お礼品に注目が集まりがちなふるさと納税ですが、ふるさと納税はあくまで「寄付」です。自分が寄付したお金がどのように使われているのかも気になるところ。前回に引き続き、ふるさと納税サイト「さとふる」の運営と自治体のふるさと納税業務の代行サービスも行う、さとふる・坂平由貴さんにお話を伺いました。
ふるさと納税は何に使われる?
――ふるさと納税で集まった寄付金はどのように使われるのでしょうか?
弊社では、寄付者の方に年2回アンケートを実施しているのですが、直近6月のアンケートでは、「地域活性」や「復興支援」「教育・子育て支援」に使ってほしいという声が多かったです。実際に各自治体でも、地域の住民のためのサービス充実などに使われることが多いですね。
例を挙げると、山形県の尾花沢市では「あったかい子育て」の応援を目的に、お父さんを対象とした親子教室や、山形のプロサッカー選手によるサッカー教室の開催などに、ふるさと納税の寄付金が使われています。地方では、若い人に定住してもらうための施策に使われることも多いです。
――少子高齢化が進む地域の場合、通常の税収だけではなかなか厳しい部分もありますよね。
そうですね。通常の税収だけだと、現状の住民サービスを提供するだけでほとんど使い切ってしまうという地域もあります。ふるさと納税で税収が増えることで、新たなサービスに取り組めるようになったという自治体も少なくありません。
たとえば島根県雲南市では、「幸雲南塾」という形で、新しい事業や若い人材の活動を市が支援しています。そのプロジェクトのひとつに、「コミュニティナース」という取り組みがあり、クラウドファンディング型のふるさと納税で集めた資金が活用されています。
コミュニティナースとは、看護師資格を持つスタッフが、地域の公民館やお店などでの健康教室や高齢者向けの配食サービスといった活動を通して住民と信頼関係を築き、地域の中で気軽に健康相談ができる存在を増やしていこうという取り組みです。
――クラウドファンディング型のふるさと納税は増えているのですか?
はい。業界全体として今年はとくに増加傾向にありますね。総務省からもふるさと納税の使い道についての大臣通知が出されるなどしていますから、今後も増えていくのではと思っています。
災害支援目的のふるさと納税
――災害支援目的のふるさと納税(お礼品なし)も増えていますか?
今年は災害が続いたこともあり、災害支援でのふるさと納税の活用というのは注目を集めています。さとふるでも、7月の西日本豪雨や9月の北海道胆振東部地震などの際に緊急支援サイトを立ち上げました。
北海道胆振東部地震では、安平町と厚真町への寄付金受付を行っていて、2自治体合わせて1億円以上(2018年9月時点)の寄付が集まっています。
――集まった寄付金は直接被災自治体へ渡るのですか?
はい。さとふるの場合、募集開始の翌月には直接自治体へ寄付金が送金されます。義援金や募金のなかには、集まってから被災地へ届くまでに時間がかかってしまうものもあるようなのですが、ふるさと納税での寄付に関しては比較的スピーディーにお届けすることができます。そのため、一刻も早い復興により役立てていただけていると思っています。
また弊社の場合、通常のお礼品を伴うふるさと納税に関しては、自治体から手数料をいただいているのですが、災害支援支援特設ページからお礼品なしで寄付申込をいただいた場合は、この手数料をいただきません。クレジットカード決済やコンビニ決済にかかる、決済会社への手数料も弊社で負担しています。つまり、寄付金が全額被災地へ届くということです。
――復興支援として利用するときの注意点などがあれば教えてください。
ふるさと納税分の税金控除を受けるためには、寄付先の自治体から「寄付受領証明書」を受け取り、期限までに税控除の申請をする必要があります。しかし被災自治体の場合は、どうしても復興優先で動いていますので、証明書の発行に時間がかかる場合があります。
申請期限ギリギリになってしまうと、証明書の受領が間に合わない可能性もありますので、事前に留意しておいていただきたい点です。
――ありがとうございました。
ふるさと納税の使い道については、ホームページなどで公開している自治体も多いようです。気になる自治体があれば、ぜひ一度チェックしてみてください。