次々に新しい料理や食材などが登場するとあって、『食のトレンド』は刻一刻と移り変わっていく。しかし、クライアントや職場の同僚と「あれ食べた? 」という話になることはよくある。そんなときに「……聞いたこともない」というのは、かなりマズい。この連載では、ビジネスマンが知っておけば一目おかれる『グルメの新常識』を毎回紹介していく。第43回は「ヤバい超激辛グルメ」。

  • スーパーで手軽に買えるものだけでも、辛さがヤバそうな超激辛グルメがたくさん!

「ヤバい超激辛グルメ」ってなに?

激辛グルメはしばしばトレンドになる。1986年の新語・流行語大賞で「激辛」が新語として知られるようになり、以後時代とともに様々な激辛グルメが話題となってきた。ここ数年は「第4次激辛ブーム」ともいわれており、“麻辣味”やスパイスカレーの人気など、辛さを楽しむグルメは花盛り。そして中でも、ひときわ辛さを突き詰めた「超激辛」の商品が多く登場しているのだ。

スーパーで手軽に買える超激辛グルメを見てみると、どれもパッケージがかなり独特であるのが特徴だ。黒くて鬼が描かれているものや、商品名も「鬼辛」「絶辛」「18禁」などの言葉が躍り、異様な迫力がある。まるで食べてはいけないもののような雰囲気を醸し出していながら、逆に試しに食べたくなってしまうから不思議だ。

実際に食べてみると、従来の辛口とは比較にならないほど辛い。いやむしろ、辛いというより痛いという感覚のものが多い。辛い物が好きでない人には全く歯が立たず、辛い物が得意という人でも完食できないこともある。

「ヤバい超激辛グルメ」はどこで食べられる?

「ヤバい超激辛グルメ」は、外出しづらい今の状況でも、スーパーでも手軽に手に入る。例えばカップ焼きそば「ペヤング」で有名なまるか食品は、ペヤング史上最高の辛さという「ペヤング獄激辛やきそば」を今年2月に発売。ペヤングといえば激辛の他にも、超大盛の「GIGAMAX」やカレー風味、ペペロンチーノ味など遊び心あふれる商品開発で知られている。

  • まるか食品「ペヤング獄激辛やきそば」(205円)

「獄激辛」のパッケージには鬼の絵のほか、「泣けるほど辛味が強い」とのフレーズもあり、イメージはまさに地獄。「今まで『激辛やきそば』『もっともっと激辛やきそば』『激辛やきそばEND』と販売してきましたが、もっと辛い商品を食べたいという声があり『激辛やきそばEND』の3倍の辛さの『獄激辛やきそば』を開発しました」と同社製品開発課 小島裕太さん。

これほど辛い商品だが意外にも好評で、「匂いからして辛いけどクセになる」「辛いけどソースの旨味も感じられる」という声も。「SNSで拡散されることを目標に、ネーミング等考えました。若い世代を中心に発売以降売れ行きは順調で、今後定番品として継続していくことになりました」(中島さん)。

同じくカップ麺のメーカーとして知られるエースコックからは、今年7月に「スーパーカップ 大盛りブタキム油そば 絶辛」が登場。添付の激辛スパイスを加えると絶叫級の辛さに仕上がるという。

  • エースコック「スーパーカップ 大盛りブタキム油そば 絶辛」(240円)

「絶辛」という大きな文字が目立つこちらの商品。もともと「スーパーカップ」は高校生をメインターゲットにしたカップ麺のシリーズで、その中でも「スーパーカップ ブタキム」が10代~30代の男性コンビニユーザーに好評であるため、それを人気の激辛グルメにアレンジしたという。「豚キムチならではのパンチの効いた辛さはクセになります。『絶辛』というフレーズにたくさんの方が興味を持ってくださっており、売れ行きは大変好調です」(同社マーケティング部 中村俊吾さん)。

SNSでも頻繁に拡散され、「お腹の中から熱くなってくる」「むせるほどの唐辛子。刺激的で最高」という声が聞かれているそうだ。

また、韓国発の即席めんとして知られる豊心ジャパンの「辛ラーメン」にも「激辛RED」が登場するなど、スーパーを見るだけでも超激辛の商品がいろいろと見つけられそうだ。

「ヤバい超激辛グルメ」をたべてみた

悶絶級の辛さとして話題になっている磯山商事「18禁カレー」。強烈なピンクのパッケージには18歳以下は食べてはいけないと書いてあり、謎めいた怪しい雰囲気が興味をそそるレトルトカレーだ。スーパーの他、磯山商事のホームページでも購入が可能だ。

  • 磯山商事「18禁カレー『痛辛』」(購入価格950円)

箱の中には、普段のレトルトカレーと変わらない袋が。湯せんで温めて、ご飯のとなりに盛りつけてみた。

  • 見た目は通常のカレー、と思いきや、真ん中にあるのは…?

カレーらしいスパイスの香りが食欲をそそり、見た目からは超激辛であることは感じない。具材もたっぷり入っていておいしそうだ。ただ、ルウに混ざっている肉とは違う赤い物体が気になる。

  • 大きな赤い唐辛子がまるごと入っている!

辛さへの強さは普通の人レベルの筆者が、おそるおそる一口ルウを食べてみた。とたんに、舌がビリビリとして、痛い! と叫んでしまった。食べ進めていくと口が痛くなるタイプの辛味ではなく、口に入れた瞬間から辛い。ルウが触れた部分が全て熱く、痛くなるうえ、飲み込むと喉も食道もヒリヒリ…かなり長引く辛味だ。水でクールダウンし、2口目を口に運ぶのに3分ほどかかってしまった。

ルウ自体はとてもコク深く、鶏肉もよく煮込まれているおいしいカレー。化学調味料を使わず、素材の旨味を活かした味だ。鶏肉がゴロゴロと入っていて食べ応えも十分。だがしかし、その鶏肉も相当に辛く、食べ進むと胃が熱くなり、汗が噴き出る。

時間をかけ、汗をかきながらも食べると、超激辛グルメならではの爽快感があった。辛味とともに旨味もしっかり味わえるので、クセになる人の気持ちがわかる気がした。でもやはり相当辛く、「18禁カレー」シリーズの中では「痛辛」は一番甘口だというのが信じられない。

超激辛なので誰にでもおすすめというグルメではないが、辛い物が好きな人は試してみてはいかがだろうか。暑い時期に汗が噴き出るような辛いものを食べれば、スカッと気分転換にもなりそうだ。外出がしづらい今の状況下で、日々の食事が単調になってしまいがちだが、超激辛グルメがそんな毎日にちょっとした刺激を与えてくれるかもしれない。

※価格は特記がない限り税別