次々に新しい料理や食材などが登場するとあって、『食のトレンド』は刻一刻と移り変わっていく。しかし、クライアントや職場の同僚と「あれ食べた?」という話になることはよくある。そんなときに「……聞いたこともない」というのは、かなりマズい。この連載では、ビジネスマンが知っておけば一目おかれる『グルメの新常識』を毎回紹介していく。第68回は「ロカボ」。
「ロカボ」って何?
ヘルシー志向の高まりで、すっかり定着した感のある「ロカボ」。ロカボは、もともとローカーボ(low carbohydrate)が語源で、low(低い)carbohydrate(炭水化物、糖質)からきている。だが、「ローカーボ」と「ロカボ」は区別して使われている用語だということをご存知だろうか。
ロカボの語源である「ローカーボ」は極端な糖質制限も含む幅広い概念。一方、「ロカボ」とは「おいしく楽しく適正糖質」を意味し、北里研究所病院・糖尿病センター長の山田悟先生によって提唱された食事方法のこと。1食で摂取する糖質量を20~40g、間食では10g以下、1日の総糖質量を70~130gに抑えていれば、カロリーは気にせずに食べてもよいというものである。適正な糖質量を摂取することで血糖の上昇が抑えられるという。脂質やたんぱく質などに制限はない。
山田悟先生が代表理事を務める一般社団法人「食・楽・健康協会」によって、ローカーボと区別するために「ロカボ」(同協会の商標登録)と名付けられた。この2つの違いをしっかりと区別しておこう。
最近の健康ブームもあり、ロカボの考え方に賛同する企業が増え、さまざまなロカボ商品が販売されるようになった。ロカボの普及活動を同協会に認定された商品には、ロカボマークが付いている。ロカボマークの隣には糖質量とカロリーが表示されているのでわかりやすい。
「ロカボ食」はどこで食べられる?
ロカボ商品やロカボメニューなど、ロカボの条件を満たす「ロカボ食」。多くの食品メーカーがロカボ商品を販売しており、スーパーやコンビニなどでも目にするようになったほか、レストランのメニューにも登場している。
関東・関西を中心にうどんを提供するレストラン「つるとんたん」では「つるとんたんロカボうどん」が食べられる。プラス180円ですべてのメニューのうどんを「つるとんたんロカボうどん」に変更できるという。
開発のきっかけは、「おいしいものを食べて、お酒を飲んで、その締めにうどんを食べたい。けれども健康が気になる。そんなお客様の声を頂戴したことが『つるとんたんロカボうどん』を開発するきっかけとなりました。実際、20~30代の女性や普段から健康のために食事に気を使っている方からの注文が多いです」(カトープレジャーグループ広報)とのこと。
糖質オフの麺は「あまりおいしくない」というイメージを持つ人も多いかもしれない。しかし、つるとんたんでは、おいしさにとことんこだわっている。 「つるとんたんロカボうどんは糖質60%オフを実現させました。その秘密は小麦粉の使用を極力抑えた製法にあります。試行錯誤を繰り返し、おうどんの小麦の香りや風味を損なわない製法を生み出したのです。従来のおうどんと同じように『のどごし』『食感』『風味』を楽しめます。また、食物繊維も豊富で1食あたり約45gも含まれています。つるとんたんロカボうどんは糖質オフだけでなく腸内環境を整えて、より健康になれるおうどんなのです」(同広報)
公式オンラインショップで販売されている冷凍ロカボうどん(5食入り、1950円)は、1分ほどゆでるだけですぐに食べられるので、ちょっとお腹が空いたときに手軽に調理できて便利だ。食べてみても普通のうどんと味も食感もほとんど変わりなく、満足感があった。これで低糖質なのはありがたい。
つるとんたんのほかにもロカボ食を提供するレストランは、ロカボの公式ホームページに掲載されている。低糖質のものが食べたくても、ロカボ対応レストランを探すのは難しい。和食からフレンチ・寿司などさまざまなジャンルのレストランが掲載されているため、チェックしておけば食べたいロカボの料理を見つけられるだろう。
ロカボ商品を食べてみた
スーパーのスイーツコーナーでよく見かけるモンテールのスイーツの中にもロカボ商品がある。今回は「6P糖質を考えたプチシュークリーム」「3P糖質を考えたプチエクレア」を購入してみた。ロカボマークが目印となり、すぐに見つけられる。
「6P糖質を考えたプチシュークリーム」のパッケージには1個あたりロカボ糖質1.3グラム 、27キロカロリーと表示されている。6個入りで、1袋あたりの糖質量は7.9グラム、熱量は160キロカロリーだ。また、「3P糖質を考えたプチエクレア」には1個あたりロカボ糖質2.7グラム、60キロカロリーと書かれていた。3個入りで1袋あたりの糖質量が8.2グラム、熱量が180キロリーとなる。摂取カロリーは、モンテールの通常のプチシューやプチエクレアの約半分に抑えられている。
食べ慣れている通常のプチシューやプチエクレアと比較して味はどうなのか気になり、さっそく「3P糖質を考えたプチエクレア」を実食してみた。味や食感は通常のプチエクレアとほとんど変わらない。物足りなさはまったくなかった。皮は柔らかめで、北海道産生クリームを使用したクリームは甘すぎず、とてもなめらかでミルキー。糖質オフでもしっかりとした味わい。砂糖の代わりに使われているのは「エリスリトール」と呼ばれる天然の甘味成分だ。そのためあっさりした味を想像していたが、しっかりと甘さが残っているのが意外だった。
続いて紀文食品の「糖質0g麺 麻辣まぜそば風たれ付き」(216円)も試してみた。こちらの商品もスーパーで購入できる。やはりロカボマークがパッケージの表側にある。糖質量は麺が0グラム、たれが6.4グラムで、熱量は56キロカロリーと非常に低カロリーなのもうれしいポイントだ。麺はおからパウダーとこんにゃく粉がおもな原材料となっている。
さっそく実食してみた。中に入っているのは麺とたれのみ。麺の水切りをしたら、たれを和えるだけ。こんにゃく臭さはまったくなかった。本物の麺とは味も食感も違うが、ツルツルとしたのどごしでコシがあり、クセがなく食べやすい。たれは花椒(ホアジャオ)の風味があり痺れる辛さ。麺ともよく絡み、辛いもの好きには堪らない味。ネギやすりごま、のりなどを乗せてアレンジするのもおすすめだ。
紀文食品の同シリーズはほかに「糖質0g麺 おろし入りぶっかけつゆ付き」(216円)と「糖質0g麺 トマト風味ソース付き」(216円)もある。
罪悪感なく食べられる糖質オフの「ロカボ食」は商品の種類も増え、味も進化していることを実感した。ロカボマークを見つけた際には、ぜひ一度試してみては?