こんにちは、人事・戦略コンサルタントの松本利明です。私は戦略人事のコンサルタントとして25年以上「働き方や人事」に関するコンサルティングを行い、5万人のリストラと6,500名以上のリーダーの選抜をしてきた『人の「目利き」』と呼ばれています。

最近、驚くことが増えました。本人は「周りに気を使い、慕われ、優秀な俺」と思っているけれど、周囲からは「勘違い野郎」と評価されている人が繁殖しています。特に令和になり、その傾向が顕著になりました。

ややこしいのは「本人は悪気がなく、よかれ」と信じ切っていることです。いわばグレーゾーンの範囲なので周りは指摘しづらい状況なので本人は気付きません。なので、うっかりするとあなたも「悪気がない困ったちゃん」の仲間入りをしかけているかもしれません。

本連載では、「悪気のない困ったちゃん」のパターンを知り、そこから抜け出すヒントを解説します。

  • SNSで部下を友達にしていませんか?(写真:マイナビニュース)

    SNSで部下を友達にしていませんか?

勘違いSNS野郎とは?

「勘違いSNS野郎」とは仕事の関係者にSNSを通してプライベートのつながりと同じように対応してしまい、うざがられる人です。業界や企業にもよりますが仕事用のPCアドレスだけでなくFBメッセンジャーやLINEなどのSNSも仕事の場で使われる場面はよくありますが、ここで注意が必要。SNSはつい、友達のように距離感を縮めてコメントしがちです。早速例を見てみましょう。

上司や部下を「SNSの友達」、アウト? セーフ?

これは微妙です。最近は仕事の連絡は携帯や会社のメールだけでなく、SNSを使うこともありますが、SNSは会社ではなく個人のプライベートのものと捉えておいた方がトラブルは起きません。取引先や上司からSNSの友達申請がきたら、断ったり、ブロックしたりするのは立場上難しいものです。ある意味パワハラだと受け取られかねません。

あなたもプライベートの場を全て取引先・上司。部下に見られていると思うと嫌でしょう。SNSで仕事のメッセをするなら、「友達」としてつながらず、メッセ機能だけに絞った方が無難です。

水着写真に「いいね」、アウト? セーフ?

自分の水着写真に友達から「いいね」が付くのは良くても、仕事関係者の「いいね」が入っていたら相当微妙。「かわいい」「スタイル最高」「痩せたね」のコメントは友達なら嬉しいですが、仕事関係者だと「キモ!」にしかなりません。

SNSは拡散します。「〇〇さん、こんなコメントしてキモ!」と気づかぬうちに広まりまくるリスクは常にあります。モデルやインフルエンサーのようにSNSを全てビジネスの場としている人は例外です。

普通の会社勤めしている人のSNSはプライベート空間です。ところが、SNSだと友達と同じような距離感で接してしまう仕事関係者がいます。SNSでも仕事関係者という距離感が重要です。インスタなど、相手の承認なくフォローすればつながれるSNSこそ、注意が必要です。

筋トレや海での「自撮り」、アウト? セーフ? 

みたくもない取引先や会社関係者の上半身裸でポーズを取っている「おっさんの姿」こそ、逆セクハラと受け取られかねません。あなたには悪意なく、プライベートとしてアップしたものでも、仕事関係者がSNSで友達だと、その人のタイムラインに画像が出てしまうことを忘れないでください。

勘違い野郎にならない3つのコツ

いかがでしたか。勘違い野郎にならないコツは3つです。1つ目はSNSを仕事で使う必要があるのであれば仕事用のSNSのアカウントを用意してもらい、プライベートの投稿を閲覧できない設定にしてもらうことです。

こうすればプライベートの投稿は見られないので、「つい」余計なコメントをすることは物理的にできなくなります。メッセンジャー機能も同様です。災害などの緊急時は携帯などがつながらなくなることはよく起きます。

実際、311の時は携帯よりTwitterが活躍しました。リアルタイムで状況がアップされてニュースよりピンポイントで状況が分かるし、連絡も取りやすかったからです。ゆえに、SNSのアカウントも非常連絡網に設定するケースが増えましたが、掲載するのはプライベート用ではなく仕事用のアカウントが一般的です。

2つ目は、飲酒時はSNSで連絡しない、コメントしないというルールを作ることです。お酒が入るとちょっと余計やことや気を使い過ぎてかえって墓穴を掘るコメントやメッセージを出しがちです。

酔っぱらっていました、ではすまされません。投稿を消してもスクショが撮られたら最後です。政治家でなくとも失言はビジネスの世界では命取りになります。

3つ目は夜中のメッセージです。夜中のプライベートの時間に仕事の連絡が送られても、受け取った本人を夜中に働くわけにはいきません。翌朝まで「あれ、やらなくては……」と対処できないのに、ストレスやプレッシャーを与えるだけです。

「夜中のラブレターは朝見たら恥ずかしい」と同じ現象もよく起きます。夜中のメッセージは伝えたい人の独りよがりでただの迷惑行為だと理解しましょう。連絡するなら朝一です。

いずれにしても、SNSへの投稿やコメントは全て公的でオープンな場と認識しておきましょう。

執筆者プロフィール:松本利明(まつもと・としあき)

HRストラテジー代表

外資系大手のコンサルティング会社であるPwC、マーサー、アクセンチュアなどのプリンシパルを得て現職。世界を代表する外資系や日系の大手企業から中堅企業まで600社以上の働き方と人事の改革に従事。5万人のリストラと6,500名以上のリーダー選抜・育成に従事した「人の『目利き』」。英国BBC、TBS、日経、AERA等メディア実績多数。

『「いつでも転職できる」は武器になる』(KADOKAWA)などはベストセラー。