FXを始めるには、何はともあれ取引する会社を選ばなければならない。FXがこの世に登場して10年。FX会社の数は130社にもなった。

進むFX会社の淘汰

独立系FX会社、ネット証券会社、ネット銀行、商品先物会社など、実にさまざまな業態が、FXを扱っている。

一方、相変わらず「アヤシイ」FX会社の話も後を絶たない。昨年はエフエックス札幌とアルファ・エフエックスという2つの独立系FX会社が破たんした。前者は自己ディーリングに失敗して損失が拡大。実質債務超過に陥り、経営が立ち行かなくなった。後者は最近、雑誌の誌面などを賑わせているように、社長が顧客からの預かり金を持ち逃げした挙句の倒産劇だ。

いずれもロクでもない結果だが、FX会社の設立認可基準などがきちっとルール化されたにも関わらず、この手の「詐欺行為」が生じることに、FX業界の危うさがある。

おそらく、これからもFX会社の淘汰は進むと思われる。その最大の理由は、かつての証券会社がそうだったように、FX業界でも価格競争が一段と激化しているということだ。FX会社にとっての利益は、顧客が通貨の売買をする際に徴収する「為替手数料」、売りレートと買いレートの差額である「スプレッド」がメインだが、このうち為替手数料についてはゼロ円(つまり無手数料)を売り文句にするFX会社が増え、さらにもうひとつの収益源であるスプレッドについても、かなり狭められつつある。

当然、競争が激しくなれば、淘汰されるFX会社も増えてくる。業界関係者によれば、今130社あるFX会社で、最終的に生き残るのは30社程度ということだ。誰も「倒産」を願ったりはしていないだろうが、そのような事態に直面した時に備えて、セーフティネットのしっかりしたFX会社を選ぶべきだ。

信頼に足る取引相手を選んで

一例を挙げる。独立系FX会社大手、セントラル短資オンライントレードでは、顧客から預託された証拠金、為替損益、スワップポイントに見合う資産を、自社の資産とは分けて管理する「分別管理」を行うとともに、その顧客資産を全額、三井住友銀行に信託することによって、より一段と資産の保全性を高めている。つまり、FX会社が倒産したとしても、この仕組みによって、顧客の資産は保護される。基本的に、この手の仕組みを持たないFX会社とは、取引しない方が良いだろう。

自分の資産をいかに守るか。FXに限らず、金融取引を行うにあたって一番大事なポイントである。特にFXに限っていえば、信託保全による分別管理をきちっと行っていることが第一条件であり、さらにFX会社が十分信頼に足るだけの設立背景を持っているかどうかにも目を向けておきたい。

この手の情報は、各FX会社のホームページを見れば情報開示されている。自分の大事なお金を運用するのだから、信頼に足る取引相手をしっかり選ぶようにしよう。

JOYnt代表 鈴木雅光氏プロフィール

主な略歴 : 1989年4月 大学卒業後、岡三証券株式会社入社。支店営業を担当。 1991年4月 同社を退社し、公社債新聞社入社。投資信託、株式、転換社債、起債関係の取材に従事。 1992年6月 同社を退社し、金融データシステム入社。投資信託のデータベースを活用した雑誌への寄稿、単行本執筆、テレビ解説を中心に活動。2004年9月 同社を退社し、JOYntを設立。雑誌への寄稿や単行本執筆のほか、各種プロデュース業を展開。