次々に新しい料理や食材などが登場するとあって、『食のトレンド』は刻一刻と移り変わっていく。しかし、クライアントや職場の同僚と「あれ食べた?」という話になることはよくある。そんなときに「……聞いたこともない」というのは、かなりマズい。この連載では、ビジネスマンが知っておけば一目おかれる『グルメの新常識』を毎回紹介していく。第82回は「豆麺」。

  • 大豆100%の九州まーめん(1袋3食入り685円)を使った焼きそば。豆麺はさまざまな麺料理に使える万能麺だ。

「豆麺」って何?

糖質制限やダイエットのために、普段の食事の中で糖質をコントロールしている人は多い。パスタやうどんなど、炭水化物が多く含まれる麺類もその一つだが、主食である麺の量を減らすと満足感が得られない。この流れを受けて、最近では低糖質や糖質オフの麺商品が増えてきた。その一つとして注目されているのが「豆麺」だ。

豆麺とは、小麦の代わりとして大豆や黄えんどう豆を使用している麺のこと。糖質をカットできるだけでなく、豆に含まれるたんぱく質や食物繊維を摂取できるため非常にヘルシーで栄養価が高い。小麦原料やつなぎを使わないグルテンフリーの麺なので、通常の麺と同量でも罪悪感がなく、また小麦アレルギーを持つ人でも安心して食べられる。しかも、通常の麺は放置すると汁を吸って伸びてしまうが、豆麺は伸びにくい性質を持っている。そのため調理後に時間が経ってしまっても食感が損なわれにくいのも魅力だ。

近年はさまざまな食品メーカーなどが豆麺・大豆麺に着目し、おいしさを追求した麺を開発している。小麦を使った麺はうどん・そば・パスタ・ラーメンなど料理に合った麺を使うが、豆麺は和洋中などさまざまな麺料理に対応できるのが特徴だ。今後、万能麺としてますます市場が拡大していくものと思われる。

「豆麺」はどこで食べられる?

  • ZENBヌードル(4食×2袋1,584円)。別売りのごまスープ(198円)との相性も抜群。

今回調べた限りでは、豆麺はスーパーやコンビニなどではあまり販売されておらず、入手方法は通販の場合がほとんどだ。

「ZENB(ゼンブ)ヌードル」は、植物を可能な限りまるごと使った食品で、“おいしく”“カラダにもよく”“環境にもやさしい”食生活を提案するD2C(Direct to Consumer、代理店や小売店を介さず消費者と直接取引する販売方法)ブランド「ZENB」の商品の一つとして販売されている。パスタやラーメン、焼きそばなどさまざまな料理に使える万能麺だ。

ZENB JAPANの新規事業開発マネージャー・長岡雅彦さんは「ZENBヌードルは、麺やごはん、パンなどの主食を制限している人が増えている中で、食べれば食べるほど健康になる主食が作れないか、という思いから開発されました」と話す。ZENBヌードルは、つなぎや添加物を使わずに黄えんどう豆100%で作られており、食物繊維とたんぱく質が摂取できる上、糖質は通常の麺類の30%オフ。毎日食べても飽きないよう食感とのど越しの良さにこだわり、構想から発売まで3年近くかかったのだそう。

ZENBヌードルを使ったメニューを提供している飲食店もある。長岡さんによれば、都内では21店舗、全国では35店舗でZENBヌードルを使用しており、それ以外にも通常購入して使っているお店もあるとのこと。飲食店で食べてみたいなら、同社の公式サイトにZENBヌードルが食べられるお店とメニューが掲載されているのでチェックしておくといいだろう。

  • 九州まーめん[無添加]と九州まーめん[細麺](ともに1袋3食入り685円)

「九州まーめん」は、“自由においしい食事を楽しみたい”“健康を楽しみたい”という願いを同時に叶えるために作られた大豆麺だ。販売者の株式会社うれるや.さわやかの救仁郷友和さんは「何にでも合う味で糖質制限しながらも栄養がしっかり補える機能性を備えた食材を作りたいと考えていました。その結果としてたどり着いたのが、畑の肉とも呼ばれる大豆を使った麺です。栄養面だけでなく、安心して食べていただけるように『九州産大豆使った、きちんとおいしい麺』になることにもこだわっています」と話す。

原料の大豆にはすべて九州産大豆「ふくゆたか」を100%使用しており、「九州まーめん」と「九州まーめん[細麺]」の2種類を販売。どちらも同量のパスタ麺と比較して約80%の糖質がカットできる。商品の特徴は「どんな味にも馴染みやすいように、あえて素朴な柔らかい大豆の風味に仕上がっています。どんな料理とも相性が良く、自由にアレンジして食べられます」(救仁郷さん)とのこと。

特に2022年2月に発売されたばかりの細麺タイプは、茹で時間がわずか3分。電子レンジ調理も可能で気軽に麺料理を楽しめるので、忙しい人にもおすすめだ。九州まーめんは同社の公式サイトやネット通販で購入できる。

  • ソイドル(初回限定お一人様1セット限り7食入り1,950円)は蕎麦としても食べることができる

味噌を作る会社として創業したマルサンアイが手がける「ソイドル」は大豆100%を使った大豆麺で、同社の公式オンラインショップかネット通販で購入可能。特販営業室の澤田一広さんは「創業当初から大豆の研究を続けてきた大豆のスペシャリストとして、味噌や豆乳以外で“健康で明るい生活へのお手伝い”ができないかと考えて作られたのがソイドルです。大豆の品質にこだわり、独自製法によって毎日食べたくなる味と食感を実現しました」と話す。

ソイドルの特徴は、ソースが絡みやすくなるように麺の形状を平打ち麺にしていること。乾麺ではなく冷凍パックされた状態で届くので、長期保存が可能だ。冷凍麺なので湯煎でも電子レンジでも3分で調理でき、手早く食べられるのがありがたい。パスタなどに使用する場合は、お鍋のお湯を多めにして茹でるのがよりおいしく食べられるポイントだ。

豆麺を食べてみた

今回はZENBヌードルを取り寄せて食べてみた。ZENBヌードルは同社の公式サイトおよびPayPayモールとAmazonの公式ショップで購入できる。8食(4食入り×2袋)で1,584円。ソースやスープとの詰め合わせや定期便などさまざまなZENBの商品を購入できる。

別売りのごまスープを購入して麺を作ってみた。水300mlとごまスープを鍋に入れ、沸騰したらZENBヌードル1束(80g)を食べやすいよう半分に折って入れて茹でるだけ。お好みで野菜やひき肉などの具材を加えると自分好みの麺ができる。豆のうま味が溶け込んだ茹で汁は、そのままスープとしていただけるので、別茹でする必要がない点が簡単でよかった。

  • 黄えんどう豆を使ったZENBヌードルは和洋中のどの味付けでも楽しめる。

できあがった麺を食べてみると、麺はしっかりとした歯応えがあり、食感はモチモチ。麺がほんの少しざらついている感じがするが、そのぶんスープとの絡みがとてもいい。豆の臭みはほとんど感じられなかった。豆の甘みがあるのでラーメンとは違う味になるが、クセもなくとても食べやすい。

ランチで麺類を食べると、食後高血糖のせいか午後は眠くなったりだるくなったりして仕事に支障が出たという経験がある人は多いだろう。だからといって軽めのランチにすると、午後はお腹が空いてしまう。その点、腹持ちのいい豆麺なら満腹感が得られ、糖質が少ないので食後の眠気解消にも期待できそうだ。

今後も需要が増えていくことが予想される豆麺、ぜひ一度試してみてほしい。