ふと気がつくと、キッチンシンクの上を小さな虫がファンファン飛んでいる。どこから来たんだろうと訝しがっていると、生ゴミをしまっておくゴミ箱の周りにも。テーブルの上の果物の周りにも飛んでいる。
日中は仕事に出ているし、部屋は閉め切っているはずなのに、一体どこから出てきたの!? そこで今回は、「コバエ」対策をご紹介します。
■キッチンに出るハエ
キッチンに出る、このハエのような小さな虫は、総じて「コバエ」と呼ばれます。体長2~3ミリと小ぶりで、昔懐かしい「ハエたたき」で盛大にはたき落としていた体長6~15ミリのイエバエ、クロバエ、キンバエなどのハエらしいハエの仲間に比べると、サイズ感も存在感も異なります。なので見かけても漠然と、「これは何だろう?」と訝しがっていた方も多いのではないでしょうか。
今回お話しするキッチンにでるコバエの代表格としては、「ショウジョウバエ」「ノミバエ」「キノコバエ」などの仲間があげられます。ちなみに、お風呂にでるコバエはまた別の種類です。
■コバエが発生する理由
これらのコバエは、いったいどこからやって来るのでしょう。基本的には、他のあらゆる害虫もそうですが、「外から入ってきた」成虫が「家の中で繁殖してしまった」ケースが多いと考えられています。
比較的よく見られるコバエである「ショウジョウバエ」は、成虫の体長2ミリ程度。体色も眼も赤いのが特徴で、過熟状態の果物や生ゴミ、ぬか床などに産卵することが多く、幼虫はそこで育ちます。卵の状態から羽化までおよそ2週間、一生を約1カ月で終えるなど、生育サイクルが短いのも特徴です。
ちなみに、ショウジョウバエの「ショウジョウ」とは酒好きの、中国の想像上の怪獣を指しているのですが、つまるところショウジョウバエのエサは果物や生ゴミそのものというより「酵母菌」なのです。なので、いわゆる生ものの範疇にはない「ビールの空き缶」なども、ショウジョウバエにとって格好の発生源になる点は覚えておいたほうがいいでしょう。
■キッチンからコバエを駆逐するには
それでは、気づいたら増殖しているキッチンのコバエを駆逐する方法はあるのでしょうか?
もしも現在、コバエの発生を見ていない住まいであるならば、この先もその状態を維持したいところですね。外部からの侵入防止策として、長時間網戸なしで窓などの開口部を開けることはこれからも避けましょう。また店頭ですでにコバエがまとわりついているような果物は、意識して購入しないようにしたいものです。
幾ばくかの侵入、また発生の気配があるような場合には、つとめて生ゴミの処理方法に注意しましょう。ゴミ箱の底に水分が残らないように、使い捨てのペーパーや消毒用エタノールなどを使って、ゴミ箱の内部を拭き取り除菌清掃しましょう。
また、キッチンシンクの三角コーナーや排水口にも、できるだけ汚れをためないように気をつけましょう。1日の最後に次亜塩素酸ナトリウムを主成分とした塩素系漂白剤のスプレーを吹き付け、細菌によるヌメリやカビ対策を施すのはコバエ対策としても有効です。
また、もしも常温にぬか床がある場合には、夏場だけでもできるだけ冷蔵庫内にしまうなど工夫しましょう。コンロの五徳内に鍋から吹きこぼれた水分、ビールや缶詰の空き缶なども、盲点になりがちなので注意が必要です。
キッチン内に不用意な水たまりがないよう普段から気をつけ、その上で「コバエ」を誘引捕獲するタイプの、市販の殺虫剤をキッチン内に設置すると、効果が期待できますよ。
筆者プロフィール: 藤原千秋
主に住宅、家事、育児など住まい周りの記事を専門に執筆するライターとして18年目。リアルな暮らしに根ざした、地に足のついたスタンスで活動。現在は家事サービス、商品開発アドバイザリー等にも携わる。大手住宅メーカー営業職出身、高1、小6、小2の三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)、『ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー!!』(オレンジページ)など著監修書、マスコミ出演多数。