今回は、中古ゴルフショップにおける女性用のフロアやクラブの品揃えについて。前回までは「フェスティバルゴルフ上野本店」の3階フロアだったが、女性用の商品はひとつ上の階、4階に設けられている。案内をしてくれるのは前回までに引き続いて、副店長・横山宗明さん。「女性コーナーというのを、いままでいろんなところに置いていたんですけど、落ち着いて見てもらえるように、スペースとしてはゆったり設けました」。確かに、先ほどまでみていたコーナーのようにクラブの数に圧倒される、といった雰囲気はない。

「フェスティバルゴルフ上野本店」4階のレディースフロア。ピンクやブルーなど女性を意識したゴルフグッズが並ぶ

新品が「未使用品」として並ぶ女性ゴルフグッズ

在庫数はどれくらいあるのだろうか? 横山さんにうかがうと、「300くらいでしょうか」との答えが返ってきた。

副店長の横山さん。パターの試打は女性フロアの4階でできる

「(300という数は)中古市場として厳しいですが、中古ゴルフショップの中では揃っている方だと思います。お客さまに来ていただいたときに種類が無いと困るので、新品を入れたりもします。黄色い値札は新品です。中古ショップに来て新品ばかりだとつまらないので(笑)、ビニールをかぶっているものは新品なんですけども『未使用品』という、中古扱いの新品になっています」。

また、道具にこだわり、一生懸命クラブを磨いて綺麗にしている男性ゴルファーが多いのに比べ、あまり頓着せず磨いたこともないという人が多いのも女性ゴルファーの特徴だという。

「偏見かもしれないんですけど、女性は男性よりもクラブをやや雑に扱う方が多いように思います。例えば、アイアンと違って、ウッドは構えたときにヘッド部分の傷が目に入るクラブはダメなんです。そこに傷をつけるのが一番致命傷です。ところが、女性の場合は、わりとここを傷つけてしまわれていることが多いんです」(横山さん)。

傷が付いたものは、中古市場に出しても商品としての価値が低い。もちろん価値が下がれば値段も下がるが、それが売れるのかどうかは、また別の話になってしまう。例えば、中古ゴルフショップに行ったとき、安いけれども傷が付いたクラブしか置いてなかったとしたら、どうだろうか。中古市場に出回る女性用クラブの数は、元々少ない。もし、自分のクラブを傷つけてしまっている心当たりのある女性ゴルファーがいるようなら、これからはクラブを大事に扱うように心がけてほしい。

意外? かわいい女性向け小物を発見

とはいえ、女性がゴルフをするとき、クラブだけでなく、ファッション性も気になるところ。どうせなら、自分が気に入ったかわいいゴルフバッグやヘッドカバーを愛用したい。実際、お店の一角には、ファッション誌でも取り上げられたAme & Lulu(アメルル)のヘッドカバーなどのアイテムが置かれ、一際目を引いていた。

Tシャツや帽子、シューズケースなど女性グッズが意外にも多い。右は鮮やかな配色で女性誌でも紹介されたというアメリカブランドの"Ame & Lulu(アメルル)"

「いままでゴルフ業界は、男性が考えてきたんだと思います。女性なら、赤だとかピンクが好きなのだろうって考えて、そうした色の商品が並びました。ですが、どちらかというと、テーラーメイドとかキャロウェイといった欧米メーカーの方が、今の女性ゴルファーのニーズに対応しているかもしれません」(横山さん)。

確かに、カラフルな色使いのゴルフバッグのメーカーを見ると、ほとんどが欧米メーカーのもの。その数、10種類弱。また、レジ横には、スワロフスキーのボールマーカーも置いてあった。女性用の商品数は決して多くはないが、こうした小物まで揃っているとは思わなかった。人によっては掘り出し物が見つかる可能性があるのではないだろうか。

"女性だからかわいい色"というのではない、女性の好みのゴルフバッグが最近になって増えたという

スワロフスキーのボールマーカー。「ほとんどが1点もの」とのことで、花モチーフのほか、てんとう虫、国旗等のマーカーがあった

では、実際に中古ショップを訪れるのはどういった女性ゴルファーなのだろう。横山さんによると、洋服を買うのと同じような感覚でふらりとお店を訪れる方が多いそうだ。「女性のお客さまは、ご自分でゴルフをやるという方だと、平日の夕方くらいにいらっしゃることが多いでしょうか。会社帰りに来るのだと思います。2人ではなくてお1人でいらっしゃいますね」。これは、女性グッズエリアを別にしているためかもしれない。

また、横山さんによると、ゴルフのレッスンスクールに通っている人も多いらしい。「○○さんからこういうのが良いと言われたんだけど……」「スクールの先生にこういうのが良いと言われた」と言って、商品を探しに来ることもよくあるとのこと。確かに、中古ショップなら、過去のクラブでも在庫が揃っている可能性が高い。他人からアドバイスを受けたときも、目的のクラブが見つかりやすくなる。こうして、中古ショップを賢く活用している人も多いようだ。

ただし、常駐している女性スタッフは現在1名(同店)。女性客に対しては、女性スタッフが対応するのだろうと思ったら、どうやらそんなこともないらしい。「あまりお客さまにべったりつくような接客はしないようにしているのですが、なにも得るものもなくグルッと回って帰ってしまわれるのももったいないと思うので、うちの店員は、『わからないことがあったら言って下さいね』とか、1回は声をかけるようにしているんです。そうすると、女性のお客さまはコミュニケーションを取っていただけることが多いですね」。

女性ゴルファーも増えるにつれ、中古ゴルフショップへ赴く女性も増える?

ゴルフは奥が深く、あまりにも選択肢が多い世界。中には、そうした接客を煩わしく感じる人もいるかもしれない。だが、連載第1回でも書いたが、お店のスタッフをコンシェルジュやお抱えの担当医だと思って会話を楽しんだ方が、充実したゴルフライフに近づけるのである。

最終回となる次回は、中古ゴルフショップで商品を売るときの注意点や、査定を高くしてもらうポイントをお伝えしよう。