巷で話題の"食べるラー油"。桃屋やエスビー食品から発売され品薄常態となるほどの人気を集めており、今では様々な食品メーカーや飲食企業からも発売されている。……ラー油は中国料理の調味料。ということで、「この方にお願いしない手はない! 」といつもはチャーハンのレシピ考案をしていただいている東京・青山の中国料理店「Essence」のオーナーシェフ・薮崎友宏さんにオリジナルの"食べるラー油"を考えていただいた。
今回のラー油は旨味が詰まった具がたっぷり |
ラー油は、食材を油とともにゆっくりと炒めていく手法と、食材に一気に熱した油をかけるという2つの手法がある。今回は、さっと手軽にできる後者のレシピを紹介。また、ラー油というと特殊な食材が必要かと思うだろうが、今回はコンビニエンスストアやスーパーで購入できるものばかり。ビーフジャーキーやサキイカといった「えっ!? 」と思うような素材が濃厚な旨味を生みだしてくれる。山椒も使用するが、入手しやすいよう佃煮タイプのものを使っていただいた。唐辛子はできれば辛さがマイルドで、きれいな色に仕上がる韓国産唐辛子を使いたい。日本産を使う場合、韓国産よりも辛いのでレシピからタカノツメを引いてつくること。
「サキイカ&ビーフジャーキーで旨味たっぷりの食べるラー油」
材料
サラダ油 300cc / フライドガーリック 10g / フライドオニオン 10g / サキイカ 10g / ビーフジャーキー 10g / おつまみ昆布 5g / 韓国産粉唐辛子 50g / 山椒の佃煮 10g / 塩 小さじ1 / タカノツメ 3本
つくり方
1.フライパンにサラダ油を入れ、温めておく。2.フライドガーリックとフライドオニオン、サキイカ、ビーフジャーキー、おつまみ昆布は粉末状にする。
3.粉唐辛子をボウルに入れ、2と山椒の佃煮、塩、タカノツメを加える。
4.全体がしっとりする程度に、霧吹きで水気を加える。水分を加えないと、熱した油を入れた途端に焦げてしまうで注意。
5.熱しておいた油を、170℃程度に調整し、何度かに分けて4にかけ、その都度かき混ぜる。170℃は、菜箸を入れたらちょっと泡が立つ程度が目安。
6.ボウルにアルミホイルで蓋をし、ひと晩置いたら完成。
サキイカやビーフジャーキーといった不思議な組み合わせだが、発想の原点は同じ中華の調味料・XO醤にあったのだとか。使用する素材は今回大半を粉末状にしているが、そうすることで素早く旨味を引き出すことができる。ポイントは、加える油の温度。低すぎると香りが出ないし、高すぎると苦みが出てしまう。完成後は、ひと晩寝かせたほうが香りや味がこなれておいしくなる。保存は常温で、香りが飛ばないように蓋をしておくこと。香りが徐々に落ちてくるので、1週間程度で使い切るのがオススメ。次回は、このラー油を活用したチャーハンを紹介するのでお楽しみに。
教えていただいた料理人
「Essence」オーナーシェフ兼ソムリエ
薮崎友宏さん
横浜中華街の老舗「菜香新館」にて修業を開始。26歳で立川店の料理長に抜擢される。その後、広東省で家庭料理を学び、北京の大学で薬膳の研修を受ける。中国政府認定の国際薬膳調理師の資格も有する。2007年3月に東京・青山「Essence」料理長、2008年に同店オーナーシェフに。同店では薬膳も取り入れ、広東料理をベースにした料理を提供。チャーハンは4種類を用意し、近隣へのデリバリーも行っている。
「Essence」
住所: 東京都港区南青山3-8-2 サンブリッジ青山1F
TEL: 03-6805-3905
この連載では、家庭で再現しやすいよう、卓上コンロと一般家庭にあるテフロンフライパンを使って調理していただいています。
撮影: 中村浩二