代表的な銘柄の分析方法となるテクニカル分析、ファンダメンタルズ分析を駆使しはじめた舞込夫婦。さらに、実際の売買にも慣れてきた2人に、マイカブ君が更なる銘柄選びの方法として株と為替の関係について説明することに。株と為替は、あまり関係がないように思えるが、円高・円安のしくみと共に、為替は株に深く関わっていることを知っておこう!
主な登場人物
舞込さとし(32歳)・まゆみ(28歳) 結婚3年目に突入した舞込夫婦。そろそろ子どもも欲しいけれど、お金もかかるし面倒か……と、ついつい会社以外ではぐうたらと過ごしてしまう2人 |
マイカブ君(年齢不詳) 舞込夫婦のパソコンから突如として現れたネット株の妖精(?)。ネット株の便利さを伝えるために奔走しているが、お化けと間違えられる日々 |
※この物語はフィクションであり、実在の人物、団体とは関係がありません。
企業の株価に影響する「円高・円安」の存在
銘柄の分析もすっかり日課になりつつあるさとしとまゆみ。いつものようにニュースチェックをしていると、さとしがある言葉に引っかかる。それは、「為替」。為替の動向が国内企業の輸入や輸出にも関係してくるのでは……と、考えたさとしは、まゆみに銘柄選びの参考になるかもと持ちかけるが、興味のない様子のまゆみ。そこでマイカブ君が、為替と株の関係について詳しく教えることに。
ねぇ、まゆみ。前から思っていたんだけど、ニュースには日経平均株価と一緒に為替の動きも表示されるよね?
ん~たしかにそうね。国内の株式市場だけでなく、為替だから、世界の通貨の動きも重要ってことかしら。
もちろん、そうなんだけど……。それだけじゃないんじゃないかなぁ?
どうゆう意味?
えっとね、国内の企業には輸入や輸出がメインの会社もあるでしょ。
まぁ、そうよね。
ってことは、為替の動きによって企業の価値も変化するんじゃないかってことなんだけど。
……う~ん?
うまく説明できないなぁ。えっと……。
ハイハイ、そんな時こそ僕の出番だよね?
ん~マイカブ君が登場するってことは、やっぱり株にも関係あるってことか……。
信用ないなぁ……僕って。
まぁまぁ。マイカブ君、為替も株に関係あるのかしら?
さとしは良いところに注目したんだよ。為替と株には深い関わりがあるんだ。
やっぱりね。でも、うまく説明できないんだよ~!
はいはい。じゃ、まず「円高」「円安」について2人はどれだけ知ってるかな?
えっと……。円高は円の価値が高いってことかな、円安はその逆で円の価値が低いってこと?
円が下がっているから円安かなぁ?
はい、ハズレ~!
え!? どうして?
ここがポイントなんだけど、通常は円の数値が下がると、価値が低くなる=安くなるってイメージがあるんだけど、この場合は「ドルの価値が円の価値に対して下がっている」って見なきゃダメなんだ。つまり、円の価値そのものは上がっているから「円高」になるんだよ。
ここで、マイカブ君の補足をしておきましょう。そもそも為替とは、日本なら「円」、アメリカなら「ドル」、EU圏なら「ユーロ」というような自国での流通通貨をほかの国の通貨に交換、またはほかの国の通貨を自国の通貨に交換することをいいます。
その為替に関連する言葉として「円高」「円安」があり、「円高」は「ほかの通貨に対して円の価値が上がる」ことを意味しています。逆に「円安」は、「ほかの通貨に対して円の価値が下がる」ことを意味しているわけです。
一般的に、日本の企業が海外へ製品を輸出する場合には「円安」が有利に働くといわれており、逆に海外から輸入する場合には「円高」が有利に働くといわれています。その詳細を、マイカブ君に解説してもらいましょう。
でも、なんで「円高」の時は輸入に有利で、輸出に不利になるのかな?
そこは簡単カブ。例えば、1台12,000ドルの車を輸出する場合、1ドルが105円であれば126万円の売り上げになるよね? でも、円高によって1ドルが100円になると……。
1台120万円になっちゃうわ!
逆に1ドルが110円になって「円安」になると、132万円になる!
ほら、実際に計算すればわかるカブ? 企業に支払われるのは同じ12,000ドルだけど、ドルのままじゃ使えない。だから、輸出して入ってきたお金を最終的に円に両替してみると「円高」では売り上げが減って、「円安」では売り上げが増えることになるんだよ。
ってことは、逆に1個5,000ドルのブランドバックを輸入する場合だと……。
1ドルが105円なら52万5,000円だけど、円高によって1ドルが100円になれば50万円だぁ~!!
そのとおり。円高が輸入に有利な理由もわかったでしょう?
納得したわ! ブランドものを買うときは気をつけなきゃいけないわね。
まったくもぅ。輸出・輸入関連企業に投資する場合には、為替の動向もチェックしておかなきゃってことだよ~!
まぁまぁ、でもこれで、輸出・輸入関連企業の株価が大きく動く際には、為替も大きく動いている可能性が高いってことがわかったでしょ?
そうそう、それが言いたかったんだよ~!
ちゃんと説明できなきゃ意味がないじゃない!!
うぅ……。でも、これからはニュースで「為替相場が円高(円安)に推移する傾向が……」なんて単語が表れたら、要チェックなんだね。
またひとつ賢くなった気がするわ!
2人とも、頑張るカブ~!!
予告
ある日、舞込家に届いた1枚の通知。そこには「配当金」という文字が。浮かれるさとしとまゆみに、いい機会だからとマイカブ君が株で得られる利益について説明してくれることに。次回は、キャピタルゲインとインカムゲインについて紹介します。
※「株式用語の基礎知識」では、株式投資に関する疑問や質問などを随時募集しています。こちらから気軽にお送りください。
イラスト : 岩井勝之