まずは下の写真を見てほしい。器と同じくらい白いチャーハン。名づけて「ホタテと卵白の白チャーハン」である。連載3回目で黒チャーハンを紹介したが、今回は対極の白チャーハンである。具材は卵白とホタテ。彩りにアスパラガスを使用している。今回もレシピ考案と調理指導は東京・青山の中華料理店「Essence」のオーナーシェフ・薮崎友宏さんだ。
この白チャーハン、香港などで親しまれている高級チャーハンだが、実は結構難易度が高い。卵白を焦がさずきれいに白く仕上げるのが難しいのだ。しかし、ここで一般家庭にあるテフロン加工のフライパンが大活躍。焦がさずに簡単に白チャーハンをつくることができるのだ。
元々は干し貝柱やエビなど海鮮系の具材を使用する。今回は手軽なホタテ貝柱の缶詰を使い、うま味のある味わいをつくり出している。また、「薬膳の考え方では、白色の食材は美白にきくとされています」(薮崎さん)とのことで、白色の卵白とホタテを組み合わせたこのチャーハンで、美肌も手に入れられるかも!?
「ホタテと卵白の白チャーハン」
材料(1人前)
ごはん 180g / サラダ油 大さじ1 / 卵白 3個分 / アスパラガス 2本 / ホタテ貝柱の缶詰 1缶(70g入り) / 塩 小さじ1/3 / 胡椒 少々 / 万能ネギ 適量
つくり方
1.ごはんは電子レンジで温め、ボウルに入れておく。2.フライパンを火にかけ、サラダ油を。溶いた卵白を、フライパンの温度が上がりきらないうちに流し入れる。弱火で焦がさないように注意しながら、軽くかき混ぜつつ全体をふんわりとまとめるように炒める。やや生っぽいくらいで仕上げ、1のボウルに入れる。
3.アスパラガスは、はかま(節にある三角の形をしたガク)を包丁で削り、根本の固い部分の皮をむく。1cm幅で切り揃え、さらに縦に半分に切る。2のフライパンを再び火にかけ、油(分量外)を少々足して、アスパラガスを中火で炒める。
4.3の工程と同時進行で、2のボウルのごはんと卵白を混ぜ合わせる。しゃもじで切るようにしてしっかり混ぜ合わせよう。
5.アスパラガスに火が通ったら、フライパンへ4を入れ、中火で炒める。ごはんを切るようにして丁寧に混ぜ、しっかりと火を通す。
6.ホタテ貝柱は軽く絞って汁気を切り、フライパンへ。全体を混ぜ合わせて貝柱がほぐれてきたら、塩・胡椒で味付けする。皿に盛り付け、万能ネギを散らす。
卵白は焦げやすいので、強火は厳禁。缶詰のホタテ貝柱は味がしっかりとついていることが多いので、後から加える塩はやや控えめにしておこう。全体をパラリと仕上げるためには、ホタテ貝柱の水気は切っておきたいところ。しかし絞りすぎると旨みも逃してしまうので、軽く絞る程度にしておくとよい。一方、ホタテ貝柱のクセを消し、味全体をしめるためにも、胡椒は気持ち強めにきかせておこう。加える具はあっさりしたクセのないものが向くので、白チャーハンに映えるアスパラガスのほか、食感がアクセントになるレタスもオススメだ。
残った卵黄の活用方法は、今後この連載でも紹介するのでお楽しみに。
教えていただいた料理人
「Essence」オーナーシェフ・薮崎友宏さん
横浜中華街の老舗「菜香新館」にて修業を開始。26歳で立川店の料理長に抜擢される。その後、広東省で家庭料理を学び、北京の大学で薬膳の研修を受ける。中国政府認定の国際薬膳調理師の資格も有する。2007年3月に東京・青山「Essence」料理長、2008年に同店オーナーシェフに。同店では薬膳も取り入れ、広東料理をベースにした料理を提供。チャーハンは4種類を用意し、近隣へのデリバリーも行っている。 「Essence」
住所: 東京都港区南青山3-8-2 サンブリッジ青山1F
TEL: 03-6805-3905
この連載では、家庭で再現しやすいよう、卓上コンロと一般家庭にあるテフロンフライパンを使って調理していただいています。
撮影: 中村浩二