ただでさえ寝苦しい夏の晩に、うとうとしかけた耳元をくすぐる不愉快な羽音……。そう、夏とともにやってくる「蚊」です。一度羽音を聞いてしまったが最後、捕まえるまでは、もう眠れないですよね。こっちは明日も仕事だというのに!

  • 夏の天敵を撃退せよ!

    夏の天敵を撃退せよ!

今回はそんな「蚊」がどこからくるのか、そして撃退するにはどうすればいいかをご紹介します。

■蚊はどこからやってくる?

住まいの場所や形状を問わず、もっとも可能性として高いのは、庭やベランダといった住まいの周囲に、不用意に溜まってしまった雨水などの水たまり、ドブ、空き缶や古タイヤやガーデニングの鉢受け皿などのものも含む側溝などで、ボウフラ(蚊の幼虫)が育ち、繁殖してしまっているというケースです。

私たちの身の回りに生息していて、頻繁に接触する可能性のある蚊には、主に「ヤブ蚊」「イエ蚊」の仲間があります。いずれも産卵から孵化までの時間は1~2日と短く、約25~30度と気温の高い夏場であれば、「卵→幼虫→蛹→成虫」というサイクルを約2週間で完成してしまいます。

成虫の寿命はおよそ1カ月。この間メスは4~5回産卵しますが、その際の栄養源として、私たちは吸血されるのです。

■蚊を確実に仕留める方法

吸血時に、蚊から分泌される唾液成分による皮膚のアレルギー反応が、あの独特の痒みの原因と言われています。蚊の害には、そういった不快感のほか、犬のフィラリア、人間のマラリア、また近年話題になったデング熱やジカ熱、日本脳炎などといった重篤な病気(感染症の媒介)があります。身近な虫ではありますが、決して軽視はできません。また、刺され跡をかき壊してしまうことなどによる二次的な皮膚炎なども、子どもや肌の弱い方には悩ましい害ですよね。

こういった蚊の害から逃れるためには、まずは家の中など、私たちの近くにまで至ってしまったメスの成虫を、いかに確実に仕留めるかが大切です。これは「蚊」に限りませんが、害虫を駆除するにあたって、成虫の一匹一匹を殺虫していってもキリがありません。

  • 日常的に蚊取りを稼働させておくことで、侵入してきた蚊の活動を防ごう

    日常的に蚊取りを稼働させておくことで、侵入してきた蚊の活動を防ごう

以前は蚊取り線香といった「蚊取り」の薬剤を含む道具が活用されていましたが、近年、火を使わない電気式の「液体蚊取り」へと進化しています。日常的にこういった蚊取りを稼働させておくことで、屋内に蚊を殺す効果のある薬剤をつねに一定の濃度で散らすことができ、屋外から人について侵入した蚊にも、即座に影響を及ぼすことができます。

■蚊を家の中に入れないためにはどうすればいい?

では、蚊を家の中に入れないためには、どうすればいいでしょうか?

私たちの存在そのものが蚊のエサである以上、蚊を一切、家の中に入れないという目標を持つことは、あまり現実的ではありません。しかし一方的に刺されっぱなしというわけにもいきませんので、できるかぎりは蚊に寄ってこられるのを防ぐために、虫除けをすることが肝要です。

蚊の活動が活発な時期、つまり気温の高い夏場を中心に、蚊が多いと思われる野外に出る際には、「人体用の虫除け剤」を身体のまわりに噴霧するか、皮膚に塗るようにしましょう。

蚊に好まれる体臭のもとになる汗を市販の汗ふきシートなどで拭き取ったり、皮脂による乳酸臭を取り去るという意味では入浴したりすることも蚊よけとしては一定の効果があります。

  • 入浴や汗ふきシートでも効果を期待できる

    入浴や汗ふきシートでも効果を期待できる

山や川、草むらなどのいかにもヤブ蚊がいそうな場所だけでなく、蚊の多い季節には地下鉄などの都市部の地下やオフィスなどでも、イエ蚊の仲間が多く発生しています。

夏場は街中を出歩く際にも、半袖や素足など肌の露出を多くする際には、蚊よけを意識してスプレーなどの準備を施しておくことで、「気が付いたら噛まれ跡だらけ……」という事態を避ける一助になります。夜であっても気温の高い、夏祭りや花火大会の折には、少し注意してみるといいでしょう。

  • 街中を出歩く場合にも、虫除けスプレーなどで対策しよう

    街中を出歩く場合にも、虫除けスプレーなどで対策しよう

また、普段の生活の中では、ごく基本的なことですが、窓を開ける際には必ず網戸を併用し、蚊の容易な侵入を防ぎましょう。玄関なども、なるべく開けっ放しにしないことを意識してみてくださいね。

筆者プロフィール: 藤原千秋

主に住宅、家事、育児など住まい周りの記事を専門に執筆するライターとして18年目。リアルな暮らしに根ざした、地に足のついたスタンスで活動。現在は家事サービス、商品開発アドバイザリー等にも携わる。大手住宅メーカー営業職出身、高1、小6、小2の三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)、『ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー!!』(オレンジページ)など著監修書、マスコミ出演多数。