外科医であり、母であり、漫画家でもあるさーたりさんが、ドクターとしての日常を描きながら健康に役立つ情報などをお届けする4コマ漫画連載「オペ室より愛をこめて」。今回は乳がんにまつわるお話です。
「病院での検診は必要ない」という考えは誤り
10月は「ピンクリボン月間」です。ピンクリボンとは乳がんの正しい知識を広めて検診受診を推進するためのシンボルで、今月はさまざまな啓発イベントが行われています。ピンクにライトアップされたビルなどを見たことがある人も多いのではないでしょうか。
とても重要な話題なので、今回と次回に分けてこの乳がんに関して描かせていただきます(この連載を始めてから初の「お役立ち話題」かもしれません……)。
私の専門は消化器外科ですが、女性の外科医であることおよびマンモグラフィー(乳房X線検査)読影医の資格もあるため、乳がん検診でエコーや触診をする機会が多いです。
タレント・北斗晶さんの闘病ニュースもあってか、最近よく乳がんについて質問されたり、話題になったりすることが増えました。実際、検診を希望される患者さんも増えています。
乳がんは定期的に検診を受けていても、発見できなかったり、発見が遅れたりするケースがあります。そのため、
「検診を受けていても見つからないというのであれば、検診って必要ないのですか? 」
などとよく聞かれますが、乳がんを含めたどの検診もがんを100%見つけることができないのが現状です。それでも、受診者全体のがんの死亡率が下がり、一定以上の費用対効果が見込まれるため、検診が行われているのです。
マンモグラフィーも40歳以上では有用性を認められていて、今の日本では40歳以上に乳がん検診としてマンモグラフィーを受けることが推奨されています(今後この基準が変わっていく可能性はあります)。ただ、この受診率が低いことが問題になっていますが…。
乳がんの早期発見に大切なのは、病院での検診はもちろん、自己検診によって「自分の正常時の乳腺の状態」を知ることだと覚えておいてください。
次回は自己検診の方法について紹介します。
※参考文献: 有効性評価に基づく乳がん検診ガイドライン2013年度版
筆者プロフィール: さーたり
某大学病院勤務の消化器外科医。2児の母の生活、外科医の日常、漫画・アニメへの溢れる愛を描き散らしたブログ「腐女医が行く!!~外科医でママで、こっそりオタク~」を絶賛随時更新中。