前回の復習

まいど、"相場の福の神"こと藤本です。前回は、「NISAで「株式投資」その(1)」について解説いたしました。

そのポイントを再掲載すると以下の通りです。

ポイント

  • NISAで株式投資を行う場合は、証券会社でNISA口座を開設しよう

  • NISA口座での株式投資は、日本株と外国株の2つがあります

  • NISAでの投資金額は100万円まで、最低投資金額の大きい銘柄は単元未満株で買うことが出来ます。

NISAで株式投資を行う場合は、証券会社でNISA口座を開設しよう。

NISAで「株式投資」その(2)

投資の目的

NISA口座で株式投資を行う目的について考えましょう。ずばり、その目的は「儲けること」です。株式投資での儲ける方法については、保有しているだけでもらえるインカムゲインと、売買して儲けるキャピタルゲインの2つがあります。

インカムゲインとキャピタルゲイン

株式投資によって得られる代表的な利益には以下の2つがあります。

【インカムゲイン(配当金)】

資金を提供してくれた株主に対して、会社は利益を分配します。これを「配当金」といいます。「配当金」は、会社によって設定されている権利確定日に保有していた株主に対して支払われます。NISA口座で購入した株式・ETF(上場投信)・REIT(不動産投信)の配当金は、そのまま全額が無税で貰えます。配当金額に関しては、会社の業績に左右されますので、増減する可能性があり、赤字企業や、成長性の高い企業では配当金のない無配の企業もあります。

具体的には、株価1,000円で100株買った場合、1株あたりの年間配当が20円の場合、投資金額1,000円×100株=10万円に対して、100株×20円=2,000円の配当が貰えます。(売買手数料、税金を考慮せず)

この場合、1株あたりの配当金を株価で割った

20円÷1,000円=2%

を配当利回りと言います。

東証1部の全銘柄の配当利回りの単純平均は1.68%(2014年4月7日終値基準)です。また、東証1部の配当利回り別の銘柄数が図表1になります。ザックリと配当利回り2%以上の銘柄は、高配当利回り銘柄と言えそうです。

図表1 東証1部の配当利回り別銘柄数

また、いつ保有している株主が配当が貰えるかというと、企業ごとにあらかじめ定められた「権利確定日」に株式を保有していた株主が、配当を貰える権利があります。日本の場合、3月期決算企業が多いです。東証1部で配当を出す予定の1,675社のうち、約77%の1,295社が3月決算企業です。

株主への利益配分である配当は、株主総会での決議事項なので、3月決算企業の場合、5月に株主総会が行われるので、その後の5月・6月に配当が実際に貰えます。

注意ポイント

NISA口座の場合、配当に関しても非課税になります。ココでご注意いただきたいのは、売買益に関しては、NISA口座では自動的に非課税になります。しかし、配当金に関しては、NISAで国内上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、事前に配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」にご登録いただく必要があります。

口座開設時に、配当金の受領方法を登録しますので、その際の「株式数比例配分方式」をお選びください。自分がどの受領方式を選択しているのか判らない場合は、ご利用の証券会社に問い合わせれば、判るはずです。もし、「株式数比例配分方式」を選択していなければ、選択方法を証券会社にお問い合わせください。

図表2 NISA口座での配当金受取方式別課税

(※2037年12月31日までは復興特別所得税の対象となるため、20.315%の税率となります)

(※「株式数比例配分方式」を選択しなかったことによって非課税とならなかった場合、確定申告を行えば、特定口座や一般口座で保有する他の上場株式等の売買損失との損益通算ができます)

(※国内上場外国株式の配当金等は、「株式数比例配分方式」の適用外となるため、課税対象となりますのでご注意ください)

【キャピタルゲイン(売却益)】

保有している株式が値上がりしたときに、その株式を売却すれば、その上昇分が利益になります。これが、「売却益」です。NISA口座で購入した株式・ETF(上場投信)・REIT(不動産投信)の売却益はそのまま全額が無税で貰えます。

配当利回りに注目して株式投資

個別銘柄の選択、売買タイミングによって投資成果が大きく異なるのが、キャピタルゲインです。それにくらべて、配当金額の変更の可能性はありますが、ある程度安定して貰える可能性が高いのが、インカムゲイン(配当金)です。

NISA口座で株式を購入する場合、まずはインカムゲイン(配当金)の大きい銘柄を選んで、配当金の非課税のメリットを享受するのも一手です。

実際に、SBI証券で2014年3月の株式買い付け金額・上位5銘柄が図表3です。上位5銘柄すべてが、配当利回り2%以上と、高配当銘柄になっています。

図表3 2014年3月の株式買い付け金額・上位5銘柄

今回のまとめ

  • 株式投資の目的は「儲けること」

  • 株式投資の利益には、インカムゲイン、キャピタルゲインの2つの手法があります

  • インカムゲイン(配当金)でNISA口座で非課税にするには、配当金の受領方式で「株式数比例配分方式」を選ぶ必要があります

  • 実際のNISA口座でも、高配当利回り銘柄が人気

次回は、「NISAで「株式投資」その(3)」です。

執筆者プロフィール : 藤本 誠之

SBI証券投資調査部 シニアマーケットアナリスト。日本証券アナリスト協会検定会員。自称、「相場の福の神」。関西大学工学部電子工学科卒。日興證券(現SMBC日興証券)入社、個人営業を経て、機関投資家向けのバスケットトレーディング業務に従事。1999年、日興ビーンズ証券設立時より、設立メンバーとして転籍(その後、日興ビーンズ証券はマネックス証券と合併)。2008年7月、マネックス証券から、カブドットコム証券に移籍。2010年12月、トレイダーズ証券に移籍。2011年3月、同社を退職。のちに独立、マーケットアナリストとして活躍。2012年からマネーパートナーズのスタッフとして活動。2013年7月1日より現職。著書に 『ニュースを"半歩"先読みして、儲かる株を見つける方法 』(アスペクト)、『株で儲けるニュースの読み方 相場のプロが教える「先読み&裏読み」の極意』(ソフトバンククリエイティブ)、 『儲けに直結!株価チャートドリル』(成美堂出版)がある。
※ 本コラムで紹介する意見や予測は、筆者個人のものであり、所属する証券会社の意見や予測を表わすものではありません。また、紹介する個別銘柄の売買を勧誘・推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。