退社後、まっすぐ家に帰らずにフラフラ~っと娯楽施設や飲食店へと足を運んでしまうサラリーマン、通称「フラリーマン」。そのフラリーマンになりかわり、様々な体験をすべく2018年8月よりスタートした当連載も、回を重ねること今回で12回目。日頃東京都内を駆けずり回っている筆者にご褒美が。なんと、大分県の別府温泉にあるお宿「和み月」で、スペシャルな時間を過ごしてきた。
大人なムード漂う、別府の隠れ家宿
上機嫌で大分に飛んだ筆者が見たものは、めちゃめちゃ立派な温泉宿。玄関の佇まいからして、所謂みんなでやってきてワイワイするというよりは、大人のしっとりした隠れ宿という雰囲気が漂っている。
案内された部屋に入ると、畳の上にちゃぶ台が置かれ、ツインベッドが並んでいる。まさに、大人の逢瀬っていう感じのムード満点な部屋だ。ちゃぶ台&ベッドという、あえてのミスマッチ具合も現実感がなくて、日常を離れて遠くまで旅行に来たっていう気持ちになれる。
しかも、奥に目をやると露天風呂がある。さすが別府温泉、源泉かけ流し100%の露天風呂がすべての客室に付いているのだとか。部屋に着いたら、荷物を置いて畳の上でごろ~んとしてから、露天風呂に入って旅の疲れを癒やす。なんて心地良い宿なんだろう。入浴してみると、体の隅々まで癒やしてくれるとてもやわらかい温泉に「ハァァァ~」と全身が弛緩。たっぷりと温泉を堪能してから、いよいよお楽しみの食事へ。
味も見た目も秀逸な地元料理の数々
夕食は食事処にて、地魚をふんだんに使った創作料理のコースが楽しめる。もともと福岡で鮨店を営んでいらっしゃったという料理長の小野潤さんがつくる料理は、どれも美味しいだけじゃなく見た目も美しい。
日替わりのお造りには、かんぱち、太刀魚、まぐろ、関アジ(※通常はオプション)を盛り込んでいただいた。やはり土地柄、関アジを求めて足を運ばれる方が多いという。食べてみると、大分県と愛媛県に挟まれた豊後水道の厳しい海流で育った魚はどれも身が締まり味も抜群。かなり厚めに切られているので、食べ応えもあり。
また、出汁にカニ、エビ、ホタテ、鯛などの旨味が沁み出した「地魚獲り鍋 かつお出汁仕立て」は、ひと口食べるごとにホッと心と体が温まる優しいお鍋となっている。魚介の旨味で煮た野菜やお豆腐も美味しい。鍋料理は、ゆくゆくは豊後牛のしゃぶしゃぶや、ふぐを加える可能性もあるそうだ。
この日のメニューには、枝豆やとうもろこしを使った色鮮やかな料理もあり、まだ少し夏の名残を感じさせた。また、「生ハムとクリームチーズのブルスケッタ」や「ズッキーニのチーズ焼き」等、洋風の創作料理もラインナップ。海鮮中心の和食の中にあって、一味違ったアクセントになっていた。
そんなバラエティに富んだメニューの中で、筆者がとくに気に入ったのが、「鯖バッテラ」。酢と塩加減の絶妙なバランスは、口に入れた瞬間に唸ってしまったほど。これが帰りにお土産にできたりしたら最高かもしれない。ちなみに、料理長によると、食材はすべて大分県で生産したものを使ってメニュー化されているとのこと。地産地消のこだわりを感じさせる食事のラインナップは、遠方からやってきた宿泊客にとってはなによりのごちそうだ。
料理が美味しければ、当然良い酒を飲みたくなるもの。日本酒、焼酎は地元の銘柄はもちろんだが、あくまでも料理に合った美味しい酒を産地にこだわらずに取り揃えている。さらに、刺身、エビ、カニに合わせた外国産の珍しいワインも用意しているとのことで、カニのイラストが入ったニュージーランド産「Crab Farm Winery」のピノ・ノワール赤をいただいてみた。
かなりスパイシーな味と香りで、個性が際立ったワインだ。温泉宿でこんな珍しいワインと出会えるなんて、思ってもみなかった。これなら、普段はあまり飲まない女性と一緒でも「珍しいし、せっかくだから飲んじゃおうかな」なんてお酒に付き合ってくれるかもしれない。
お風呂上りで食事もたらふく食べて、お酒でほろ酔い気分に。そんなときは中庭に出て酔い覚ましがてら、夜風にあたりながら散歩してみるのも良いかもしれない。プライべート感たっぷりのしっとりした雰囲気のお部屋に、豪華な食事が満喫できる「和み月」。日頃の仕事のご褒美に、大切な人を連れてたっぷりと2人きりの大人時間を過ごしてみては?
●information
「和み月」
大分県別府市上人本町411-5
別府駅・別府観光港の送迎あり
駐車場:あり(無料)
※宿泊プラン詳細については、オフィシャル・ウェブサイトまで