2022年11月に「GPT-3.5」が公開、さらに翌年3月に「GPT-4」が公開されたChatGPT。その後目まぐるしく変化を遂げ、今でも毎日のように国内外で話題の耐えない生成AI業界。

そんな話題の生成AI、ChatGPTですが、PwC社の売上高500億以上・課長職を対象にした2024年4月の調査での推進度合いは「活用中」が43%、「推進中」が24%(参考リンク)。成果も二極化しています。大企業でこの状況ですので、中小企業に同一のアンケートを取れば、まだまだ推進にいたってない企業も非常に多いと予測されます。また、推進している企業であっても、個々の従業員レベルで見るとまだまだ活用に至っていない、ということも多いでしょう。

しかし、ガートナージャパン社の「生成AIのハイプ・サイクル:2023年」によれば(参考リンク)、2026年までに企業の80%以上が生成AIに対応したアプリケーションを展開するようになる、という見解を発表しています。

当記事では、この1年で法人企業からの生成AI相談を1,000回以上お受けし、実際にPoCや本開発を合計30プロジェクト以上行ってきたエクスプラザの生成AIの知見から、エクスプラザ代表取締役CEOの高橋一生(X:@vvxo)が、「ビジネスパーソンにとって生成AIは本当に使えるものなのか?」を共に考えていきたいと思います。

来たる生成AIの未来にビジネスがどのように変わりうるのかを考えていくうえで、今回は、そもそも生成AI・LLM・ChatGPTとは何なのかを学び、ビジネスで使うイメージを持ってみましょう。

生成AI・LLM・ChatGPTらを「チャットができる、なんでも知ってる・教えてくれるAI」と捉えているのがよくある誤解です。そして、使ってみた方々の感想として、「ある程度のことは答えてくれるけど、痒いところには手が届かず、思ったように動かない」。ここでがっかりして、使うのをやめてしまう人が多いように思います。

しかし生成AI・LLM・ChatGPTとは何かを正しく理解すると、どのように使いこなすべきかの勘所が分かると思います。

まず、生成AI(Generative AI)とは、文章、画像、音声、動画などのデータを生成できるAIのことを総称して指します。定義はやや曖昧ですが、基本的には多くのデータをディープラーニングによって学習させた学習済みモデルのことであり、利用者はその学習済みのAIを駆使して様々な新しいデータを生成することができます。

なかでもLLM(大規模言語モデル:Large Language Model)は、その生成AI技術の一種です。言語モデルとは、文章の並び方を確率的に算出する確率モデルのことであり、たとえば「吾輩は」という言葉の次には「猫である」という文章が続く、といった確率から文章を生成します。そうした言語モデルを大規模なデータセットを用いて学習させたものを大規模言語モデル(LLM)と呼びます。

そのLLMを応用し、対話型AIとして構築したのがOpenAI社が提供しているChatGPTです。利用者が「日本の首都はどこですか」といった質問を投げれば、「日本の首都は東京です」と返答し、「東京の観光地は?」と返せば、浅草寺、東京タワー、スカイツリーといった主要な観光地を教えてくれ、それぞれの観光地の魅力についても答えてくれます。こうした大規模なデータセットから、確率的に確からしい情報を、まるで人間と話しているかのように対話を続けてくれるのがChatGPTなのです。

簡単に述べてみると、ChatGPTは「過去に学習した内容からそれっぽいことを言ってくれるAI」です。文章だけでなく、画像や動画も同じで、「過去に学習した内容から、それらしいものを生成するAI」なのです。なので「今の日本の総理大臣は?」といった質問をそのまま投げても、最新の情報は知らないので、確からしい答えは返ってきません。

ではどう使いこなすか? といえば、これまでに記載した生成AIの特徴を考えると、たとえばChatGPTでは以下のような業務に活用することが考えられます。

■情報のインプット
【キャッチアップ】
・ニュース記事やプロジェクト情報を読み込ませてキャッチアップの効率化
・議事録の要約~ネクストアクションの策定

【学習】
・分からない単語や方法の下調べ ・セミナー記事の要約

■情報の中間処理〜アウトプット
【コミュニケーション】
・多言語理解や翻訳
・メール文章や社内文書の作成

【壁打ち】
・プロジェクト検討時のフレームワーク(SWOT、5W2H等)に応じた項目作成
・企画や進め方などの案出し

こういった業務活用へのコツは、「ユーザーが与えた文章または指示に対して、それっぽいことを言ってくれるAI」という理解をすることです。過度に期待しすぎず、かつ仕事において必要十分な内容を出してくれるものと捉えましょう。

また、「質問すれば一発でいい回答を作ってくれる」というものでもありません。むしろ、ChatGPTは「ざっくりでいいからとりあえず話を聞いてくれる」ものと捉え、自分の脳で考えているやりたいことを、ChatGPTと会話しながらすり合わせ、最終的な回答を生成してもらうのがいいでしょう。

今後は、具体的なビジネスへの活用方法のアイデアなどもお伝えしていけたらと思います。

  • ChatGPTを壁打ち相手とし、飲料商品のプロモーションイベントを考える事例

気軽にブレストに付き合ってくれる優秀なアシスタント、といった向き合い方で利用していくと、生成AI活用の第一歩につながりますし、みなさんの生産性に多大な影響を与えてくれると思います。

生成AI活用は難しい、使ってみたがよくわからない、といった方もまだまだ多いかと思いますが、このように、AIの実態と立ち位置を理解すれば、個人の業務でも有効に利用することができます。ぜひ、ビジネスでどんどん使っていきましょう!