次々に新しい料理や食材などが登場するとあって、『食のトレンド』は刻一刻と移り変わっていく。しかし、クライアントや職場の同僚と「あれ食べた?」という話になることはよくある。そんなときに「……聞いたこともない」というのは、かなりマズい。この連載では、ビジネスマンが知っておけば一目おかれる『グルメの新常識』を毎回紹介していく。第45回は「アートスムージー」。

  • JTRRD(ジェイティード)の「アートスムージー」

「アートスムージー」って何?

スムージーとは一般的には、野菜やフルーツ、牛乳やヨーグルトなどを組み合わせてミキサーにかけたドリンクのこと。健康や美容にいい食材数種を手軽に、しかも生のまま摂取できるので、ヘルシー志向の女性を中心に人気がある。もともと食材の色を活かした鮮やかなドリンクだが、最近はそれをもはやアートの域という美しさまで進化させた「アートスムージー」が登場している。

具体的には、カットフルーツなどの華やかなトッピングを添えたり、ドリンク表面に色彩豊かなアートを描いたりする。基本的に着色料は使用せず、すべての色が食材そのものの色彩を活かしたもの。体によく目にもうれしいとあって人気が上昇中だ。

「アートスムージー」はどこで飲める?

全国のカフェのメニューに、アートスムージーは続々と登場してきている。例えば東京・渋谷のカフェ「ANNA'S by Landtmann Vienna(アンナーズ バイ ラントマン ヴィエナ)」では全10種のスムージーを提供中だが、うち5種は「スペシャルスムージー」として食材を厳選し、手間暇をかけて美しく盛りつけている。

  • ANNA'S by Landtmann Vienna「スペシャルスムージー」の一例(1杯1,000円~)

2019年にオープンしたこちらのカフェは「渋谷スクランブルスクエア」6Fのコスメフロアにあり、「体の中から美しく」がテーマ。スムージーにはケールやアサイー、チアシードといったスーパーフードも使用されており、美意識の高い女性を中心に人気を博している。

  • おすすめの「アサイーソイ」(写真手前・1,000円)は淡いパープルが女子ウケしそうなビジュアル

スペシャルスムージーの内容は季節によって変わり、9月に味わえる「アサイーソイ」はその名の通り、アサイーと豆乳をベースにしたもの。ラズベリーとグラノーラのトッピングが華やかである上、側面から見ると淡いパープルとカットバナナの断面も思わず写真を撮ってしまう可愛らしさだ。

「アートスムージー」を飲んでみた

大阪・天満橋に本店を構え、全国でも関西を中心に7店舗を展開するカフェ「JTRRD(ジェイティード)」はアートスムージー数種を販売している。

オーダー時は、6色の中から好きな色を選ぶ。例えば「RED」ならラズベリーとパイナップル、「PURPLE」ならブルーベリー、ブラックベリー、ラズベリー、チェリー、パイナップル、バナナ、ミルクという具合で設定されており、選んだ色のスムージーをベースとしてカットフルーツのトッピングとアートが添えられる仕組みだ。食物アレルギーがある場合は相談も可能。ちなみに、どんなアートを描いてもらうかはスタッフにおまかせになっている。(「ORENGE」のスムージーのみ繊維が多いためアートが描けないとのこと)

  • この6色から選ぶだけでオーダー完了。どれでも、1杯900円だ

このうち「PINK」と「GREEN」をオーダーし、どんなアートが出来上がるのかと楽しみに待つことおよそ10分。何色ものスムージーで巧みに描いたアートに、思わず「わあ! 」と歓声を上げてしまった。アートを崩すのがもったいないので、しばしグラスを回転させながらアートを観察したり、写真を撮るなどして堪能。

  • JTRRDの「アートスムージー」(900円)

飲むにはストローではなく、スプーンを使う。ふわっと柔らかい舌触りとフルーツのいい香りが心地いい。色がとても鮮やかなので濃厚な味を想像していたが、思っていたよりスッキリと爽やかな味でとても飲みやすくなってるのに驚いた。「PINK」はラズベリーの甘酸っぱく元気が出る味で、「GREEN」はバナナの甘みと抹茶の香りが楽しめる味わいとなっている。

PINK・GREENともに、飲み進むとカットされたフルーツのほか、グラスの下の方にはスーパーフードの1つであるバジルシードのプチプチが楽しめるグレーの層、その下にまろやかな酸味のヨーグルトの層が。1杯で味や食感が変化していくのも楽しい。スプーンを使えば、バジルシードやフルーツもスムーズに食べられた。

同店アートフードプロデューサーの田村智美さんに話を聞いた。2017年2月にカフェをオープンし、翌月からカラフルなスムージーの販売スタート。「当初はシンプルなデコレーションのみでしたが、2年前くらいからかなり丁寧にアートを描くようアレンジしていき、今の形になりました」とのこと。

これほどカラフルなのに食材そのものの色だけで表現しているというから驚きだ。緑を出すための抹茶や、ブルーに発色するスピルリナなど、様々な食材を駆使してアートを描いている。「無理なダイエットをしている女性もたくさんいると思いますが、栄養を摂りながら美容にもよく、満足感もあって、しかもダイエットにも効果的なものを作りたかった」という田村さん。スタート当初は20代の若い世代が中心だったが、認知度がアップし、30~50代まで幅広い世代の女性に好評だという。

アートスムージーは、栄養が摂取できるのはもちろんのこと、技術やセンスがたっぷりと詰まったドリンク。朝食やランチの置きかえドリンクとしてもおすすめだ。体にも目にもおいしいアートスムージーで、夏の暑さで疲れた胃腸を癒し、体調を整えてみては。

※特記がない限り税別