ここ数年続く投資ブーム。なかでも、初心者でも気軽に始めることができる代表的な金融商品となるのが「株式投資」です。とはいえ、いざ口座を開設する証券会社を選ぼうと思っても、何を基準にどんなサービスのある会社を選べばいいかわからない。さらに、証券会社に口座を作ったものの、どうやって入金すればいいのか、どんな株を買えばいいのか悩んでしまい、前に進めない人も多いはず。そこで本連載では、資産運用に悩みつつもどうしていいのかわからない、株式投資初心者の舞込夫婦とネット株の妖精(?)マイカブ君を通して、口座開設から銘柄選び、購入方法やサービス比較など、いまさら聞けない初心者の悩みを解消します。
主な登場人物
舞込さとし(32歳)・まゆみ(28歳) 結婚3年目に突入した舞込夫婦。そろそろ子どもも欲しいけれど、お金もかかるし面倒か……と、ついつい会社以外ではぐうたらと過ごしてしまう2人。 |
マイカブ君(年齢不詳) 舞込夫婦のパソコンから突如として現れたネット株の妖精(?)。ネット株の便利さを伝えるために奔走しているが、お化けと間違えられる日々。 |
※この物語はフィクションであり、実在の人物、団体とは関係がありません。
最初の難関? 株式投資の第一歩は証券会社選び!
とある日曜日、舞込夫婦はいつものようにのんびりとした休日を過ごしていた。さとしは相も変わらずテレビの前でうたた寝中。暇を持て余していたまゆみは、新しいスーツでも買おうかと、何の気なしに通帳を取り出していた。そこで事件は起きる……。
え……!?ちょっと、何これ!!どうゆうこと?
通帳を見てまゆみは驚愕した。結婚前に貯めてきた貯金がいつの間にか半分になっていたのだ。急いでさとしを叩き起こし、さとしの通帳もチェックするまゆみ。すると、さとしも似たような金額であることが判明する。
あぁ……。マンションの頭金やら何やらで、お金使ったもんね。こんなものじゃない?
何が『こんなものじゃない?』よ!これから子どもも産みたいのに、どうするのよ~!
う~ん……。どうしようっか?
もぅ!マイペースなんだからっ。でも、本当にどうしよう……、定期預金の利率なんかじゃ貯金は減る一方だし。
馬券や宝くじでも買ってみる?うまくいけば、一攫千金も夢じゃないかも~?
あぁ~もぅ!そんなんじゃダメでしょう。何かもっといい方法はないかしら……。
う~ん……。あっそれなら株は?いま人気みたいだし、先輩もやってるって言ってたし。
か~ぶ~!?株なんて、そんな簡単にできるものなの?ギャンブルと変わらないんじゃない?
それがそうでもないみたい。インターネットで簡単にできるし、優待が付くって言ってたよ?
ん~ネットでもできるのかぁ。でも、株に優待ってなによ。株が安く買えるとか?
なんだかんだ言って、まゆみの方が面倒臭がりなんだよなぁ……。はいはい、調べますよ。
インターネットで株取引ができる主な証券会社
イー・トレード証券
楽天証券
松井証券
マネックス証券
カブドットコム証券
大和証券
野村證券
しかし、いざ調べてみるとインターネットで取引できる証券会社はかなり多い。さらに、ホームページを見ているだけでは各証券会社を比較することは難しく、2人はだんだんと面倒に感じはじめ、パソコンを閉じようとした。その時……。
ストップ~!!そんなんじゃダメカブ~!
ぎゃ!でたっお化け~!
だ、だ、だ、誰よ~!?
もぅ、お化けじゃないよ~!ネット株の妖精「マイカブ」だよ!
妖精って……。どう見てもお化けでしょ。
まったく……、最近は失礼な人間が多いカブ!せっかくネット株について教えてやろうと思ったのに!
ネット株についてって……。株をはじめる前に、こんなにいっぱい証券会社があったら選べないよ~。
だから教えにきたんだよ!でも、それぐらいで諦めていたら、お金なんて増えないよ?
うぅ……。じゃあ、どうやって選べばいいのよ?口座を開設するのにもお金がかかるだろうし、手間も時間もかかるんじゃないの?
まったくもぅ、全然調べてないな? 口座開設はインターネットで簡単にできるし、費用もほとんどかからないんだ。
へぇ~そうなんだ~。じゃ、とりあえずどこでもいいから口座を開設しておけばいいってことよね?
うんうん、しかも費用がかからないなら、とりあえず複数の証券会社に申し込んでもいいわけだ!
コラ~!!もちろん何社でも口座は開設できるけど、ちゃんと比較することも必要なの!
えぇ~っどこも一緒じゃないの?面倒臭い~!
何事も最初が肝心だよ!面倒がらずに、ちゃんとホームページを見てみて!
マイカブ君の言う通り。ネット証券への口座開設には、基本的にお金がかかりません。パソコンで各社の口座開設画面を開き、住所や氏名、入出金に利用する金融機関名などを入力し、送信すれば手続きは完了します。後日、郵送されてくる口座開設書類に署名・捺印し、免許証や健康保険証などの身分証明書のコピーを添付して返送すれば、IDやパスワード、振込先などが記入された書類が郵送で届きますので、これで口座開設は完了。返送の際の郵送代もかからない場合が多いので、基本的に出費は0円で済むわけです。
また、複数の証券会社に口座を開設するという方法もありますが、まずは株式投資を理解するという意味で、各社を比較してみるといいでしょう。基本的に、
- 取引時にかかる売買手数料
- 株式に限らず投資信託や債券などの取扱商品の充実度
- 市況情報やニュース速報などの投資情報の充実度
- 証券会社のサポートの充実度
- 取引がより便利に行えるトレーディングツールの使いやすさ
などが基準になります。また、10万円までの取引なら手数料を無料にしている会社や時間外の夜間にも取引をしている会社など、証券会社を比較してみると、意外に異なる点が多いので、投資する金額や生活スタイルなどに合わせて証券会社を選びましょう。
な、なるほど……。結構違うものなのね。
調べてみると、違いがわかって面白いかも!じゃ、実際に口座を開設してみようか?
よしよし、やっとやる気になったカブ~!
予告
次回は、実際に口座を開設してみましょう。しかし、ここまででもかなり時間のかかった舞込夫婦、マイカブ君の苦労は続きます!
マイカブ君の「株式用語の基礎知識」
Q「ニュースで騒がれている日経平均ですが、あれは何の平均なのでしょうか?また、日経平均が下がると自分が買った株も下がってしまうのでしょうか?」
A「日経平均の正式名称は『日経平均株価』。日本の株式市場全体の動きを示す株価指数のひとつだけど、日経平均が下がったからって、全部の株が下がるわけじゃないカブ!」
日経平均(日経平均株価)は、東京証券取引所一部に上場されている銘柄の中から、流動性や業種などのバランスを考慮して225銘柄を選び、その株価をもとに計算する株価指数のこと。選ばれる銘柄は毎年見直されており、日本の株式市場全体がどのように動いているのかを見極める基準のひとつとなっている。基本的に日経平均の上昇は日本経済全体の景気が良くなっていると判断され、逆に日経平均の下落は景気が悪くなっていると判断されるが、影響を受けない銘柄もあるので、ひとつの指標として参考にするといいだろう。とはいえ、自分が保有している銘柄の値動きばかりにとらわれるのでなく、株式市場全体がどのように動いているのかを知っておくことも、株式投資を行ううえで重要なポイントとなる。
※「株式用語の基礎知識」では、株式投資に関する疑問や質問などを随時募集していますので、こちらから気軽にお送りください。
イラスト : 岩井勝之