被災地域へ寄付をしたい気持ちはあるけれど、家計のことを考えるとなかなか行動に移せない人もいるかもしれません。そんな人にとっては、ふるさと納税で復興支援をすることが、新しい選択肢の一つになるのではないでしょうか。今回は、ふるさと納税で復興支援をするメリットを中心にお伝えします。

  • ふるさと納税で復興支援ができる! その3つのメリットとは?

    復興支援のふるさと納税、そのメリットとは?

メリット1:必要な自治体へ直接寄付金を届けられる

自然災害が発生したときに、私たちは多くの募金活動を目にします。いろいろな団体・方法で募金活動がされていて、何を選べばいいのか困ってしまうこともあるのではないでしょうか。また寄付をしても、被災した自治体などの手元に実際に寄付金がわたるまでに、時間がかかってしまうことが問題視されることもあります。

一方ふるさと納税で復興支援をする場合は、被災した自治体に直接お金を届けることができます。寄付したお金が、本当に必要なときにすぐに使ってもらえるのは、寄付する側にとってもうれしいことですよね。

メリット2:ワンストップ特例制度を利用すれば、確定申告の必要がない

復興支援目的のふるさと納税を行った場合も、通常のふるさと納税と同様、寄付先が5つの自治体までで、ふるさと納税以外に確定申告をする必要がなければ、「ワンストップ特例制度」を利用することができます(第3回参照)。

これまでもふるさと納税を利用していた方であれば、手続きはこれまでと代わることなく、復興支援ができるので、手軽に寄付をしやすいのではないでしょうか。寄付先の自治体数が5つを超えた場合などは、忘れずに確定申告をしましょう。

メリット3:寄付のハードルが下がる

寄付したい気持ちはあるけれど、家計のことを考えると、あまり多額の寄付はできないと考えるのも自然なことではないでしょうか。ふるさと納税を利用すれば、復興支援分も寄付した額のうち自己負担額2,000円をのぞいた全額が、その年の所得税と翌年の住民税から控除(還付)されます(上限額あり)。

つまり、元々お住まいの自治体へ納めるはずだった税金分の一部を被災した自治体へ寄付することになるので、2,000円の自己負担額以外に家計の負担が増えることはありません。ふるさと納税という制度を利用することで、「被災した自治体を応援したい!」というご自身の願いを叶えやすくなります。

実際の手続きはどうすればいい?

ふるさと納税のポータルサイトでは、復興支援の特設ページを設けて、わかりやすく情報を一元化しているところが多くあります。そこから、ご自身が支援したい自治体を選んで、通常のふるさと納税と同様に手続きをするだけで寄付ができます。

「ふるさと納税=返礼品」のようなイメージもありますが、復興支援の場合は基本的には返礼品がありません。その点はしっかり理解した上で寄付をしましょう。

また、災害の被害が広範囲にわたる場合、報道のされ方などによっては、一部の自治体に寄付が集中してしまうこともあります。実際にポータルサイトで現状をしっかりと確認して、支援が必要だと思う自治体を自分で選ぶことも大切です。

被災自治体の負担にはならないの?

自分が寄付をすることで、被災した自治体の手間を増やすことは避けたいものですよね。

復興支援の場合、自治体は返礼品を送付する必要はありませんが、寄付をした側との必要書面のやり取りはどうしても発生します。被災した自治体にとっては、その事務作業は大きな負担になるはずです。

その問題点を解消するために、被災していない他の自治体が寄付を代理で受け付ける制度を設けている場合があります。こういった制度を利用することで、被災した自治体への負担を心配せずに、気持ちよく寄付をすることができます。

  • ふるさと納税で復興支援ができる! その3つのメリットとは?

    茨城県境町では北海道胆振東部地震などの代理寄付を受け付けている(2018年11月1日現在)

募金団体に義援金を送った場合はどうなるの?

日本赤十字社や中央共同募金会、日本政府などに義援金として寄付をした場合も、その義援金が最終的に被災地方団体または義援金配分委員会等にわたるものであることが証明できれば、「ふるさと納税」として所得税と住民税で控除(還付)が受けられます。

ただしこの場合、ふるさと納税のワンストップ特例制度を利用することはできないので、確定申告が必要になります。確認申告には以下の2点が必要になるので、なくなさないように保管しておきましょう。

(1) 振込依頼書の控えまたは郵便振替の半券(いずれも原本)
(2) (1)に記載された口座が当該義援金のための専用口座であることが確認できる書類(募集要綱の写し等)


これまでの連載を通して、ふるさと納税はただ返礼品がもらえて得をする制度ではないことがご理解いただけたでしょうか。各地の良さを再確認できる、税金の使い方を自分で選ぶことができる、税金制度の理解を深めることができる、といった“お得”だけではないメリットもたくさんあります。

興味はあるけれど、これまで手つかずだったという方は、まずはポータルサイトを実際にのぞいてみるとか、寄付ができる上限額をシミュレーションしてみるなど、無理のない範囲でまずは何か一つ、ぜひ実際に行動に移してみてくださいね。

筆者プロフィール: 長谷部敦子

ラーゴムデザイン代表 長谷部敦子 ファイナンシャルプランナー、マスターライフオーガナイザー、メンタルオーガナイザー。父親の看取り介護、自身の結婚を通して、「心」と「お金」の整え方を知ることの必要性を感じ、学びを深める。2012年・2014年の出産を経て、2015年に「しなやかな生き方をデザインする」をコンセプトに起業。家計・起業・扶養などに関わるお金の悩みや、働きたい女性のメンタルについての相談・講師業を中心に活動。働く母の目線で、日々のくらしを快適にする仕組みづくりについての執筆も行っている。「生き方デザイン.com」