次々に新しい料理や食材などが登場するとあって、『食のトレンド』は刻一刻と移り変わっていく。しかし、クライアントや職場の同僚と「あれ食べた? 」という話になることはよくある。そんなときに「……聞いたこともない」というのは、かなりマズい。この連載では、ビジネスマンが知っておけば一目おかれる『グルメの新常識』を毎回紹介していく。第36回は「リラクゼーションドリンク」。

  • ビジネスシーンにもおすすめなリラクゼーションドリンク「CHILL OUT」

「リラクゼーションドリンク」って何?

最近注目を集めている「リラクゼーションドリンク」は、エナジードリンクと真逆の立ち位置にある新ジャンルのドリンクだ。一般的にエナジードリンクは、眠気抑制効果が期待できるカフェインや疲労回復をサポートしてくれるアルギニン(アミノ酸のひとつ)を多く含み、シャキッとしたいときや気合いを入れたいときに飲む人が多い。

一方リラクゼーションドリンクは、その名のとおり、ひと息ついてリラックスしたいときに飲むことをイメージして作られている。明確な定義はないが、カフェインフリーで人工甘味料や人工香料などは使われず、リラックスを促してくれる成分として柑橘系の香りのあるものやホップエキスなどが使われていることが多い。

リラクゼーションドリンクは、寝る前やお風呂上りなど自宅でのリラックスタイムに飲むのはもちろん、意外にも仕事中に飲むのにも適している。仕事中もずっと気を張って緊張した状態を続けるより、ときにリラックスして気を緩めることで、その後の集中力やパフォーマンスを高められるという考え方が広まりつつあるのだ。たとえば、ひと息ついて新しいアイデアを考えたいときや、大事なプレゼンの前に落ち着きたいときなどにもいい。

忙しいビジネスパーソンは日頃から仕事でもストレスを抱えがちで、昨今は新型コロナウイルスによる精神的なストレスも多い。リラクゼーションへのニーズはますます高まっていくと考えられるだろう。

「リラクゼーションドリンク」はどこで飲める?

リラクゼーションドリンクは、缶入り飲料としていくつか市販されている。2018年11月に発売されたのが、オーストリア発のリラクゼーションドリンク「good night(グッドナイト)」。

  • 「good night(グッドナイト)」(250ml/295円)

原料にはストレスや不安を和らげ、気持ちを落ち着かせる効果が期待できるというレモンバームやホップエキスを使用。見た目は薄い茶色をしており、ハーブティーのような香りと自然由来のやさしい甘さで、飲みやすい微炭酸飲料だ。カフェイン、保存料、合成着色料、人工甘味料は使われていない。カロリーは100mlあたり21kcalだ。

開発のきっかけは、飛行機嫌いだが旅行が好きな創業者が「機内でよく眠れるリラックス専用ドリンクがあればいいのに」と思ったことから。現在は、世界各地の空港やホテル、リゾート施設などで販売中。日本では、香りをテーマにしたライフスタイルショップ「Aroma Bloom(アロマブルーム)」の一部店舗、およびAmazon(6缶パックのみ)で取り扱いがあり、美への意識が高い女性、受験勉強中の子ども用、ギフトなどの需要があるそうだ。「会社員の方なら、出社して就業前の飲むのもおすすめです。リラックスして仕事に取り組むことができます」と輸入元の池光エンタープライズ営業企画部の畠山礼さんは話す。

「リラクゼーションドリンク」を飲んでみた

今回は日本生まれのリラクゼーションドリンク「CHILL OUT(チルアウト)」を飲んでみた。「安らぎを促しパフォーマンスをサポートする」が商品コンセプト。チルアウトは英語でもともと「冷静になる」「落ち着く」といった意味だが、近年、欧米では「まったりする」「くつろぐ」といったニュアンスで若い世代に広く使われている言葉である。

  • リラクゼーションドリンク「CHILL OUT」(185ml/185円)

原材料にはリラックスをもたらすといわれるヘンプシード抽出物、GABA、L-テアニン、ホップ抽出物という4成分を使用。保存料、着色料、人工甘味料は不使用で、1本185mlあたり約78kcalという低カロリーもうれしいポイントだ。

本来は缶のまま飲むところだが、わかりやすくするためグラスに注いでみた。色は無色透明で、ほんのり微炭酸。マスカットとオレンジの果汁が入っているので、フルーティーさと柑橘系のすっきりした香りがあり、飲んでみると穏やかな甘さが口の中に広がった。見た目はサイダーなどに近いが、炭酸の刺激は控えめで、どこかほっとする味わい。集中して仕事をしたあとなどに飲めば、いい具合に肩の力が抜けそうだ。

商品は2016年に発売され、2019年秋にフレーバーをリニューアル。AIを利用して、人がリラックスを感じられる味を開発した。具体的には、人間とAIを対話させ、回答に応じて成分の配合を調整。これを別の人で繰り返し、AIに人間の好みを学習させた。その結果、心が落ち着くシトラスやハーブ、フルーツのような香りと、スッと清涼感のあるフレーバーを併せ持つ、現在の味に決まったそうだ。

もともとはデジタル業界の先端で働くビジネスパーソンやクリエイター、ノマドワーカーなどをターゲットに開発。「ストレスを感じて、短い時間でリフレッシュ求める方にニーズが高いように感じます。仕事とプライベートがシームレスに続いてしまうテレワーク中に、気持ちを切り替えるドリンクとしてもおすすめしています」と、同商品を販売する合同会社Endian広報担当の梁悠梨さん。自動販売機では工事現場で働く人や学生の購入者も多いそうだ。

商品は都内のナチュラルローソン、セブンイレブンの渋谷区内店舗や関東近郊の一部自販機などで販売。Amazonや楽天でも6缶パックの取り扱いがある。

先が見えず、不安やストレスを感じやすい今だからこそ、身近に心地よくなれるアイテムがあると心強いもの。リラクゼーションドリンクはまさにこの時節にぴったりマッチしたドリンクといえそうだ。

※価格は特記がない限り税別