この連載のタイトルが示す通り、私は外貨の世界(それは異国情緒や憧れなども含め)が好きで楽しく投資しているけれど、何も外貨ばっかりやっているわけではなくて株もやっている。

その時々のテーマを念頭に置いて1人銘柄研究会をしているのも楽しいものだ。外資系証券会社に○十年も勤めていて、金融法人担当でプロのファンドマネージャーさんを顧客にしていたので、株経験の長さだけはむしろFXを超越する。しかし、だからと言って、儲けられるのかというとそうばかりでもなく、現在自分のポートフォリオに存在するもの、正確に表現すれば残ってしまったものはハイテク株が多く、昨年の金融危機でエルピーダメモリー(6665)なんて10分の1の値段になってしまった。これは為替の比ではない、為替ではいくらなんでも10分の1なんてことにはならない。この銘柄はチャートを見ると大層恐ろしいことになっているので、ご興味のある方はご参考までにどうぞ見てみてください。半導体関連は本当に浮き沈みが激しい。半導体市況低迷で業績も悪化は既に承知だが、実体以上にムードで売られ過ぎている感じがする。

今年もリスクマネーが戻るまでは相場環境は厳しそうだが、それでもなんとか今年も良い一年にしたいし、何かのヒントが得られるかもしれないと行ってきた、生まれて初めての「大発会」。写真を見ていただくと、あでやかな晴れ着のお姉さんたちと今年の干支の牛さんが楽しげに新年のセレモニーに華を添えているが、毎年行っている人に訊いてみると、今年はかつて無いほど寂しかったそうだ。まず、一般参加者の数激減。一般の人も100名程度参加できるようで、早朝酷寒の中、大勢の善男善女が長蛇の列に並んでいるのが毎年恒例なのだそうだが、今年は80名足らず。

皆、よっぽど相場で痛い目に有っているのかしら。いずれにしても、特に2009年の大発会に一般参加した人は、今年は(も)良い年にしたいという意欲旺盛な方々なのだろう。しかし、ゲストスピーカーもおらずに(昨年の大納会はオグシオだった)、東証グループの斉藤惇社長のスピーチのみ。こんな「100年に一度の未曾有」の経済環境、相場環境の時だからこそ、ぜひ100年に一度の意気込みで、大発会を盛り上げて欲しいと思ったのは、私ばかりではないだろう。何もお金掛けなくてもアイデア次第で楽しいイベントにすることも可能だと思うのだけど。

大発会の評価はさておき、私が大発会で得たヒントは、今年は丑年⇒牛⇒農業関連株、という発想。いやもっと想像力を過剰にすれば牛⇒ブル⇒(農業関連株)上昇と来るかもしれない。農業関連株、数え上げれば100社以上ある。中でも私が購入を検討しているのは、井関農機(6310)やコープケミカル(4003)。名前からして一目瞭然で農業関連。200円台の低位株なので、20万円台で投資できることが、私が特に着目している理由。まだインベストメントマインドは縮こまったまま、だから少額資金でやってみる。今年は環境や農業など息の長そうなしっかりしたテーマを念頭に置いて銘柄絞って行くのが良いかもしれない。

さて、為替市場は株式市場より一足お先に不思議な円安で2009年をスタートしていた。為替市場、皆が休むのは1月1日だけだ。後はずっとやっている。だってグローバルなんだもの(ということでようやくここから為替の話を始めることにする)。よく、「○○日午前○時現在の東京外国為替市場の円相場は1ドル=89円11~13銭」などいうニュースが流れたりするが、為替市場は株式市場のようにどこかに取引所が実際に存在するわけではない。

為替は銀行を主体とした金融機関同士で、買いたい人や売りたい人が電話やインターネットを通じて取引(相対取引)を行っている。これを銀行間市場(インターバンク市場)と呼んでいて、基本的に為替市場とはこのことを指している。この銀行間のネットワークは世界中に張り巡らされていて、相対取引である以上、買いたい人と売りたい人がいれば取引は成り立つのだ。株式のように取引所取引ではないので、厳密にきっちり何時から始まって何時に終わるような決まりはない。なんとなく始まってなんとなく終わって行く、と言う感じなのだ。

現在の東京株式市場東証一部の1日の売買代金は5年ぶりの低水準と言われていて約1兆円。為替市場の方は、BIS(国際決済銀行)の2007年4月の調査によれば世界全体の為替取引量は1日に3兆2千億ドル(現在の円換算で約288兆円)。過去3年間で71%も増加したという。ただし、この当時は円と外貨の金利差を取りに行く、いわゆるキャリートレード全盛期の頃だったので、伸び率も劇的だったのだと思うが、今後も我ら個人投資家が為替市場におけるプレイヤーとしてその存在が極端に希薄化することはないと思う。

グローバル規模の世界一大きな金融市場で有る為替市場で24時間トレードできるのは為替の醍醐味のひとつだが、それぞれの市場のクセ(なんせグローバルだから)を知っていると取引に断然役立つ。特にデイトレードなど短期トレードを行う場合は1日の流れを知っておくことは必要不可欠だ。次回は、いわゆる三大市場と言われている、東京、ロンドン、ニューヨーク市場の特徴を説明しよう。

執筆者紹介 : 香澄ケイト氏

主な略歴 : 為替ジャーナリスト
米国カリフォルニア州の大学に留学後、バヌアツ、バーレーン、ロンドンでの仕事を経て、帰国。外資系証券会社で日本株 / アジア株の金融法人向け営業、英国系投資顧問会社でオルタナティブ投資の金融法人向けマーケティングに従事する。退職後、株の世界から一転してFXに関する活動を開始し、為替情報サイト、マネー雑誌などの執筆、ラジオ番組への出演およびセミナー等の講師を努める。著書に『あなたのお金を10倍にする外貨投資術』(フォレスト出版)、『今すぐ始めるFX5人の投資家が明かす勝利のルール』(すばる舎)がある。