2020年、利用者が400万人を突破した「ふるさと納税」。お得な制度として広まっていますが、ふるさと納税を利用し慣れている方にとっても、今年は少し注意が必要な年となりそうです。

  • ふるさと納税を利用し慣れていても今年は注意が必要

ふるさと納税の仕組みを改めて復習

注意点の前に、まずはふるさと納税の仕組みをおさらいしてみましょう。

ふるさと納税とは、自分が選んだ地方自治体に寄付ができる制度です。"ふるさと"とありますが、実際には寄付をする自治体を自由に選べます。

寄付をした金額のうち、2,000円を超えるものは、その年の所得税から還付・翌年度の住民税から控除されます。ただし、寄付をした金額すべてが税金の控除の対象になるわけではなく、控除される金額には上限があります。

また、所得税の還付・住民税の控除には、ふるさと納税を行った翌年の3月15日までに確定申告を行うことが必要です。

ただし、

・給与所得者などでふるさと納税以外の確定申告が不要
・ふるさと納税を行う自治体の数が5つ以内

という条件を満たせば、「ワンストップ特例制度」を利用し、確定申告なしでふるさと納税を利用できます(ワンストップ特例制度を利用した場合は控除額全額が翌年の住民税から控除されます)。

"いつも通り"は危険! 今年は控除上限額に要注意

ふるさと納税を利用して寄付をすること自体に上限額はありませんが、税金の控除を受けるには前述の通り上限額があります。

控除上限額は、本人の収入や扶養家族の人数など様々な条件によって変わるため、ふるさと納税のポータルサイトでシミュレーションしてみることをおすすめします。

例年であれば、収入にそれほど大きな変化がないことを前提に、前年の「源泉徴収票」を元に試算します。

ただし、今年は新型コロナウィルスの影響で、ボーナスの削減や残業代の削減など、前年と比較して収入が大きく変化しているご家庭も多いのではないでしょうか。

収入が減っているにもかかわらず、例年通りにふるさと納税を利用していると、上限額を超えて寄付をする可能性もあります。

控除上限額を超えて寄付をした場合は、税金の控除はなく、"純粋な寄付"となります(返礼品のある寄付を選択した場合、返礼品を受け取ることはできます)。

何を目的にふるさと納税を利用するかにもよりますが、税金の控除を主な目的としている場合は、今年は特に控除上限額を意識しておきましょう。

今年の控除上限額の確認はどうしたらいい? 注意点は?

では、今年の控除上限額はどのように確認すればいいのでしょうか。

一番安心な方法は、今年の源泉徴収票を会社から受け取った時点で、ふるさと納税のポータルサイトを利用して、今年の上限額を確認する方法です。

早く確認したい場合は、今年の給与明細を確認し、冬のボーナスを除いた額を今年の収入額と仮定し、現時点での上限額を確認しておくのもいいでしょう。

収入が確定したタイミングで上限額に余裕があれば、追加で寄付をすることにしておけば、年末に慌てることもありません。

ただし、年末にふるさと納税を利用する場合は、「受領日」に注意しましょう。

2020年の所得に対して控除を受けられるのは、受領証明書に記載されている受領日が2020年1月1日から12月31日までのものに限られます。基準は「申込日」ではなく、あくまで「受領日」です。

年内に申し込みを完了していても、入金確認などに時間がかかると、年内の寄付としては処理されない場合があります。

特に、郵便振替や銀行振込で支払う場合は、自治体が入金を確認できるまでに時間を要するので注意が必要です。

年内受付とする期限を、支払い方法ごとに設定している自治体もあります。

クレジットカードは12月31日23:59まで受け付けている自治体も多くありますが、早いところでは12月中旬には年内の受付を終了してしまう自治体もあるので、ご自身が寄付をしようとしている自治体の年内受付期限をしっかり確認しましょう。

今年は新型コロナウィルスの影響を受け、生活が大きく変化した方も多くいらっしゃいます。

打撃を受けた生産者や事業者への支援にふるさと納税が活用できるケースも増えています。

ふるさと納税のメリットのひとつは、税金の使い方を自分で決められる点です。

必要な方への支援として、上手にふるさと納税を活用してみるのもいいのではないでしょうか。