最近投資家の間で注目を集めている「ETF」。この金融商品は「株価指数連動型上場投資信託」とも呼ばれ、株価指数に連動した投資信託として証券取引所で取引されているため、株と同じように証券会社を介して購入できる金融商品だ。いわば、株と投資信託のメリットを合わせたような特徴を持つETFは、リスクヘッジにも長けていて初心者でも手を出しやすい。そこで今回は、注目の集まるETFについて分かりやすく説明していこう。

主な登場人物

舞込さとし(32歳)・まゆみ(28歳) 結婚3年目に突入した舞込夫婦。そろそろ子どもも欲しいけれど、お金もかかるし面倒か……と、ついつい会社以外ではぐうたらと過ごしてしまう2人。

マイカブ君(年齢不詳) 舞込夫婦のパソコンから突如として現れたネット株の妖精(?)。ネット株の便利さを伝えるために奔走しているが、お化けと間違えられる日々。

※この物語はフィクションであり、実在の人物、団体とは関係がありません。

上場している投資信託「ETF」で、次の投資へステップアップ!

さまざまな分析方法や機能を知り、だんだんと国内株式の売買もサマになってきた舞込夫婦。となると、次に気になるのは、証券会社で紹介している他の金融商品だ。何か良い商品はないかと調べているところへ、目に留まった「ETF」の文字。投資信託にもかかわらず、株式と同様に成行や指値で注文できるETFに興味を示す2人に、マイカブ君が注目ポイントを教えてくれることに。株に慣れてきたら、他の商品も視野に入れてみよう!

ねえ、さとし。株式売買もそろそろ慣れてきたし、今度は別の商品に投資してみるのもおもしろいと思わない!?

え~っ!? 僕は今のままでもいいような気もするけど……。例えば、どんな商品があるの?

えっと~、FXや投資信託、信用取引、ETF……、種類はいっぱいありそうよ?

う~ん……。確かにいろいろな商品があるけどさ。わざわざ他の商品に手を出す必要があるかな?

まゆみの言うことも一理あるカブ! さまざまな商品を組み合わせて購入するのは、リスクを避ける意味でとても大事なことだよ。

え!? そうなの?

たとえば、国内株式だけ持っていても、大きなニュースが入って全体的に相場が下がったとする。そしたら、一気に自分の保有株も値下がりするよね?

残念だけど、そうなるわね。

そういった場合に他の商品を保有しておけば、自分の資産が減るリスクを軽減できるでしょ?

あ、たしかに! 予算の範囲内であれば、バランスを考えてさまざまな商品を購入することは、リスクヘッジになるのか。

ほら、あたしの意見が合っていたじゃない!?

はいはい! でもマイカブ君、初心者がいきなり他の商品に手を出すのって不安じゃないかな? なにかオススメの商品ってある?

う~ん。人によって状況はさまざまだから難しいところだけど、ETFがチャレンジしやすいんじゃないかな!?

そうそう、ETFって何のこと?

FXや投資信託はよく耳にするけど、ETFはあまり聞きなれない商品だよね。

ETFというのは、「株価指数連動型上場投資信託」といって、証券取引所に上場している投資信託のことなんだ。

なんで、ETFが初心者向けだと思うの?

ETFは投資信託と違って、株式と同じように証券会社から購入することが可能なんだ。

株と同じってこと?

つまり、証券会社の取引時間であればリアルタイムで売買できるってことカブ。チャートもあるし、成行や指値注文を使って、通常行っている株取引と同じ感覚で購入できるカブ。

なるほどね! それなら、株式と同じ考えで売買できるから戸惑わなくて済むよね。

しかも、ETFは株価指数に連動する複数の銘柄で構成するから、個別株を買うよりもリスクが分散できるんだ。

株価指数に連動しているって……?

TOPIXや日経平均株価など、株には市場全体の値動きを示す指標があるでしょう。その数値に連動しているんだよ。

それなら、株をやっている人にはわかりやすいよね!!

そう。たとえば、TOPIX連動型のETFを購入した場合、東証1部の全銘柄を少しずつ購入したような分散投資の効果が得られるってわけ!

すごいじゃない!

それなら、ニュースやWebからも簡単に情報を得られるから、投資のタイミングも見つけやすいね。

現状では、金や外国株価指数に連動した銘柄もあるから、50種類以上もそろっているカブ。






貸株サービスとは……

ここでマイカブ君の補足をしておきましょう。

株式と同様に、証券取引所に上場されている投資信託として最近注目を集める「ETF」は、株と同じように証券会社を介して購入することができます。もちろん、成行注文や指値注文なども利用可能です。さらに、通常の投資信託と比べ信託報酬(投資信託を保有する際に日割りで負担する費用)が低いのもメリットといえます。

また、2008年6月の規制緩和により、国内株以外の資産の組み入れが可能になったため、海外の株価指数に連動した商品も扱われるようになりました。今では、中国や南アフリカ、ブラジルなどの外国株価指数に連動した商品をはじめ、金現物連動型、国内のエネルギー資源や医薬品など業種別にテーマを絞ったETFなどを購入できます。今後は、新たな新興国など注目される分野のETFの登場も期待できるでしょう。

ただし、海外の証券取引所で売買されているETFに関しては、各証券会社によってその扱いが異なりますので、口座を開いている証券会社のホームページなどで調べてみるといいでしょう。また海外ETFに関しては、為替手数料などの料金がかかる点に注意してください。

ねぇマイカブ君、すごい商品なのはわかったのだけど、購入時の注意点とかあるのかしら?

基本は株式と同じ考え方なんだけど、ETFにはあまり取引されていないような銘柄もあるから、出来高を見ることが大切カブ。

いざ売るときに買い手がつかないなんてこともでてくるのかな?

そうそう。あと、投資信託は原則として1万円から購入できるけど、ETFは数万円から数十万円ぐらいかかる場合が多いんだ。

ある程度、元手が必要になるってことかぁ。

あまり高いと手が出せないわねぇ……。

そうだね。でも、自分の余裕資産のなかでやり取りする原則は、忘れちゃダメだよ。

ETFも個別株みたいに値動きは活発なの?

銘柄にもよるけれど、基本的にETFは個別株とちがって値動きが緩やかな傾向があるかな。

それなら、長く保有するのに向いているわね。

もちろん、状況によっては大きく動く場合もあるから、ニュースはしっかりチェックしようね。

は~い、わかってま~す。

いい返事カブ! 今後は、規制緩和によって新しいETFの登場が期待されているから、ますますETF市場は活発になるかもね。

よ~し、ここはひとつ買ってみるか~!?

まゆみ、勢いで決めちゃだめだって~!!

まゆみは素直なんだか、単純なんだか、株より難しいカブ。






予告

ETFなどの商品をチェックしたら、今度はいよいよ信用取引にも注目してみよう。信用取引は、売りポジションから入れたり、レバレッジが利用できたりと、株とはまた違った魅力のある商品となっている。

※本連載では、株式投資に関する疑問や質問などを随時募集していますので、こちらから気軽にお送りください。

(イラスト : 岩井勝之)