FXを始めるのにまず行うことは、「口座開設」です。大手FX会社の広告が目につきますが、FX口座は有名どころならどこでも良いと言うわけではありません。口座を選ぶ際は、快適な取り引きができるよう、必ず抑えておきたい点があります。また、自分の投資経験や投資スタイルによっても各社の内容を比較すると良いでしょう。今回は、FX口座を選ぶ5つのポイントをまとめてみました。

  • FX口座を選ぶ時の5つのポイント

1.初心者が始めやすいサービスが揃っている

FXに初めて取り組む人は、「無料のデモ口座」があり、少額取引ができるように最小取引単位(米ドル/円)が「1000通貨以下」である口座を選ぶようにしましょう。

デモ口座とは、本物のお金ではなく、仮想的なお金で取り引きできる口座のこと。デモ口座では、本物のお金か仮想的なお金かの違いを除いては、ほぼ本番と同様の環境で取り引きの練習ができます。使い勝手が分からない状態で、いきなり本番環境で取り引きを行ってしまうと、思わぬ損失を招くことがあります。そこで、デモ口座で操作方法やFX用語を一通り覚えておくと、いざリアルな口座で開始しても慌てることなく取り引きすることができるのです。デモ口座は多くのFX業者で用意していますし、中には口座を開設していなくてもデモ口座の申し込みができるところもあります。取引環境をチェックする意味でも、一度試してみましょう。

また、「最小取引単位」も忘れずに確認しておきたい点です。多くのFX業者では、基本の取引数量が「1万通貨」に設定されています。米ドル/円なら1万ドルになるため、例えば1ドル100円とすると約100万円の元手が必要になります。FXはレバレッジが効くため、口座に10万円しかなくても100万円の取り引きはできます。しかし、予想に反して相場が逆に2円、3円動いた時は、元手の20%、30%の損失を被ることになり、初心者には決してオススメできません。

そこで、最小取引単位が1000通貨以下のFX会社を選び、取り引きを始めてみましょう。1000通貨なら、例えば元手が10万円の場合、1000ドルの取り引きならレバレッジは1倍になります。これなら、為替が思惑と反対に10円と大きく動いたとしても、損失は1万円にとどめることができます。なお、最小取引単位が1000通貨のFX会社の中には、1000通貨だと取引手数料がかかるところもありますので、その点にも気を付けましょう。

2.スプレッドの狭さ

為替レートの変化を利用して通貨の売り買いを行うFX。この、通貨を売る時と買う時の値段の差のことを「スプレッド」と言います。実際に取り引きする際、この差分はトレーダーが負担することになるため、実質的な手数料のように考えられています。スプレッドの差は狭い方がトレーダーにとっては有利なため、口座を選ぶ際には重要なポイントの1つになります。

3.スワップポイントに力を入れている

「スワップポイント」とは、通貨と通貨を取り引きした際に発生する金利差額のこと。買った方の通貨の金利をもらい、売った方の通貨の金利を支払うイメージですが、金利の高い通貨を買った場合は差額の利益が発生します。このスワップポイントは、日をまたいでポジションを保有した時に発生します。

なお、FX会社によってスワップポイントには差があります。スワップも狙いたいという人は、口座開設を考えているFX会社がスワップポイントに力を入れているかどうかも確認しておくようにしましょう。

4.取引ツールや注文機能、情報量などが充実しているかどうか

実際にFXを始めてから大事になるのは、取引ツールの使いやすさや注文機能の充実、そして、良質な情報が充分に得られるかどうかといった点です。まず、取引ツールは画面のレイアウトや設定、時間足の種類、複数通貨の比較などを見比べてみましょう。また、注文方法の種類や特殊注文の有無なども確認しておきたい項目です。

出先で取り引きすることが多い場合は、スマートフォンから使える機能もチェックしましょう。利益を上げるために必要となる、アナリストレポートやニュース配信の質や量も必ず見ておきたいポイント。FX会社によっては、セミナーやLive配信を行うところもありますので、サービスが充実しているところで口座を開きたいですね。

5.通貨ペアや取扱商品の豊富さ

取り引きできる通貨ペアは、FX会社によって異なります。例えば、「スイスフラン/円」などはマイナー通貨ペアに分類され、取り扱っている会社が限られています。その他、新興国通貨が豊富なFX会社もありますので、気になる場合はそうした通貨ペアが揃うFX会社に注目してみましょう。

また、「取引所取引(くりっく365)」や「CFD」、「バイナリーオプション」などFX以外にも商品の選択肢を広げたい場合、口座開設を検討しているFX会社にそれらの取り扱いがあるかどうかもチェックしたいところです。

最近はサービスの充実したFX会社がしのぎを削っているため、どこで口座を開設しようか迷ってしまうほどです。初めから1つに絞るのではなく、今回紹介したポイントを見比べてデモ口座で使い心地を比較し、最終的に自分にとって最適な口座を利用すると良いでしょう。


デモ口座
本物のお金ではなく、仮想的なお金で取り引きできる口座

最小取引単位
そのFX会社で最小で取り引きできる取引数量

スプレッド
通貨を売る時と買う時の値段の差

スワップポイント
通貨と通貨を取り引きした際に発生する金利差額


筆者プロフィール: 武藤貴子

ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント

会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中。FP Cafe登録FP。