最近、会社員や主婦、学生などに人気のFX。スマートフォンやタブレットなどモバイル機器からの取引環境が整い、24時間好きな時間帯に取り組めるなど、スキマ時間を使って気軽に始める人が多いようです。しかし、FXを行うには売買のルールや仕組みなどを最低限覚えておく必要があります。そこで、これからFXを始める初心者に向けて、抑えておきたい基本知識をまとめてみました。
FX(外国為替証拠金取引)とは
日本で流通する日本円を外国の通貨に換える取引を「外国為替取引」と言います。通貨と通貨を交換するには、「通貨の価値=為替レート」を基準にして換える必要があります。為替ニュースを見ていると、1ドル=105円だったものが106円に変わったりしていますよね。この刻一刻と起こる価格変動を利用して取り引きする投資が「FX(外国為替証拠金取引)」です。
たとえば、100円で買った1ドルを為替レートの変動を利用して110円で売ることができれば、10円の利益が出ます。また、110円で売った1ドルを100円で買い戻すことができれば、同じく10円の利益が出ます。この時の利益を「為替差益」と言い、反対に為替レートによる損失を「為替損失」と呼びます。FXは、レートが変動し価格が上下することによって生じる為替差益を狙った取引ということになります。なお、FXは円やドルだけでなく、世界中の数多くの通貨の組み合わせで行うことができます。
証拠金やレバレッジって何?
FXを行うには、取引業者に口座を開設し、一定のお金を担保として預け入れる必要があります。このお金のことを「証拠金」と言います。証拠金とは、元々は商品先物取引において使われる用語ですが、担保として預け入れた金額の範囲内で取り引きできる仕組みです。
FXの場合、預け入れた資金の数倍(最大で25倍)の取り引きが可能となります。これを「レバレッジ」と呼び、「てこの原理」を意味しています。たとえば、5万円の証拠金に20倍のレバレッジをかければ、100万円のお金を動かすことができるのです。そのため、手元に少ない資金しかない場合でも大きな金額の取り引きが可能となり、これがFXの大きな特徴の一つとなっています。
レバレッジの効果として、多額の取り引きを行うことで得られる利益が大きくなる可能性がある一方、相場が予想と反対に動いた時には、損失が巨額になりかねないことも忘れないようにしましょう。
メリットとデメリット
FXのもう一つの特徴として、「24時間取り引きできる」ことが挙げられます。だからこそ、会社員や主婦、学生、リタイア後の生活を送る人など、どのような生活スタイルの人でも取り引きが可能になるのです。時間が制限されないことで、空いている時間をうまく利用して取り引きできる点はFXの大きなメリットと言えるでしょう。
FXが24時間取り引き可能なのは、FXの取り引きの場が外国為替市場だからです。外国為替市場は世界中に数10カ所あり、それぞれの国での日中時間に開かれています。市場間には時差がありますので、どこかの市場が開くとどこかの市場が閉まるというように、取り引きはリレーのように続いていきます。その結果、24時間営業のような市場が出来上がり、私たちも自分の都合に合わせていつでも取り引きすることができるというわけです。
「24時間いつでも取り引きできる」ということは、FXを始めるハードルを下げてくれるように感じますが、一方で自分が確認できない時間帯にも相場は動き続けている、ということも意味しています。ポジション(決済して利益や損失が確定する前の状態)を持ったままでも、一定時間相場を見ることができない時間があることを見越して、ロスカット(損切り)注文を入れておくなどの対策が必須です。
近頃は、FXについて雑誌や書籍、インターネットから様々な情報を簡単に得られるようになり、多くの人にとってFXが身近な存在になりました。口座を開設して設定を済ませておけば、スマートフォンから簡単に取り引きができるようにもなりました。だからこそ、利益を得やすいと思いがちですが、しっかり仕組みを理解していないと大きな損失を被るなど痛い目に遭うこともあります。基本をしっかりと学び、リスクを最小限に抑えて利益を求めていきましょう。
用語解説
FX(外国為替証拠金取引)
通貨を換金する時の為替差益を利用して取り引きする投資
為替差益、為替損失
為替レートの変動により生じる通貨交換の差益と損失
証拠金
FXを行う際に口座に担保として預け入れるお金
レバレッジ
FXでは証拠金の数倍(最大で25倍)の取り引きができること
筆者プロフィール: 武藤貴子
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント
会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中。FP Cafe登録FP。