるそうだ。
しかしながら、なんといっても薄型テレビの代表はシャープである。「亀山モデル」とデカデカと札が貼ってある。だいたい製作している工場がブランドになっているのだから驚きである。それはそうと、液晶テレビのいいところは映り込みが少ないところ。プラズマテレビは表面にガラスが張ってあるので、部屋の照明などが映ってしまうことがあるという。液晶・プラズマともに両方よい点も悪い点もある。大きさや価格などと相談して、好みのものを選べばよいようだ。
価格はマイコミジャーナル価格情報(2009年6月13日)で、ソニーのKDL-46V5(46V型)が169,440円~277,941円。東芝の47Z8000(47V型)で234,609円~262,300円。シャープのLC-46XJ1(46V型)は178,000円~229,800円。エコポイントを狙うなら、46V型以上が一番多く3,6000ポイントつく。たとえば、シャープのLC-42XJ1(42V型)は152,800円~298,000円。46V型と比べて大きく差があるわけではない。おトクに買うのなら、46V型のテレビを量販店をこまめに見て回り、底値で買うのがいいのかもしれない。時間があればの話だが……。
イラスト:YO-CO