次々に新しい料理や食材などが登場するとあって、『食のトレンド』は刻一刻と移り変わっていく。しかし、クライアントや職場の同僚と「あれ食べた?」という話になることはよくある。そんなときに「……聞いたこともない」というのは、かなりマズい。この連載では、ビジネスマンが知っておけば一目おかれる『グルメの新常識』を毎回紹介していく。第22回は「汁なし冷凍麺」。
「汁なし冷凍麺」って何?
日々進化を遂げている冷凍食品の中でも、冷凍麺のバリエーションはここ数年で格段に増えている。特に、1食分の量で、レンジで温めるだけでおいしく食べられるよう味付けされている麺の人気がじわじわと上昇中で、手軽に済ませたい日の夕食や、オフィスで食べるお弁当代わりとして、今やほとんどのスーパーやコンビニの冷凍庫で一角を陣取っており、勢力を広げつつある。
冷凍麺といえばスープ付きのラーメンやパスタなどさまざまな種類があるが、そうした定番メニューに負けじと存在感を放っているのが「汁なし冷凍麺」。特徴的なのが、そのパンチの効いた味付けだ。家庭で作るには手間がかかるけれど、こってりした味のものが食べたい! というときにぴったり。アジア料理やスパイシーな味付けがトレンドになっていることともあいまって、特製の味付けで汁なしまぜ麺スタイルの冷凍麺がたくさん登場しているのだ。
「汁なし冷凍麺」はどこで買える?
全国のスーパーやコンビニの冷凍食品売り場にて販売している。2019年3月に冷凍食品メーカーのテーブルマークから登場したのは「麺屋武蔵監修 辛まぜそば 大盛り」(税込300円前後、編集部調べ)だ。東京都内をはじめ国内に15店舗を展開する人気ラーメン店「麺屋武蔵」が監修しており、濃厚な魚介の旨味と唐辛子が効いたインパクトのある味わい、冷凍麺メーカーならではのもちもち食感が好評となっている。
「辛い冷凍麺のカテゴリとしては2013年からいくつか販売してきましたが、アジア料理ブーム・麻辣ブームを受けて、2017年から2018年にかけて約2.5倍に販売量が急増しました」と話すのは同社マーケティング部 麺カテゴリーマネージャー 高橋良輔さん。「主に主婦の昼食や、男性ワーキングシングル(働いている独身男性)の夕食を想定しています。『辛い』という点は、男女共に受け入れられていると考えております」とのこと。1食分だからこそ、自分が好きな味にこだわれるという点も汁なし冷凍麺のメリットといえそうだ。
手軽さも大きなポイントで、「麺屋武蔵監修 辛まぜそば 大盛り」は外袋のままレンジ加熱することができ、トレーもついているので洗い物が出ない。食べたい! と思ったときに食べることができ、しっかり辛さも味わえて、内容量が390gと男性でも満足できるボリュームだ。「この商品は男性ワーキングシングルの夕食を強く想定しています。ボリューム感も欲しい忙しい男性に好評です」(高橋さん)(※ただし、この商品はスーパーのみでの販売)。
他社メーカーのものも含めると、担々麺、麻婆味、麻辣味、カレー風味やジャージャー麺などもあり、麺も中華麺だけでなく、うどんや刀削麺(包丁で削ぐように作る麺)をアレンジしたものも。好みの一品を見つけるのも楽しそうだ。
「汁なし冷凍麺」を食べてみた
コンビニ大手「セブン-イレブン」では、汁なし冷凍麺「セブンプレミアム 蒙古タンメン中本 汁なし麻辛麺(マーシンメン)」(税込321円)を販売中。関東に展開する辛旨ラーメンの名店「蒙古タンメン中本」監修によるオリジナルメニューで、2018年6月に全国で発売したものの、予想以上の売れ行きで一時供給が追い付かなくなったほどの人気商品だ(※現在は全国のセブン-イレブンで販売中)。
パッケージを開封すると、麺とソース、豚肉や豆腐、ニラ等の具材が内袋に一緒に包まれており、麺を内袋ごとレンジで加熱する。皿に盛りつけてから、付属の「花椒入り辣油」を加える量で辛さを調節することができる。辣油を一袋すべてかけると「激辛」になるそうだ。「激辛」だとどのくらいなのか少々不安になりつつ、一気に辣油を全部かけて食べてみた。
まずはじめに感じるのは、ピリッとした辛さと旨味! 肉やニラの旨味、花椒の香りが食欲をそそる。麺は平打ちの中華麺でシコシコと歯ごたえがいい。角切りのタケノコとぷるぷるの豆腐が食感のアクセントとなっている。
2口、3口と食べ進めると、か、辛い! 食べるごとに口がヒリヒリと熱くなってきて、水を挟まないと食べられなくなってしまった。さすが激辛、とうなってしまう辛さだ。これなら本当に辛いものが得意な人でも満足できそうだ。
「この商品は冷凍食品だけのオリジナルメニューで、メニューの考案から『蒙古タンメン中本』の白根社長と一緒に開発を始めました。レンジだけで調理が終わるという利便性を追求した結果、“汁なし麺”が良いという結論に達しましたが、『蒙古タンメン中本』には定番の汁なしメニューがなかったので、メニュー考案から麺の配合や味の調整まで1から作り上げることになりました」(セブン-イレブン・ジャパン商品本部FF・惣菜部 阪上かおるさん)。
インパクトのある味は冷凍麺としても話題となり、「一般的な冷凍麺は40~60代女性が購入されていることが多いのですが、『セブンプレミアム 蒙古タンメン中本 汁なし麻辛麺』については20代や30代の方の購入が多く、今まであまり冷凍食品の利用がなかった方にもご利用いただいています」(阪上さん)とのこと。家庭でなかなか再現できない味だけに、やみつきになってしまいそうだ。
多忙な毎日の中で、食事はストレスを軽減するためにも貴重なリラックスタイム。今食べたい味をすぐに食べられる冷凍食品は、ビジネスマンにとってうれしい味方となりそうだ。疲れていて食事を用意するのも外食に行くのも面倒! というときには、手軽で味も抜群な冷凍麺を試してみては。