「人間の臓器は何でしょう? 」という質問をされたとき、心臓や肝臓、脳などの名前をあげる方が多いと思います。すべて正しい答えです。ただ、「肌」も実は臓器であることは、なかなかイメージしにくいのではないでしょうか。
肌は体の表面を覆い、外界からの保護機能(バリア)で内部を守ることに加え、「体温調節機能」「分泌・排泄機能」「免疫機能」など、生命の維持に欠かせない機能を備えた立派で不思議な臓器なのです。今回はこの肌に焦点を当てながら、アンチエイジングについて語ってみたいと思います。
私たちの肌面積は1畳に相当?
まずは、肌のちょっとした知識からお伝えしていきます。「全身の肌面積は、畳1畳分に相当する」という言葉を聞いたことはありませんか? 1畳というとかなりの広さに思えますが、はたして本当なのでしょうか。体格がほぼ日本人と同様の韓国で実際に行われた調査をご紹介します。
韓国食品医薬品安全庁(KFDA)が2007年から3年間にわたり、韓国国民の「性別・年齢別・身体部位別」に肌面積を実測しました。調査の結果、成人男性では1.6810平方メートル(A4用紙約27枚分)、成人女性では1.4993平方メートル(A4用紙24枚分)であることがわかりました。
畳1畳(中京間)の面積は1.656平方メートルですので、肌の面積が「ほぼ畳1畳分」に相当することは正しいようです。さらに過去の法医学論文なども調べたところ、体全体の皮膚の重さは約10kg(皮下組織含む)で、心臓(約270g)や肝臓(約1.3~1.5kg)と比べても、肌は非常に重いことがわかります。
次に肌の構造についてです。肌は、表面側から(1)表皮層、(2)真皮層、(3)皮下組織層の3層構造となっています。年齢が進む(エイジング)と表皮層が薄くなり、真皮層は水分量が低下して萎縮し、皮下脂肪も減少します。その結果として、肌は弾力や柔軟性を失い、しわやシミなどの加齢症状が発生します。
多くの臓器は体内にあるため、外界の刺激から守られています。ところが、肌の一部は常に外気にさらされており、衣類を脱いでしまえば完全に"無防備"な状態です。特に顔や手は、日常生活の中でも紫外線などの過酷な環境にさらされています。女性の場合、化粧がバリアの役割を果たしていますが、化粧をしない男性の肌は女性以上に無防備と言えます。