編集部とお笑いが好きなライター推薦により、今年ブレイク必至の芸人をピックアップする新連載『お笑い下剋上2021』(全5回)。賞レースに対する意気込みやコンビの関係性などを聞きつつ、お笑いへの向き合い方やパーソナルな一面にも迫っていく。

第2回に登場するのは、太田プロ所属の「ストレッチーズ」。高校・大学の同級生である二人がコンビを組んだのは、慶応義塾大学のお笑いサークル・O-keis時代。就職する同級生も多い中、卒業後はともにプロを目指した。

2021年4月、お笑いライブ制作の「K-PRO」が運営する劇場「ナルゲキ」がオープンした。事務所・芸歴問わずたくさんの芸人が出演するこの劇場で、エースを張るのがストレッチーズ。『M-1グランプリ2021』1回戦(9月7日)では、並み居る実力派を抑えTOP3に入り注目を集めた。若手ライブシーンを牽引するストレッチーズに、劇場オープン後の変化や先輩との関係について話を聞いた。

お笑いコンビのストレッチーズ

ストレッチーズ:福島敏貴(左)と高木貫太
「M-1グランプリ 2020」では準々決勝進出

――お二人は、高校・大学が一緒なんですよね。O-keis(慶応義塾大学のお笑いサークル)時代にコンビを組んだそうですが、きっかけはなんだったんですか?

福島敏貴(以下、福島):大学1年の11月に、大学の文化祭があって。オーケイズが毎年ライブをやってたんで、そこに出ようということで結成しました。元々、僕はお笑いサークルに入ってなかったんですよ。夏に高校の同窓会があって、そこで(高木が)サークルに入ってると知って「(福島も)入れば良いじゃん」ってことで途中から入ったんです。同じ学年の子はみんなコンビを組んでて、ひとりぼっちだったんで「じゃあ一緒にやろうか」と。それがアマチュアでの結成ですね。

――卒業後プロに進むことになりますが、どちらかが誘ったんでしょうか?

福島:誘うというか、どうしようかみたいな話し合いはかなりしましたね。電話とか、食事しながらとか。僕が最初に「もしお前とできなくても、1人でもやるかも」って。でも「どちらかと言うと2人でやりたい」と伝えて、数か月してから結局こっち(高木)もやるってなった感じですね。

――周りには就職する人も多かったと思いますが、プロになると決めたのはどのくらいのタイミングだったんでしょうか。やはり大学3年のとき『大学生M-1グランプリ』で優勝(2012年12月)したのは大きかったですか?

福島:でかかったですね。でも、決めたのは大学3年の2月頃ですね。(就活の)エントリーシートを出し始めるくらいの時期です。12月に『大学生M-1』で優勝してからも、2ヶ月くらい悩んで。生半可な気持ちでは就活できないと思ってたんで、エントリーシートを出し始める時期までには絶対決めようと思ってました。

高木貫太(以下、高木):僕は、大学4年になるくらいのタイミングだったかな……。一次面接の日に決めました。コンビニで夜勤やってて、面接当日の朝8時くらいまでバイトしてたんですよ。面接が11時くらいからだったんで、帰って来てすぐ家を出るくらいの予定だったんですけど、すごい眠くて。スーツに着替えて寝落ちしちゃって、母親に「今日面接じゃないのか!」ってたたき起こされたら16時。リビングで「お前どうするつもりだ」って言われて、売り言葉に買い言葉みたいな感じで「俺芸人になる」って言いましたね。ブッチしたことを正当化するかのように、親に宣言したのを覚えてます(笑)。

――多分、本当に就職する気があったら寝てないですよね(笑)。

高木:ちゃんと面接に行ってたと思います(笑)。(気持ちは)お笑いに傾いてて、ダラダラ決めかねている感じで。「なんか怖い」って感じだったんだと思います。

福島:最終面接を蹴ってたら、めっちゃかっこいいけど。

高木:一次です(笑)。

――最初に所属した事務所を辞めて、太田プロに入ったそうですね。どんなきっかけで今の事務所に入ったんですか?

高木:ヤマザキモータースさんのおかげですね。前の事務所の頃からお世話になってて、事務所を離れるときに「フリーになります」と報告したら、「じゃあ太田プロ来たらええやん」と言ってくださって。

福島:ヤマザキモータースさんの紹介で、(養成所に)安く入れるというのもあって(笑)。

――ご縁があったんですね。

高木:そうですね。どこの事務所が良いとかもよく分かんなかったし、せっかく出会ってこう言ってくださってる先輩がいるんだからと。太田プロに入ってからも、ヤマザキさんにはめちゃくちゃお世話になってます。俺らのほとんどのネタにダメ出ししてもらってるくらい。

福島:もし『M-1』で優勝したら、最初に電話かける人は二人ともヤマザキさんだと思います。親でもどの先輩でもなく。

高木:いや……親かな。

福島:僕はヤマザキさん。

高木:俺、親の後ヤマザキさんにかけるから(笑)。そんぐらいお世話になってる方です。