就職活動で避けて通れないのが、グループディスカッション(以下、GD)です。多くの就活生が「どうすれば評価されるのか分からない」「目立ちすぎても、控えめすぎてもダメ」と頭を悩ませているのではないでしょうか。
実は、企業がGDで最も重視している能力の一つが「回す力」です。今回から6回にわたり、GDで成果を出すための「回す力」の実践的な活用法についてお伝えしていきます。
なぜ企業はGDで「回す力」を重視するのか
近年、企業が求める人材像は大きく変化しています。かつての「強いリーダーシップ」「独自の突出した能力」といった個人プレー型の資質よりも、「チームの力を引き出せる」「多様な意見を調整できる」といった、協調的なリーダーシップが重視されるようになってきました。
その背景には、ビジネス環境の複雑化があります。一人の優秀な人材の判断や行動だけでは、組織の成果を最大化することが難しくなっているのです。
プロジェクト型の業務増加、価値観の多様化、リモートワークの浸透など、ビジネス環境の変化により、チームの力を引き出し、まとめ上げる能力の重要性は、ますます高まっていくでしょう。
そのため、メンバーの意見を引き出し、チームの総合力を高められる人材が求められています。GDは、まさにそうした能力を見極める最適の場なのです。
GDで評価される具体的なポイント
では、実際のGDで、就活生はどのように評価されるのでしょうか。勿論、企業によって様々な評価の観点はありますが、おそらくどこの企業でも使われるような、主な評価ポイントを整理していきましょう。
1.発言の質
議論の目的に沿って発言ができているか
自分の意見を、簡潔にわかりやすく伝えられているか
持論を押し付けるような印象を与えていないか
2.メンバーとの関わり方
発言の少ないメンバーへの配慮があるか
対立意見にも柔軟に対応できているか
他者の意見を否定せず、建設的な議論を促せているか
3.議論の推進力
議論が停滞した際に打開策を提示できるか
時間管理を意識しながら進行できているか
結論に向けて適切に議論を収束できているか
まさにこういう部分が、GDで観察されている訳です。望みの企業で活躍し、豊かな人生を歩むチャンスを獲得するためには、厳しい就活戦線をとにかく勝ち抜かなければいけません。
人生には「勝負どころ」として、受験、就活、仕事でのビッグチャンス、結婚など、色々とありますが、その後の人生を決める、最も重要なタイミングであるにもかかわらず、意外に準備が疎かになっているものが、「就活」なのではないかと思います。
今まで「面接官」という立場で、多くの方々を見てきたり、また就活をしている学生さんにアドバイスをしたりすることが多くあったのですが、ガクチカを中心に、とにかく「面接で語りたい内容」を一生懸命準備することに終始し、GD等で求められるコミュニケーションスキルの鍛錬が相当足りないのではないか? と思うこともしばしばです。
勿論、コロナ禍などの環境要因があることも否めませんが、採用側が、それを考慮することは多くありません。
「回す力」の3つの要素
「回す力」は、以下の3つの要素で構成されています。これらは、この連載を通じて詳しく解説していきます。
1.人を回す力(第3回で詳説)
自然に相手の心をつかむ
共感と理解を示しながら、良好な関係性を構築する
2.場を回す力(第4回で詳説)
議論を活性化させるための「問い」を立てる
話題を適切につなぎ、メンバーに展開する
3.グループを回す力(第5回で詳説)
楽しく、前向きな空気を創り出す
拡散した議論を整理し、メンバーが納得出来る結論を導く
繰り返しとなりますが、GDは、これからのビジネスパーソンに必要不可欠な「回す力」を試される場であります。
就活生の皆さまにおかれましては、しっかりと面接官にアピールする力を身に付けて頂きたいと思いますし、また、今後の社会人人生を見据え、その力を磨くための絶好の機会と、前向きに捉えて頂きたいと思います。
本連載を通じ、就活生の皆さまに、就活戦線を勝ち抜くための1つのヒントとして、GDでのあるべき振る舞い方をお伝えできればと考えています。
是非楽しんで読んでみて下さいね。
次回予告
第2回:面接官の本音!GDで失敗する典型的なケース
面接官が明かす、評価を下げる5つの行動
些細な振る舞いが示す「実務での危険信号 」
失敗事例から学ぶ改善ポイント