最適なクレジットカードは、使う人の目的や生活スタイルによって異なる。今回は「ポイント・還元率」という観点で、自分と相性のいいカードを探す方法を紹介する。
還元率重視のカード選びで大切な3要素
自分に合ったカードを探すためには、まず自分がどのようにカードを使い、それによって貯まるポイントをどう使うのか、事前に想定することから始めよう。具体的には、次の3項目をざっくりでもいいので書き出してほしい。
・年間利用額
・カードの利用先
・ポイントの使い道
これがわかれば、持つべきカード、持つべき枚数は自ずと見えてくる。では、その理由を解説しよう。
年間利用額で還元率が変動
高還元とされているカードのなかには、年間利用額に応じてポイント付与率がアップしたり、ボーナスポイントが発生したりするものも多い。こうしたカードは、事前に年間利用額を想定しないと、正確な還元率を計算できなくなってしまう。
特に年間100万円以上利用する場合は、還元率が大幅にアップするカードも多く、年会費のかかるゴールドカードでも、結果的に年会費無料カードより得するケースもある。逆に年間利用額が100万円未満の場合、大きなボーナスが発生するカードは少ない。ゴールドカードという選択肢は、基本的に考えなくていいだろう。
利用頻度が高い店で優待を受ける
年間利用額を計算する際は、だいたいどこでいくら使うのか、カードの利用先の内訳も書き出そう。特に以下の分野の大手企業は、利用するカードによって優待を受けられる場合が多い。
・コンビニ
・スーパー
・家電量販店
・百貨店/ショッピングモール
・ネットショッピング
・鉄道
・自動車/給油/高速道路
・航空会社
・ホテル
・携帯電話
・電子マネーチャージ
このほかにも、海外での利用や誕生月など特定期間の利用に対して、ポイントが倍増するカードもある。おそらく年間利用額だけでは、大差ない還元率の候補が多すぎて絞り込めないだろうが、内訳を出して利用額の大きい店で優待が受けられるカードを探していけば、かなり候補は絞られてくるはずだ。
なお、上記分野の大手企業は、自社でカードを発行している場合も少なくない。そうしたカードは通常利用時は還元率が低くても、自社で利用する際は高還元になることが多いので、利用額と優待内容次第では、その店でのみ使うためにカードを作ることも検討しよう。
ポイントの使い道を考える
候補を絞れたら、それぞれのカード利用で貯まるポイントが、どこで使えるか、何ポイントから使えるか、有効期限はいつまでかを確認しよう。カードをどのくらい利用するかにもよるが、貯まるポイント数が多いなら有効期限内に使い切れるか、少ないなら最低利用数に達しないうちに有効期限が切れてしまう可能性はないか、注意が必要だ。
また、できればポイントの利用先は幅があったほうがいい。確実に使える目処が立っているなら、利用先が限られていても問題ないが、転勤や転職、引っ越しなどで生活圏が変わった場合でも対応できるか、あらかじめ考えておいたほうが安全だ。
こうした要素を比較して、最終的にメインとする1枚を絞り込み、内訳で利用額が大きいものに関しては、それ専用のカードを作ることも検討する。ポイント・還元率を重視するなら、この流れで自然と持つべきカードは決まってくるだろう。
ただし、高還元カードはカード会社が利益を出しにくいことから、ポイント制度が改悪されたり、カード自体が廃止されたりすることも、過去には何度もあった。その一方で、新しいカードも誕生し続けている。また、利用者自身のライフスタイルも変化するだろうし、頻繁に利用している最寄りの店が移転や閉店をすることも考えられる。手持ちのカードが常に正解とは思わず、年に1回くらいはラインアップを見直して、高い還元率を保てるようにしよう。
■ 筆者プロフィール: タナカヒロシ(ライター・編集者)
普段は音楽やエンタメ関係の仕事が多いが、過去に勤めていた会社の都合でクレジットカード本を作ったことをきっかけに、クレジットカード、電子マネー、ポイントなどに詳しくなる。以降、定期的にクレジットカードのムック本を編集・執筆。3月8日発売の『最強クレジットカードガイド2017 本当にトクするカードの選び方・使い方=写真=』(角川SSCムック)では、編集統括および記事の大部分を執筆している。