1990年式のフォルクスワーゲン「ゴルフⅡ」にしばらく乗っていて気になり始めたのが、夜間に点灯するメーターや空調の照明が暗いこと。メーターの色調がグリーンであることと、筆者の年齢による視力の衰え……という2つの理由があるとは思うのだが、なんとかならないのだろうか!

  • フォルクスワーゲン「ゴルフⅡ」

    あちこちに出没するようになった愛車の「ゴルフⅡ」(写真は長距離トラックだらけの圏央道厚木PA)なのだが、夜間走行にはちょっと不安があった

メーターと空調部の電球をLED化すると…

調整ダイヤルをいっぱいまで回しても、ゴルフⅡの車内はほんのり明るいという程度だ。整備をお願いしているスピニングガレージのメカニック・小磯さんに相談すると、「それでも、まだ明るい方です」とのこと。ただ、「やるとしたらLED化という手があります」との話だったので、すぐに日程を調整してスピニングガレージに駆け込んだ。

照明をLED化する作業は、造形家であり総合格闘技「ZST」初代バンタム級王者でもあるという強烈な経歴を持つ藤原敬典メカの仕事だ。写真を撮らせてもらっていると、肩から二の腕にかけての筋肉の盛り上がり方がハンパじゃない。ただものでないことがすぐにわかる。とはいえ、その仕事ぶりは「格闘家にしておくのは勿体無いほど」(笑)と言われるくらい、器用で細かいという。安心して任せられる。作業はこんな風に進んでいった。

  • フォルクスワーゲン「ゴルフⅡ」

    格闘家の一面を持つ藤原メカがLED化の作業を担当。腕の筋肉がその経歴を物語っている

まず、エアコンのパネルを外して内部の電球を確認すると、30年以上は交換された形跡がなく、熱で黒いカバーの一部が溶けていた。ラジオペンチやカッター、ドライバーを使って台座が壊れないよう慎重に電球をはずし、小さなLED電球に交換することができた。

  • フォルクスワーゲン「ゴルフⅡ」

    ダッシュボードからメーターパネルとエアコンパネルを外した状態。アナログ感満点だ

  • フォルクスワーゲン「ゴルフⅡ」

    ダッシュボードから取り外したエアコンパネル

  • フォルクスワーゲン「ゴルフⅡ」

    古い電球のひとつ目はすぐに外れた

  • フォルクスワーゲン「ゴルフⅡ」
  • フォルクスワーゲン「ゴルフⅡ」
  • もうひとつは30年という長い年月を経て一部が熱で溶けていた。カッターなどを使い慎重に取り外した

メーター照明は裏側に3カ所の取り付け穴がある。使用したLEDはヘッドライト(すでにLED化済み)と同じクルーズ社製。少し前のものだと極性があって、装着しても点いたり点かなかったりするものが多かったらしいのだが、最新のものは極性がないので簡単に取り付けられるようになったという。

  • フォルクスワーゲン「ゴルフⅡ」

    新しいLEDライトはこんな形

  • フォルクスワーゲン「ゴルフⅡ」

    極性がないことをうたうクルーズのLED電球のカタログ

  • フォルクスワーゲン「ゴルフⅡ」

    取り外したメーター部の裏側はこんな感じ

新型は調光ダイヤルで明るさが調整できるようになっているのもうれしいところ。小さなLED電球ひとつをとっても日進月歩のアップデートが行われているようで、「クルーズさん、ありがとう」(藤原メカ)とのことだった。

ちなみにゴルフⅡはメーター裏側のプリント回線(青色のフィルム部分)が劣化しているものが多いらしく、電球の付け外しのときにちょっと無理をすると破れたりすることがあるので要注意だ。今回の基盤はかなり状態が良いものだった。

  • フォルクスワーゲン「ゴルフⅡ」

    薄いフィルムを使ったメーターのプリント回線部分が劣化しているものが多いという。こちらは綺麗な方だった

  • フォルクスワーゲン「ゴルフⅡ」

    交換前のメーター照明は写真で見るよりも薄暗く、古臭さを感じさせる要因になっていた

取り付けが終わってピット内で点灯してみると違いは歴然。以前は明るいトンネル内で点灯しても点いているのかどうかわからないくらいだったのが、いまや昼間でもしっかりとわかるほどだ。LEDはグリーンの彩度が高いので、小さな文字のひとつひとつがはっきりと読み取れるし、針の位置が一瞬でわかる。これなら夜間走行が安全かつ楽になりそうだ。

  • フォルクスワーゲン「ゴルフⅡ」
  • フォルクスワーゲン「ゴルフⅡ」
  • LED球への交換後は鮮やかな緑色に発光し、夜間でも安心してドライブができるようになった

  • フォルクスワーゲン「ゴルフⅡ」

    メーターの針の位置や細かな文字が瞬時にはっきりと読み取れるようになった

もう1カ所、サイドブレーキランプも点灯しなくなっていたのだが、こちらは単純に接触が悪かったようで、ダッシュボードを叩いたら点灯しだした。その場にいた「部品博士」の異名を持つ飯岡勇メカによれば、「叩くにしても、適切なトルクで叩くことが必要です(笑)」とのこと。念のため、電球は新しいものに交換しておいたのだが、とりあえず「叩く」というのは古いクルマの定番の治し方だ。

  • フォルクスワーゲン「ゴルフⅡ」

    ダッシュボードをトントンと叩いたら赤色に点灯するようになったサイドブレーキランプだが、念のため新品に交換した

ここまでの費用はLEDメーター球3個セット3,630円、作業料金1万7,600円、エアコンLEDパネル加工代7,040円、サイドブレーキランプ電球交換3,520円というものだった。

割れていたリアボードを自前で修理

もうひとつ、ゴルフⅡの修理の話を。

筆者のゴルフⅡは、リアボードの右側後端が「く」の字に割れていて、棚全体が右側に傾く形になっていた。すでに新品はなく、程度の良いものがなかなか見つからないということで、自力で修理することに。近所のケイヨーデイツーで購入したのは、頭部が大きな「ステントラス小ネジ(太さM6 ×長さ25mm)」4本と、長さ200mm×幅15mmの「YAHATA K3型補助金具(カチオン電着塗装の黒)」2本。費用は合計で1,200円前後だった。

  • フォルクスワーゲン「ゴルフⅡ」

    右端が折れて「く」の字に曲がっていたリアボード

  • フォルクスワーゲン「ゴルフⅡ」

    ホームセンターで購入したスチールの板とボルト、ナットで修理した

割れた部分の左右が直線になるような位置にドリルで4つの穴を開け、表と裏に金具をあてがい、ネジとナットで留めるというのが修理の方法だ。これでおおむね平らにすることができた。小磯メカの評価は「なかなかガッチリとやりましたね」というものだった。

  • フォルクスワーゲン「ゴルフⅡ」

    自前の修理でほぼ平らになったリアボード

  • フォルクスワーゲン「ゴルフⅡ」

    修理した部分を裏側から見るとこんな感じ

ちぎれていたボードのつりゴムもスピニングガレージで購入(サードパーティ製で880円/1本)。右側もそのうち切れるかもしれないので、予備も1本手に入れておいた。

  • フォルクスワーゲン「ゴルフⅡ」

    ちぎれていたボードのつりゴムを交換して取り付けた

  • フォルクスワーゲン「ゴルフⅡ」

    交換したつりゴムはサードパーティ製で、輪っかの部分の形状が微妙に異なっている。右側は純正品でメーカーの部品番号の刻印がある