クッキングではレシピ調べや買い出しも

神奈川県横浜市にある「食楽スクール(ぐりぐら)」は、「食育」に特化した学童だ。食にまつわる各種ワークショップやイベントを手がける「NPO法人フーズマイルぐりぐら」が2013年4月に開設した。

駅から至近。子どもたち自身が集めてきた木の枝で作った看板が目印

同学童は「食の学びで夢をかなえる力を育む」がコンセプト。クッキングをしたり、野菜を育てたり、留学生を招いて直接食文化を教わったり、食にまつわる多彩な体験ができるのが特徴だ。

クッキングといっても、決められた料理を用意された材料で作るわけではない。子どもたち自身がレシピを調べ、必要な材料をピックアップし、予算を立てて買い物へ行く。もちろん、調理後の後片付けも子どもたちの役目だ。単に料理の作り方を知るだけでなく、気づく力や考える力も育んでいく。

施設から徒歩1分ほどの近所の八百屋さんは子どもたちも常連

買い出した野菜を使って夕飯づくり。この日は野菜炒めを子どもたちが担当

「子どもたちとスーパーに買い物に行くと、もやし1つ選ぶにしても、量と値段を見比べながら、どちらがお得なのか真剣に悩んでいることもあります」という主婦顔負けのエピソードを教えてくれたのは、代表の和賀康子さんだ。

和賀さんは東京農業大学の出身。長い間、食の研究をし、第6次産業の企画営業や学生生協のメニュー開発などに携わる中で、ファストフードやコンビニごはんが当たり前になっている昨今の状況を実感したという。子どもの頃からきちんとした食生活を営む大切さを感じ、食育指導者との出会いがきっかけとなり、食育の勉強をスタート。その後、NPO法人を立ち上げ、「食楽スクール(ぐりぐら)」を開校するに至ったそうだ。

宿題サポートや公園遊びもバッチリ

同施設は主に小学1~6年生が対象だが、年少からでも利用できる。また、食育やNPO経営を学ぶ大学生数名もインターンシップ生として活動中だ。現在は小学1~3年生を中心に20数名が在籍しており、利用頻度は週1~週5回と人それぞれ。小学校へのお迎えや習い事への送迎サービスもお願いできる。

到着したらまずは宿題。わからなければスタッフがサポートしてくれる

「食楽スクール」といっても料理教室ではないので、毎日料理ばかりしているわけではない。1日の基本的な流れは、次の通り。まずは宿題を終わらせ、天気がよければ公園遊びなどを楽しんで、16時過ぎからおやつタイム。その後は45分程度の日替わりレッスンがある。内容は食にまつわるもので、取材日はみんなでおやつを作るレッスンだった。

すぐ近くに小さな公園があり、外遊びもしやすい環境

もちろん45分間のレッスン時間内に、毎回レシピ考案から買い出し、調理まで、すべてを1度に行うのは不可能だ。どうやってそれらすべての工程を体験させているかというと、例えばクリスマスパーティーのような大きな行事であれば、数週間前から準備を始めるのだという。ある日のレッスンではみんなでメニューを決め、別の日のレッスンでは役割分担をして当日の段取りを考える。また別の日には食材の消費期限を考慮して買い出しへ。そうして当日はあらかじめ決めた段取りに沿って調理をする。自分たちで計画を立て、毎日少しずつ準備していくのだ。

日替わりレッスン以外でも、食と関わる機会は非常に多い。おやつや夕食は、施設内のキッチンで調理師免許を持つスタッフが手作り。宿題が早く終わった子がおやつ作りを手伝うことも多い。時には取材時のようにレッスンの一環として、みんなでおやつを作る日もある。また、夕食の買い出しやおかず作りを子どもたちが担当することも多いそうだ。

週5回ペースで通っている小学2年生男児のお母さんに話を聞くと、「うちは男の子ですが、クッキングも楽しいようで毎日楽しく通っています。遅くまで預かってもらえるのもありがたいですね」と話してくれた。手作りおやつや夕食は、親にとっても安心感がある。ちなみに基本の利用時間は平日13時~19時で、19時~22時の延長利用も可能。振替休日や長期休みは7時30分から開いている。

次回は子ども主体でバタバタ!? ユニークなクッキングレッスンをレポートしよう。