フランクフルトからICEでフライブルクへ
ドイツ南西、「黒い森」の入り口にあたる人口約20万人の中規模都市・フライブルク。ここは「環境都市」として世界的に有名な街でもあります。また、人口の約15%が学生というのも特徴の一つで、大学の町としても栄えています。
この町までの交通手段はフランクフルト空港駅からIECで約2時間10分の列車の旅です。途中、温泉の名所「バーデン・バーデン」などを通過してフライブルクへとたどり着きます。
筆者がこの地を訪れた理由は、毎年春先に行われるスイス・バーゼルでの時計・宝飾品の見本市を取材するためでした。バーゼルには見本市会場はありますが、宿泊施設が少なく、ICEに乗って約45分で到着できるフライブルクは見本市の宿泊拠点としてたくさんの人に利用されています。そのせいもあり、見本市に向かう時間はICEながらも満員状態でまず座ることはできません。それでも、バーゼルに行かれるのならば、拠点としてフライブルクを選ぶのは最適だと思います。
環境都市としてのフライブルク
さて、最初の方でも触れましたが、この町がなぜ「環境都市」なのでしょうか。簡単に説明をしますと、この町では大きく分けて「自然エネルギー」「交通政策」そして「ゴミ問題」に早くから取り組んできました。それはドイツの宝でもある「黒い森」が酸性雨によって侵されて行くことが問題になり始めた1970年代にさかのぼります。
フライブルクは、「黒い森」を守るべく太陽光発電を中心としたエネルギーへの転換と「トランジットモール」による、市街地への一般車両の乗り入れ制限と路面電車の整備を強化しました。今では制限範囲を郊外まで延長することで、排気ガスや渋滞などの交通問題に取り組んでいます。
さらにフライブルク中央駅の前には、大気の状態を分析して表示できる機械が設置されているなど、環境問題が一般市民にも根付いています。
(上) 市街地と郊外を結ぶ重要な交通機関の一つとして路面電車がある。これを利用してパーク&ライド方式でフライブルク市街にやってくる(右) 大気の状態が一目でわかる掲示板。下はタッチパネル式のインフォメーションカウンターになっている |
観光地としてのフライブルクは正直にいうと、あまり面白いとは言えません。しかし、市街地にはKAUFHOF(デパート)やH&Mといった大型施設も存在しており、ショッピングを楽しむことができます。また、いくつか見て回ると面白い所も存在します。なかでも、行っておきたいところが「大聖堂」でしょう。ここでは塔の上から市街地を眺めることができるほか、土日は市場がでており大変にぎわっています。市場では生鮮食料品からお土産物のようなおもちゃまで色々売られており、見ているだけでも楽しくなります。
(左)町の中央部にある大聖堂。着工から150年以上をかけ、1513年に完成したという歴史のある教会で、塔に登って市街地を眺めることもできる(上)大聖堂の回りの市場では生鮮食品だけでなく、このような民芸品等も売られている。見ているだけで楽しめる |
観光するなら、13世紀頃に建てられた市門を見ておくと良いでしょう。ここがちょうど車の乗り入れ制限をする門にもなっており、今では門の下を路面電車が通過して行きます。市門は2つあり、一つはマルティン門、もう一つがシュヴァーベン門と呼ばれています。
市街地との境目にあるシュヴァーベン門。ここで車の乗り入れが制限される。第2次世界大戦の惨禍もこの門は免れた |
マルティン門は13世紀初期の要塞都市門で高さは63m。やはりマルティン門でも車の乗り入れが制限される |
そして鉄道ファンなら気になるのが駅の構造でしょう。駅はフラットな状態で陸地に建てられており、ICEはもとより、RBからスイスの鉄道まで様々な電車がやってきます。電車の本数も頻繁にあるので、駅の横にある路面電車の鉄橋から眺めていても飽きません。
今回はバーゼルフェアが目的だったこともあり、市内観光はそれほどできませんでしたが、小さな博物館や教会等、見所は他にもあります。バーゼルフェアへ行く際やコンスタンツへ行く途中などに、ぜひフライブルクに宿泊して、1日観光して回ると良いのではないかと思います。