だんだんと株の売買にも慣れてきた様子の舞込夫婦。休日に買い物を満喫しながらも、頭が投資家モードに切りかわり、季節によって株価が変動する銘柄があることに気付く。しかし、新たな銘柄選びの視点を見つけたまではよかったのだが、銘柄ごとの買い時のタイミングがわからず悩んでしまう。そこで今回は、マイカブ君が季節ごとに動く「シーズンストック」と、銘柄を購入する際の注意点について詳しく教えてくれることに!

主な登場人物

舞込さとし(32歳)・まゆみ(28歳) 結婚3年目に突入した舞込夫婦。そろそろ子どもも欲しいけれど、お金もかかるし面倒か……と、ついつい会社以外ではぐうたらと過ごしてしまう2人

マイカブ君(年齢不詳) 舞込夫婦のパソコンから突如として現れたネット株の妖精(?)。ネット株の便利さを伝えるために奔走しているが、お化けと間違えられる日々

※この物語はフィクションであり、実在の人物、団体とは関係がありません。

花粉症やサマーラリー、季節ごとに動く銘柄をチェック!

とある休日の午後、夏に向けての買い物に出かけたさとしとまゆみは、夏に欠かせない商品の数々を前にして、あることに気付く。それは、夏には暑いからこそ売れる商品があり、商品が売れることによって、株価が動く銘柄があるのではないかということ。つまり、四季のある日本だからこそ、季節ごとに動く銘柄があることに着目したのだ。そこで2人は、マイカブ君にシーズンストックの買い方について教えてもらうことに。

う~ん、このエアコン、さっきのお店のほうが安かったわよね?

そうだね……。でも、こっちはさっきのお店より安いよ~?

機能が多すぎて比較が難しいのよ~!!

でも今年こそは新しいのが欲しいもんね……。

あぁ~、どっちにしようか悩むわ~!!

あ、そういえば

ん? どっちにするのか決まったの?

そうじゃないけど、やっぱり夏ってエアコンが売れるよね~?

あたりまえじゃない! 暑いんだもの、欲しい人も多いでしょ?

ってことは……。人気のエアコンを売っている会社が潤うってことだよね!

あ、確かにそうよね。でもそれって、エアコンに限らないわよね。

そうそう。ビールや清涼飲料水、旅行会社なんかも夏には大活躍するってことだよね!!

つまり、夏に関連する会社の株を買っておけば、儲けられるってことかしら?

よくできました~!!

びっくりしたぁ……。でもマイカブ君がほめてくれるってことは大正解ってことだよね!

さとし、やるじゃない~!!

えへへ……。

そう、さとしの銘柄選びの視点は合格点だよ! この時期は「サマーラリー」といって、暑ければ暑いほど消費が伸びるから、関連会社の株価は大きく伸びるんだ。

そうなの!? ってことは、エアコンを買ってる場合じゃないってこと?

残念ながら、夏に関連した銘柄を今買うのはオススメできないカブ。

え~、どうゆうこと?

それはね、夏直前の今はもう株価が上がりだしているから、今から株を買っても、それほどの利益は見込めないってことなんだ。







シーズンストックとは?

銘柄選びのひとつとして、四季ごとに変化する銘柄「シーズンストック」を利用する方法があります。まず、さとしやまゆみのように季節ごとに需要のある商品やその商品を扱っている会社をピックアップしてみてください。

たとえば、花粉症の季節であればマスクや花粉症関連の医薬品を扱う会社、ゴールデンウィークであれば旅行関連会社、夏ならばアイスビールやエアコン、クリスマスには玩具関連やバーゲンなどを行う百貨店などに注目してみましょう。

しかし、シーズンストックを購入するのにも注意点があります。というのも、その季節になってから関連銘柄を購入したのでは、誰もがそれらの銘柄に注目しているため、株価が上がりきり、利益を出すのが難しくなってしまうからです。

ですから、シーズンが到来する3ヶ月から半年前に注目銘柄の株価をチェックして購入しておき、シーズンが到来して株価が上昇したと同時に売るというのが、シーズンストックを利用する際のポイントになります。

ただし、シーズンストックの動きは毎年異なります。去年大きく動いたからといって今年も動くとはかぎりません。冷夏・暖冬などの理由により、株価が動かない場合もありますので、年毎の動きもチェックする必要があるでしょう。

たしかにそうよね。夏になれば夏に関連した商品が増えるから、その会社の株も注目されるのがあたりまえだわ!

ということは、今注目しておきたいのはクリスマス関連商品ってことになるのかぁ。

有名な株の格言に「麦わら帽子は冬に買え」っていうのがあるんだけど、これでその意味がわかるカブ?

はい、よ~くわかりました!

ねぇ、マイカブ君。シーズンストックは花粉症やゴールデンウィーク、サマーラリー、クリスマスの4種類だけ?

実は、そのほかにも1月の「ご祝儀相場」や3月の「決算相場」、12月「餅つき相場」なんてのもあるよ。

決算相場はなんとなくわかるけど、ご祝儀と餅つきっていうのは何かしら?

ご祝儀相場は、新しい年への期待から上昇する相場で、餅つき相場は年末に「餅代を稼ぐ」という意味合いで売買する人が増加する相場のことだよ。

全体的に上昇する相場なのかな?

過去10年でも約7割の確立で上昇している相場なんだけど、実は上昇期間は長くないんだ。

ということは……?

特に餅つき相場に関しては、初心者は様子見程度にしておくのが無難かな。

経験を積んでからってことだね!

勉強になりました~!! さとし、帰るわよ。

あれ? まゆみ、エアコンは?

エアコンよりクリスマスよ!!

えぇ~、そんなぁ~!!







予告

ちょっと目を離したすきに買い時(売り時)のタイミングを逃してしまったまゆみ。悔しがるさとしとまゆみに、マイカブ君が便利な機能があることを教えてくれる。多くの証券会社から提供されている、効率よく売買するための+α機能とは?

※「株式用語の基礎知識」では、株式投資に関する疑問や質問などを随時募集しています。こちらから気軽にお送りください。

イラスト : 岩井勝之