"食べる"は楽しい。料理も大好き。そんな私が釣りライターから釣りレポートをすると聞き、「ではその魚を料理しましょう」といい、この連載が始まった。釣ったばかりの新鮮な魚を料理するなんて、料理人冥利に尽きる(本当は編集者だけど)。記念すべき第1回目は、シロギスを料理!!

日本各地で釣ることができるシロギス。淡白な味わいの白身で、どんな料理にも合う

今回、釣りライターと編集部のかわいい後輩Aが訪れたのは神奈川・葉山の森戸海岸。後輩Aから「土方さん、シロギスがたくさん釣れました!!」との連絡を受け、すぐさまレシピを考える。シロギス、白身、新鮮。うーん、どう考えても王道ではあるが天ぷらは欠かせない。新鮮な食材には手を加えすぎないのがよい。シンプルな料理で素材の味を楽しみたいからだ。しかし、天ぷらだけというのも芸がない。そこで、天ぷら2品に洋風メニュー1品も加えた合計3品を今回は紹介しよう。

シロギスの天ぷら

材料
シロギス / 天ぷら粉 / 水 / 揚げ油

つくり方

1.釣れたシロギスは小ぶりだったので、三枚におろさず、松葉おろしにする。まずウロコを取り除き、頭を切り落とす。
2.中骨に沿って尾の手前まで包丁を入れたらシロギスをひっくり返し、反対側も同様に尾の手前まで包丁を入れる。
3.写真のような状態になったら、中骨を尾の手前で切り落とす。そうすると松の葉に似た形になり、これを松葉おろしという。
4.天ぷら粉に水を加えて軽く混ぜ、3のシロギスに薄く衣を付ける。160℃~170℃に熱した油で揚げたら完成。

シロギスの貝柱包み

材料
シロギス / 大葉 / 貝柱 / 天ぷら粉 / 水 / 揚げ油

つくり方

1.松葉おろしにしたシロギスの上に大葉と貝柱をのせる(大葉と貝柱はシロギスの大きさに合わせて切っておく)。
2.頭を切り落とした側からクルクルと尾のほうに向かって巻いていき、爪楊枝で止める。天ぷら粉に水を加えて軽く混ぜ、シロギスに衣を薄く付ける。
3.2のシロギスを160℃~170℃の油でゆっくりと揚げる。

シロギスのハーブパン粉焼き

材料
シロギス / クレイジーソルト / パン粉 / バター / ニンニク / 乾燥バジル / オリーブオイル / プチトマト / ベビーリーフ

つくり方

1.松葉おろしにしたシロギスにクレイジーソルトを振りかけ、下味を付けておく。ボウルにパン粉や小さくちぎったバター、みじん切りにしたニンニク、乾燥バジルを加えて混ぜ合わせる。
2.1のハーブパン粉をシロギスに付ける。
3.フライパンにオリーブオイルを入れ、2のシロギスを両面焼く。パン粉がキツネ色になったら完成。彩りにプチトマトやベビーリーフを。

釣ったばかりのシロギスはふんわりとやわらか。クセのない魚なので本当にどんな料理にも向く。個人的には天ぷらには天つゆではなく、塩や抹茶塩であっさりと楽しみたい。シロギスの貝柱包みは、大葉の香りがふんわりと漂い、なんとも上品。シロギスが淡白な味わいなので、貝柱の旨味も引き立つ。シロギスのハーブパン粉焼きは、焼いたパン粉のカリッとした食感とシロギスのふんわりとした食感のコントラストがなんとも楽しい一品。バジルの風味も食欲を刺激する。

和食から洋食まで。シロギスは非常に料理のしやすい魚だった。ちょっと感じたことを書かせていただくとすると、普段、私たちは肉も魚も切り身をスーパーで購入することが多いだろう。これは私個人の感覚なのだが、そして非常におかしなことなのだが、切り身を料理していると生き物の"命"をいただいているという感覚が薄まってくる。しかし今回のように魚のウロコをとって、頭を切り落として……と調理していくと、「せっかくいただく"命"。しっかりと調理せねば」と強く感じてくる。今後も、趣向を凝らした釣魚料理を続々と紹介していくので乞うご期待!!