次々に新しい料理や食材などが登場するとあって、『食のトレンド』は刻一刻と移り変わっていく。しかし、クライアントや職場の同僚と「あれ食べた?」という話になることはよくある。そんなときに「……聞いたこともない」というのは、かなりマズい。この連載では、ビジネスマンが知っておけば一目おかれる『グルメの新常識』を毎回紹介していく。第三回は「グローサラント」。
「グローサラント」って何?
最近日本でも少しずつ増えている「グローサラント」とは、アメリカを中心に広まっているスーパーマーケットの新業態。食品スーパーを意味する『グローサリー』と『レストラン』をかけ合わせた造語で、スーパーにレストランが併設された店舗を指す。
グローサラント型店舗のレストランではスーパーで販売している食材を使った料理を提供しているのが特徴だ。そのためレストランで気に入った食材があればスーパーで買って帰ることもできるし、逆にスーパーで気になった食材をレストランで気軽に試すこともできる。
昨年9月に東京・調布にグローサラント型店舗「成城石井 トリエ京王調布店」をオープンさせた成城石井の執行役員 コーポレートコミュニケーション室・五十嵐隆室長は、グローサラント型店舗の特長のひとつに「五感に訴える美味しい『体験』を提供できること」を挙げる。リアルな食体験はネットスーパーにはない実店舗ならではの強みであり、スーパーとレストランの相互送客にもつながるとの考えだ。
「グローサラント」はどこにある?
グローサラント型店舗は少しずつ増えている。「成城石井 トリエ京王調布店」以外では、昨年8月に東京駅構内の商業施設「グランスタ丸の内」にイタリア食材の販売とレストランをひとつにしたイタリア発の総合フードマーケット「EATALY(イータリー)グランスタ丸の内店」がオープンした。
今年に入っても出店は続き、直近では東急ストアが9月13日に東京・渋谷に狭小店舗のグローサラント型新業態「Precce Shibuya DELIMARKET(プレッセ シブヤ デリマーケット)」をオープンさせる。今後、ますます身近な店で試すチャンスは増えるだろう。
「グローサラント」の魅力を体験!
実際にグローサラント型店舗「成城石井 トリエ京王調布店」へ行ってきた。スーパー内にはセルフサービス式のレストラン「SEIJO ISHII STYLE DELI&CAFE(成城石井 スタイル デリ&カフェ)」があり、ハンバーガーやピザ、パスタ、ステーキなどのメニューを楽しめる。メニューに使われているほぼすべての食材が成城石井のものだ。
定番の「フレッシュアボカドチーズバーガー」をオーダーしてみると、まず驚いたのがそのサイズ! 黒毛和牛100%の手ごねパティが贅沢に2枚使われ、アボカドにレタスや赤玉ねぎなど野菜もたっぷり。ナイフとフォークを使って食べる女性がいるというのも納得のボリュームだ。
なんとか大きな口を開けてかぶりつくと、ジューシーな肉の旨みが口いっぱいに広がり、まさに口福。やわらかなパティは濃厚なコクのあるチーズとも相性抜群。風味豊かなバンズはフランス産の全粒粉やゲランドの塩など原料にもこだわった成城石井オリジナルだそうで、外側にケシの実をふんだんにまぶしてあり、サクッとした食感がたまらない。
味とボリュームを考えるとかなりのコスパの良さだが、これも食品スーパーとしての仕入れ力があるからこそ。こだわりの食材を使ったレストランさながらの味をリーズナブルに味わえるのも、グローサラントの醍醐味といえる。
いくつかのメニューにはレシピカードも用意されているので、気に入った料理は家で再現できるのもうれしい。スーパーの売り場では、レストランで使われている食材にわかりやすくポップ表記がされている。
レストランの客層はさまざま。ランチは子連れママや年配の方の姿が目立ち、午後になると学生が増える。夜になると仕事帰りのビジネスパーソンの利用も多いそうだ。グラスワインやビールなどのアルコールも1杯税別300円と手頃なので、ちょい飲みにもよさそう。 忙しいビジネスマンにとって、リーズナブルに美味しいものが食べられるグローサラントはありがたい存在。身近な店舗で新たな美味しさに出会ってみては。