次々に新しい料理や食材などが登場するとあって、『食のトレンド』は刻一刻と移り変わっていく。しかし、クライアントや職場の同僚と「あれ食べた?」という話になることはよくある。そんなときに「……聞いたこともない」というのは、かなりマズい。この連載では、ビジネスマンが知っておけば一目おかれる『グルメの新常識』を毎回紹介していく。第四回は「クリアドリンク」。

「クリアドリンク」って何?

クリアドリンクとは、透明で見た目は水のようだが、飲むと味や香りがある透明な飲料のこと。数年前からフルーツなどでミネラルウォーターに味を付けた「フレーバーウォーター」はあったが、最近はレモンティーやカフェラテ、ノンアルコールビールなどにまで広がっている。

  •  オフィスドリンクの新定番「クリアドリンク」

    定番のフレーバーウォーターからユニークな新味まで、クリアドリンクもバラエティ豊かに

2017年4月に透明なレモンティー「プレミアムモーニングティー レモン」を発売したサントリー食品インターナショナル広報部の神谷香七さんは、「『大人になってからレモンティー飲料は甘さが気になって敬遠しがちになった』といったお客様の不満を解消すべく商品を開発しました。『見た目も中味も、もっとすっきりと紅茶を楽しみたい』というお客様の声にお応えできていると考えています」と話す。

どうやって透明にしているかは商品によってちがう。たとえばサントリーのプレミアムモーニングティーの場合は、紅茶の茶葉を水蒸気に接触させ、その蒸気を集めることで、淹れたての紅茶の香りだけを高濃度に抽出。この「高濃度アロマ抽出製法」と呼ばれる製法よって、透明なのにしっかりとした「紅茶のコクと香り」を実現しているそうだ。

「クリアドリンク」はどこで飲める?

いまや大抵のスーパーやコンビニでドリンク棚に数種類のクリアドリンクを見つけることができる。サントリーは前述の「プレミアムモーニングティー」シリーズのほかに、ノンアルコールビールテイスト飲料「オールフリー オールタイム」などを販売している。また、日本コカ・コーラからはおなじみのドリンクの無色透明版として「コカ・コーラ クリア」や「爽健美水」が登場。アサヒ飲料では透明なラテ「クリアラテ」シリーズを展開している。

このほかすでに終了しているが、アサヒビールでは8月末までの期間限定で透明なクラフトビアスタイルの発泡酒「クリアクラフト」樽詰めをグループの直営4店舗で販売し、大きな話題となった。

透明なノンアルビール「オールフリー オールタイム」を飲んでみた

さまざまなクリアドリンクの中でもビジネスパーソンに人気なのが、今年6月に発売されたサントリーのノンアルコールビールテイスト飲料「オールフリー オールタイム」だ。透明かつペットボトルタイプにすることで、職場などでも飲めるようにしたという。

  • サントリー「オールフリー オールタイム」(380ml/実売価格税込147円)※コンビニ限定販売。ボトルには星などのデザインが(右)

キャップを開けると爽やかなライムの香り、口にふくむとホップ由来の苦みが感じられ、たしかにビール風。炭酸が強めなので爽快感があり、飲んだ後にほどよい満腹感もある。黄金色の通常の「オールフリー」と味わいは似ているのに見た目は透明というギャップがおもしろく、気分的にも楽しく飲める。ビールが飲めないシチュエーションでビールがわりに飲むのはもちろん、とくにビールが好きでない人も甘くない炭酸飲料として美味しく飲めそうだ。

サントリーホールディングス広報部の狩野友輔さんによると、「ビールの黄金色の液色は麦芽が元になっていますが、『オールフリー オールタイム』ではビールらしい味わいを実現しつつも使用する麦芽量を抑えることで透明な色を実現しました」とのこと。

透明でペットボトルタイプなので仕事中に飲むのも抵抗がないが、なんとなく気になる人はラベルをはがしまおう。実はメーカーとしてはそれも想定済みで、はがすと「星」や「イナズマ」がデザインされたボトルが現れる。

客層は通常の「オールフリー」と比べて、20-40代の構成比が高く、実際に「会社で飲んでいる」「会議中に皆で飲んだら盛り上がった」との声もあるとか。6月に発売されたが、すでに8月末時点で年間計画の5割以上を出荷しており、順調な進捗だという。

飲みなれた味も透明になることで、ひと味変わる。これからますます活況を呈しそうなクリアドリンク市場。今後どんなドリンクが透明になるのか楽しみにしたい。