大半の人にとって、金は、株式などと違っては馴染みが薄いものではないだろうか。だが、そんな人にとっても、昨今の、株式、債券、通貨が不安定な中における「金ひとり勝ち」はまったく無視できない現象である。ゆえに、投資収益の向上を求めるのであれば、「金を知る必要性」はかなり大だ。それならば、金のことは金のエキスパートに訊くべし! 早速、金地金(現物)と金先物取引を扱っている「第一商品株式会社」(ジャスダック銘柄コード:8746)を訪問させていただいた。

渡辺さんの言葉を借りて言うならば、超低金利の現在、預貯金に預けておくだけでなく、ある程度リスクをとり、資産運用をする必要性も出てくる。資産運用するならば、資産を増やさなくては意味がない。株や債券と逆の動きをする金はリスクヘッジとしても利用でき、自分の資産ポートフォリオに入れるのであれば、定期預金や預貯金が半分として、次に株や債券が3~4割、そして残りの1割~2割が「金」と一般的には言われる。その人のポートフォリオの額によるが、金地金なら380万円程度必要であっても、金先物にすれば1kg10.5万円の証拠金で取引もできる。初心者であれば、14,000円の証拠金でできる100gの金ミニ取引からトライしてみるという方法もある(2010年11月24日現在)。他にも、金の投資対象は、純金積立、CFD取引、投資信託、金ETF、などがあり、自分の目的、性格、生活などのスタイルに合わせて、一番適した投資方法を取ることが重要だ。


――ドル建て金価格はかなり上昇しているように見えますが、いったい金はどこまで上がるのでしょう?

大方のプロの意見は、金に対して強気です。1,400ドルをやすやすとクリアして、かつてないほどの高値に来ているので、どこまで上昇するのかメドが立ちにくいということはありますが、目安として1980年につけた875ドルの高値を、米消費者物価指数(CPI)をもとに実質価格に引き直すと約2,450ドル(当社試算)になります。つまり当時の875ドルは今の値段で言えば、2,450ドルということになり、そこまでの上げ余地はあるという見方です。

国内の円建て金相場を見る場合ですが、現在、ドル建て金価格とドル円は逆相関の関係になっています。ドル建て金価格が上がるのは、ドルが安くなるということなので、ドル建て金価格が下がるというのは円安になるということになります。為替が1円動くと1gあたりの円建て金価格は40円程度上下します。逆にドル建て金価格が1ドル動くと円建て金価格は1gあたり3円ほど上下します。1円円高になってドル建て金価格が13ドル上昇したらチャラになるようなイメージです。現在円高である以上、ドル建て価格がもっと上がればよいわけですが、基本的な金相場のトレンドとしてはドル建て価格の方向性が中心と見てよいでしょう。従って、円高がどの程度進むかという読みを加えて、円建ての値段の下値を探る必要があります。

――「第一商品」ならではの方針とサービスなどの特長を教えてください。

当社の方針は、信用とサービスの2本柱を推進しています。商品先物は国内ではまだまだ一般的な投資としての社会認知が低いので、社会的に幅広く受け入れられるためには、信用が第一になります。今まで儲かるといってお客様を勧誘して、結局損をされて止めていかれるので、言ったことと違うということになって、やるものではない、という社会的に悪い評判が流れていました。そんなことをしていたら、広がるものも広がりません。本当に良いものだったら、リスクは当然あるものの、上手く使えば、資産運用の一助になります。そのためには、社会に広く信用していただくことが、第一だと思っています。信用していただくためには、昔のような販売志向でなく、お客様の目線で、お客様志向でやっていかなくてはなりません。

そのために当社は、新聞広告やTVCMで、金に興味がある方は資料請求してくださいということで、金に興味がある方に対してのみアプローチをさせていただいています。興味がある方に手を上げていただいて、金投資の良さを説明して、金の取引には現物と先物の取引がありますよ、お客様のニーズはどちらでしょうというところから始めています。

サービスに関しましては、20-30年前は、日経新聞の朝刊に前日の値段が発表されていた程度で、そのときどきのリアルタイムの値段などは、一般の人には全く知る術がありませんでした。そこで、金取引を行う上で必要な情報をタイムリーに知っていただこうということで、24年前から「Futures 24」という部署を作って専任の係員を配置して、24時間体制で情報収集とお客様への情報提供をしています。

また、セミナーに関しては、原則毎月第三土曜日に外部からスペシャリストを招いて全国の本支店で開催しています。もう20年以上も行っている歴史あるもので、非常に人気も高いです。こういったサービスにおいては、口座開設をされていなくても、全て無料で提供させていただいています。金取引を自分ひとりで勉強しようとしても難しいところがあると思いますので、まずは、セミナーに参加されたり、ご来店いただいくところからスタートしていただければよいと思います。

――「第一商品」では、「金地金 1万トン販売計画」というのがあるようですが?

はい、あります(笑) 今、個人の金融資産における現預金が800兆円あり、資産運用の行き場を探していると考えられます。その5%(40兆円)でも金に振り向けてもらいたいと思っています。金は将来、役に立つものだということをお伝えして、金に振り向いてもらえれば、最終的に皆様に喜んでいただけるものと考えています。1万トンという量は、日本人1人あたりでは100gの金を保有することになりますが、一家に1kg持っていただく気持ちで取り組んで行きたいと思っています。大変やりがいのある目標です(笑)


最後に、渡辺さんからいただいた、金投資に一歩踏み出すためのアドバイスを記したい。「何でも、まずは値段チェックから始まると思います。値段が、1カ月前と比べてどうなったか、そういう足取りをたどることから始めてください」

そうすれば、金に対する親近感も増すかもしれない。そのためには同社のホームページや情報システム「DI-2」パソコンサービス(無料)が役に立ちそうだ。資産の一部を金で保有するメリットについて、今が考えてみる良い機会なのかもしれない。