私たちは何歳まで生きることが可能なのだろうか

私たちは何歳まで生きることが可能なのだろうか

「人はみな 星の海を見ながら旅に出る。想いえがいた希望を追い求めて、果てしなく旅は長く、人はやがて、夢を追い求める旅のうちに永遠の眠りにつく」

「永遠の命<機械の体>」を手に入れるため、少年・星野鉄郎が謎の美女・メーテルと宇宙を旅する松本零士氏のアニメ作品『銀河鉄道999』のオープニングです。

私はここに「人が生きることや老い、死」そして「アンチエイジング(Anti-Aging)」を理解するための大きなヒントが隠されていると考えています。

不老不死は人間の夢?

「機械の体」による永遠の命は現代でも叶えられていませんが、医学が発達していない大昔から「不老不死」は人間の夢でした。古代中国・秦の始皇帝が不老不死の薬を探すため、家来を世界中に派遣した逸話があります。ようやく始皇帝が入手し使った秘薬には「水銀」が大量に含まれ、却って寿命を短くしてしまいました。

ただ、始皇帝だけが特別だったわけではなく、「水銀は薬で健康に役立つ」との認識は、日本でも400年ほど前までは当たり前のことでした。これにはさまざまな逸話がありますので、別の記事で書いていこうと思います。

地上に生命を得た瞬間が「誕生」ならば、生命を失ったときが「死」と言えるでしょう。「死」は人間や動物だけではなく、「枯れる=死」として植物などにも起こります。細胞や分子でさえ、「死」からは逃れられません。死後の世界は、民俗的・宗教的な見解でいろいろあるとはいえ、生きている人間にとって、「死」は生前決して見ることや体験できない未知の世界であることは間違いありません。

「年齢を重ねる」とは?

誕生日を迎えると「年を取ったなあ」と感じる方は多いでしょう。医学的に年齢を重ねること(加齢)には「物理的な加齢」と「生物的な加齢」の2種類があります。

「物理的な加齢」は、物理的な時間の経過によって秩序ある構造(細胞、臓器、人体)がしだいに劣化することです。「生物的な加齢」は「物理的な加齢」が作り出した劣化現象が蓄積し、他覚的・自覚的に認められる変化が、不可逆的に身体や精神の中に出現してくるプロセスを指します。「物理的な加齢+生物的な加齢」の結果として、「老化現象」が起こります。