FXの注文方法には、成行注文、指値注文、逆指値注文など基本的なものがありますが、それ以外にもいくつかの注文方法を組み合わせることで、自動売買ができる便利な方法もあります。状況に合わせて使うほか、相場に張り付いていられない時でも希望通りの注文を出すのに役立てることができます。さまざまなFXの注文方法を知り、トレードの参考にしてみましょう。
FXの基本的な注文方法
まず、FXの基本的な注文にはどのような方法があるのか確認してみましょう。株取引同様、最もオーソドックスな注文方法は、「成行注文」と「指値注文」です。
成行注文とは、「今すぐに買いたい、売りたい」という時に、レートを指定せず表示されている価格で取り引きする方法です。ただし厳密に言うと、株の成行注文とは少し異なり、FXの場合「ストリーミング注文」と呼ばれることが一般的です。
指値注文は、「今より安くなったら買い、高くなったら売り」と、現状より有利なレートを指定して注文を出す方法です。指値注文の場合、その値段にならなければ約定しないため、いつまでその注文を出し続けるのか期間を設定します。
逆指値注文は、指値注文とは反対に、「今より高くなったら買い、安くなったら売り」とレートを指定して注文を出します。自分に不利な条件で注文するように思えますが、おもには損失を拡大させないための「損切り」に使われる手法です。思惑とは逆に相場が動いてしまった場合には、「〇円まで下がってしまったら、諦めよう」と、あらかじめ決めておいたレートで損失を確定させることが大切です。また、相場が上昇トレンドや下降トレンドに乗った時、そのトレンドを追いかけるために逆指値注文を入れておくといった使い方もできます。
組み合わせて便利なFXの注文方法4つ
OCO(オーシーオー)注文
OCO注文とは、指値注文や逆指値注文を組み合わせて一度に2つの注文を出し、どちらかの注文が約定した場合には、もう一方の注文は取り消しになるという注文方法です。相場が予想通りに動いたら利益確定、反対に動いてしまったら損切りというように、利益を狙いながら損失の拡大を防ぐこともできる便利な方法なのです。
たとえば、現在のレートが1ドル=103円の時、上昇トレンドに乗ったと予想して「1ドル=105円になったら買い」という注文(逆指値注文)を出したとします。そして、一定の利益を得るために「1ドル=107円になったら売り」という注文(指値注文)を出す一方、損切りのために「1ドル=104円になったら売り」という注文(逆指値注文)を入れることがOCO注文では可能になります。また、すでにポジションを持っている場合にも利用でき、応用範囲の広い注文方法の1つです。
IFD(イフダン)注文
IFD注文とは、一度に2つの注文を出し、最初の注文が約定したら2つめの注文が自動的に発注される方法です。2つ目の注文は、最初の注文が成約されない限り、発注されることはありません。たとえば、現在1ドル=103円の時に、「1ドル=105円になったら買い」という注文を出しておくと同時に、「1ドル=107円になったら売り」という注文も出しておきます。こうすることで、利益を逃さず確実にものにすることができます。
一方、IFDは損切りにも活用できます。たとえば、現在1ドル=105円の状態で、「1ドル=106円になったら買い」、「1ドル=104円になったら売り」という注文を入れます。1ドル=106円になった時点で最初の注文が成立し、その後レートが1ドル=104円まで下がると2つ目の注文が約定します。この時の損失は、2円となります。
IFDOCO(イフダンオーシーオー)注文
IFOCO注文は、IFD注文とOCO注文を組み合わせた注文方法です。最初にIFD注文が約定し、その後OCO注文が発注されるという仕組みになっています。IFD注文では1つの、OCO注文では2つの決済注文ができることで、合計3つの注文と2つの決済を行うことができます。
たとえば、現在1ドル=105円だとすると、レートが下がり「1ドル=104円になったら買い」の注文を入れます。そして、一定の利益を得るために、「1ドル=106円になったら売り」の注文を入れる一方で、損切りのために「1ドル=103円になったら売り」の注文を入れるといった具合です。これで、レートが上昇すれば2円の利益、レートが下降すれば1円の損失が確定します。IFDOCO注文を用いれば、買い注文から売り注文までを自動に行うことができるため、仕事や家事が忙しくてずっと相場を見ていられない時でも取引が可能になります。
トレール注文
トレールは、「追いかける」という意味の言葉。「トレール注文」とは、レートの上昇幅や下落幅に合わせて、自動的に逆指値のレート水準を修正してくれる便利な注文方法です。たとえば、1ドル=105円の時に買ったポジションに対し、「50銭下がったら逆指値で売る」という設定にします。すると、レートが上昇して1ドル=106円になった時には、逆指値のレートも50銭ずつ上がり、105円50銭となるのです。一度上がったトレール注文は変わらず、常に高値から50銭下がったところで決済となります。そのため、利益を伸ばしながら、同時にいざという時には損切りも行えることになります。
これらの注文方法は、利益を生む機会を逃さないこと以上に、損失を限定してくれるという意味で非常に重宝します。自分なりに取引のルールを決めたら、それに沿って組み合わせ注文を使ってみましょう。
筆者プロフィール: 武藤貴子
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント
会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中。