皆さんは翡翠チャーハンをご存知だろうか。細かく刻んだほうれん草とごはんを一緒に炒めてつくったチャーハンのことで、"翡翠色"をしていることからこの名がついた。今回は意外に難易度の高い翡翠チャーハンを簡単に、そして洋風にアレンジした「鮭フレークとほうれん草の洋風チャーハン」を紹介しよう。レシピ考案と調理指導はこの連載ではもうお馴染み、東京・青山の中華料理店「Essence」のオーナーシェフ・薮崎友宏さんだ。

ところで翡翠チャーハンは、どういった点が難しいのだろうか。「家庭でほうれん草を細かく刻むと、どうしても水分が出てきてしまい、これをチャーハンに使うとベチャッとしたチャーハンになってしまいます。よく切れる包丁を使うことで水分の流出が防げるのですが、家庭ではやはり難しいと思います」。

鮭フレークも具材に使う

今回は水分の少ない市販の冷凍茹でほうれん草を使い、通常の翡翠チャーハンより大きめに刻んで水分が出ないように工夫している。茹でた冷凍ほうれん草は保存も可能なので、扱いやすいといった利点もある。

その他の具材として、色みのきれいな鮭フレークを使用。炒める際にはオリーブ油を使い、さらにバジルも加えて洋風にアレンジしている。これならちょっとしたパーティにも活用できそうだ。

「鮭フレークとほうれん草の洋風チャーハン」

材料(1人前)
ごはん 180g / 卵 1個 / 市販の冷凍ほうれん草(茹でた後冷凍したものがベスト) 100g / オリーブ油 適量 / 鮭フレーク 30g / 塩 小さじ1/4 / 胡椒 適量 / バジル 5枚

つくり方

1.ごはんは電子レンジで温め、ボウルに入れておく。
2.フライパンを火にかけ、オリーブ油を。溶き卵をフライパンに流し入れ、軽くかき混ぜつつ全体をまとめるように中火で炒める。全体に火が通ったところで1のボウルに入れる。
3.ほうれん草は、冷凍状態のものを水で戻し、絞って水気を切っておく。2のフライパンにオリーブ油少々(分量外)を足し、ほうれん草、鮭フレークの順に加えて中火で炒める。
4.3と同時進行で、2のボウルのごはんと玉子を混ぜる。しゃもじで切るようにして、しっかりと混ぜ合わせる。
5.ほうれん草と鮭フレークは炒めてしっかり水分を飛ばし、香りが出てきたところで、4を入れる。全体が混ざるように、かつ、ごはん一粒一粒をほぐすような感覚で炒めていく。火加減は中火がベスト。
6.味を確かめつつ、塩、胡椒で調味する。バジルを手で大きめにちぎり、フライパンに入れる。軽く混ぜ、皿に盛り付ける。

仕上げに加えたバジルが香り立ち、イタリア料理のよう。ほうれん草をフライパンで炒める際に、しっかりと水分を飛ばしておくことで、パラリとしたチャーハンに仕上がりやすくなる。鮭フレークにはしっかりと味がついていることが多いので、軽く味を整える程度に塩・胡椒を加えるだけで、味が決まる。バジルは、手で大きめにちぎると香りがよく出る。加熱しすぎると香りが飛んでしまうので、さっと混ぜる程度に。

今回は玉子後混ぜ法で紹介しているが、先混ぜ法でも可能なので得意な方法を選ぼう。

教えていただいた料理人

「Essence」オーナーシェフ・薮崎友宏さん

横浜中華街の老舗「菜香新館」にて修業を開始。26歳で立川店の料理長に抜擢される。その後、広東省で家庭料理を学び、北京の大学で薬膳の研修を受ける。中国政府認定の国際薬膳調理師の資格も有する。2007年3月に東京・青山「Essence」料理長、2008年に同店オーナーシェフに。同店では薬膳も取り入れ、広東料理をベースにした料理を提供。チャーハンは4種類を用意し、近隣へのデリバリーも行っている。 「Essence」
住所: 東京都港区南青山3-8-2 サンブリッジ青山1F
TEL: 03-6805-3905
この連載では、家庭で再現しやすいよう、卓上コンロと一般家庭にあるテフロンフライパンを使って調理していただいています。


撮影: 中村浩二