為替ディーラーさんの話って訊いたことありますか? 訊きたいけど、なかなかチャンスないって? だから、やってみました座談会。今回から3回に渡って彼らのリアルな為替話をアップします。
出席者
あや(今年の相場のキーワード : 原点回帰)
とも(今年の相場のキーワード : 円は買えない)
ゆう(今年の相場のキーワード : 目に見えないアンワインディングのフローに注意)
あや「今、世の中のセンチメント的には、2005年1月頃にすごく似ている。101円行った時、あの時はブッシュ大統領が再選して皆ブッシュ嫌い、米国嫌いで、皆ドルなんて暴落すると思っていた。当たったから言うわけじゃないけど、2004年の年末は皆円高って言っていた。円高にならない円安になります、100円割れませんって言っていたのは、財務省と某証券会社の人と俺だけだった。
俺、来年の予想はって訊かれて105円位の時に125円って言ったんだよね、ほとんどの人が80円とか予想していた時に。2004年暮れから2005年1月に101円になって介入もしなかったけど、100円割れなかった。確かに今回に関しては年末ドル安円高の予想が非常に多く、80円は当たり前、新安値更新は時間の問題とか言ってさ。現に1月になって円高になったから、それで決まりだろというところがあったけど、以外に下がらない。下がっても下がり続けられなくなってきてやっぱり戻るようになってきた。だから、以外とドル円はテクニカルで言ってもそうだし、これで95円超えて行くと、ど~っと戻っちゃうかも。」
ゆう「今は、オバマ政権に期待している部分もあるし。ちょっと行き過ぎて売られ過ぎた部分もあるけど。俺、ドル円は85円割れないと思っている。円買えますか、こんな政治の状況で。」
とも「今の状況が続くのであれば、割れないと思う。だけどもリーマンショックの後始末が誰も予見できなかったように、今のマーケットではオプションが喜ばしいものから忌み嫌われるものに変わって来ている。かつ金利が下がってきていて、オプションを組む意味があんまりない。でも、それでもアンワインディング(巻き戻し)のオプション取引はある。キャッシュに関しても、オプションが駄目なのでフロービジネスが見直されているけど、それもアンワインディングだよね。アンワインディングがどこまで起こるかによって、円高局面というのはある程度決まるのかなと思う。」
85円割れるか割れないか-続編
ゆう「大体1年前に87円なんて言っていた人、いないから。そんな人が60円70円なりますとか、なんの根拠もないんだよね。ま、それはさておき、難しいね~、85円割れたとしても突っ込むのか、ワンタッチで戻っちゃうか。じゃそこで介入掛けられるのかと言えば、皆難しいと言っているし。ドル円以外はドル高だからね。でも英国だってこれだけポンドが売られてくると、英国だってポンドドルで介入するってことになるかも。で、それに乗じて日銀がドル円で介入するってのはアリ、かな。そうすると結果的にポンド円の介入ってことになるんじゃないかって言われているところもあるし。かつユーロ円の介入もあったようにね。でこれだけ、トヨタが減益しました、ソニーもパナソニック減益って時に90円割れて行ってるんだから。俺が思うのは、日本が先に介入して姿勢を見せるべきだと思う。」
あや「俺は介入の必要性はないと思うよ。減益って言ったって前期の数字が有り得ない位のヒストリカル・ハイから比べればそりゃ減益にもなるよ。そんな状況の中で、別に日本の企業だけが日本がデフレの中で円高になったら困るっていうのは話が通らない。でもそれが引き金になって世界経済がおかしくなっちゃうよ、って言う脅し文句をちらつかせながら、じゃあ、しょうがねえな、と介入が出来た03年、04年の状況と今とは違う。今は、日本だけじゃない、他はもっと悲惨なんだし。」
とも「ドル円、下値は限定的だと思うな。80円割れがあるかどうかという。瞬間あるかもしれないけどヒゲでしかないかも。そういったところでは83円程度が下かな。基本は落ちてきている相場なので、最近ちょっと戻しはあるけど、大きな戻しってない。でも、戻しが起こった時はポンド円とかってあっ言う間に140-150円位まで戻っちゃうかもしれないし。そう考えるとドル円120円とは言わないけど、117円とかあるのかなと思う。」
ゆう「83-117円ねえ、ちょっとワイドだね。俺は85-107円。」
あや「3月末に掛けて日本人のレパトリがどうしてもあるので、その辺まではどうしても重い展開だと思うけど、一巡して新年度入りし、損切りが終わったら、最後に絶叫するのは日本人だったりして。先週末、世界の債券の暴落でなんとかソブリンも大分落としたとか解約が出たという噂が出るようになってくると、そういうのに触発された人が多分2月辺りまでは売るだろうからそれが最後になると思う。
3月上旬まではトレンドがない中で上がったり下がったりの繰り返しかな。欧州通貨が上がって来ない分、今まで通りクロス円は重くて、場合によっては世界経済がちゃんとするまではクロス円は下がることになり、それでドル円も連れて下がるとか。でも85円は割れないと思っている。行くんだったら、あの恐怖相場の中で87円ってとこで止まらないであのタイミングで80円は行っていたと思う。で、そこでとりあえず止まったということは、それで一旦沈静した。今の動きが続くからここから80円に行くのではなくて、ドルがクラッシュするとか円が急騰するとか、違う材料が出てこないとそうならないと思う。
去年の8月10月のように何かきっかけが起これば、逆に4四半期は一気に進んで今度は120円になってもおかしくない。大体ドル円のボラティリティが8%というのは有り得ないので、確かに40%は行き過ぎだけど。8%でじっと動かなくなったという面ではエネルギーがかなり溜まって一気に爆発したという感じ。動かないという前提でも物事を考えているとこんなに動いちゃうという。」
後編につづく-。
執筆者紹介 : 香澄ケイト氏
主な略歴 : 為替ジャーナリスト
米国カリフォルニア州の大学に留学後、バヌアツ、バーレーン、ロンドンでの仕事を経て、帰国。外資系証券会社で日本株 / アジア株の金融法人向け営業、英国系投資顧問会社でオルタナティブ投資の金融法人向けマーケティングに従事する。退職後、株の世界から一転してFXに関する活動を開始し、為替情報サイト、マネー雑誌などの執筆、ラジオ番組への出演およびセミナー等の講師を努める。著書に『あなたのお金を10倍にする外貨投資術』(フォレスト出版)、『今すぐ始めるFX5人の投資家が明かす勝利のルール』(すばる舎)がある。