入浴中や、お風呂掃除をしている際に、お風呂場の中をごく小さいハエのような、羽虫のような、小さな虫たちが複数で飛び回っているようなことはありませんか?

あんまりにも小さくて、視力が悪くコンタクトレンズやメガネを外して入浴されている方には気づかれていないこともまま、あります。

でももし「そういえば、何だか、よくわからないけどトイレに小さい虫が飛んでいる」「洗面所の壁にいるのを見た」「風呂にいた」そんな覚えがあるのでしたら、その家のどこかで「チョウバエ」という虫が発生していると考えられます。

「チョウバエ」ってどんな虫?

その名前から、「チョウ」? 「ハエ」? と混乱しますが、実は「カ(蚊)」の仲間に区分される虫で、大きめのタイプ(オオチョウバエ、成虫の体長5ミリ程度)と、小ぶりのタイプ(ホシチョウバエ、成虫の体長2ミリ程度)が、比較的混在して目撃されています。

住まいのなかでは浄化槽や排水溝など、スカム(有機物の汚泥)のある水場で産卵され発生するものの、幼虫も成虫も空気呼吸するため水に弱いという特徴があります。幼虫は8ミリ程度、白っぽく、蛹はそれより小さいサイズで暗褐色をしていて、いわゆる「ボウフラ」に似た形状をしています。

もともとは熱帯産の昆虫で、日本に入ってきたのは比較的近年であると考えられています。主に6~10月、主に東北以西で成虫は目撃されますが、暖房等で気温が保たれている状況では年間通して発生しているようす。

基本的に刺したり、吸血したり、伝染病を媒介したりといった害はなく、「邪魔」「気持ち悪い」と言われる不快害虫ではあるのですが、まれに幼虫がヒトの生殖器や消化器、気道や眼瞼内などに迷い込んで侵入する「ハエ症」を引き起こすことがあります。万一、痰や尿に幼虫が混じっているのを発見したら、「ハエ症」が疑われますので、すみやかに受診してください。

「チョウバエ」の予防法、退治方法

一般的な住まい以外では、食品工場などで大発生することが多い「チョウバエ」ですが、新築の住まいなどにはどのようにして入ってくるのか、成虫もごく小さいだけに、あまりその経路は明らかになっていません。

ただ、産卵されてからたった2日ほどで孵化、幼虫期間は10日から2週間程度で、2~3日ほどの蛹期間を経て成虫になったのちは、成虫として2週間ほど生きる、短い生涯を過ごす虫であることはその防除にも役立つので覚えておくと良いでしょう。

まずは、比較的長い時間を生きる、「幼虫」として過ごす環境を阻害するためには、住まいのスカム(有機物の汚泥)、ぬめり、ヘドロのような状態の汚れが溜まりやすい、主に水回り部分の清掃頻度を高めることでしょう。チョウバエは乾燥に弱いため、「清掃+乾燥」のコラボは効果の大きい発生予防方法になります。

また、よくチョウバエの成虫や幼虫が見られる浴室内、特に気密性の高い、集合住宅などのユニットバスでは「浴槽エプロン(浴槽を隠す蓋)の内側」が盲点になりがちです。

チョウバエを見かけるものの、エプロンの内側は確認したことがないというような場合には、一度、様子をみてください。髪の毛や茶色いヘドロのようなものが堆積し、その上でうごめいている幼虫や飛び回る成虫が確認できたら、とりあえずシャワーをかけるなどして水死させると良いでしょう。

また大発生してしまった場合には、市販のチョウバエ対応殺虫剤(スプレーなど)を使用しますが、あまり効果が見られない際には発生箇所の特定を間違っている可能性が高いです。正しい発生箇所を見つけるためにも、害虫駆除業者に相談したほうが無難です。

筆者プロフィール: 藤原千秋

主に住宅、家事、育児など住まい周りの記事を専門に執筆するライターとして18年目。リアルな暮らしに根ざした、地に足のついたスタンスで活動。現在は家事サービス、商品開発アドバイザリー等にも携わる。大手住宅メーカー営業職出身、高1、小6、小2の三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)、『ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー!!』(オレンジページ)など著監修書、マスコミ出演多数。