中国に抜かされたとはいえ世界第3位のGDPを誇る日本。高品質な電化製品、きめ細かなサービスで評価の高いホテル業界など、様々な産業、商品、サービスで世界的にも信頼を勝ち取っているといえます。
また、日本人の勤勉さが指摘されることも多いですが、そんな日本人の金融リテラシーは他国と比べてどのような状況でしょうか。
金融リテラシーとは
金融リテラシーとはお金の知識や判断力のことをいいます。金融中央広報委員会が2016年に国民25,000人を対象とした大規模調査「金融リテラシー調査」を行ったこともあり、私達日本人の金融リテラシーの状況が見えてきました。
その調査の際にも使われた問題を以下1つ取り上げます。皆さんも考えてみてください。
クイズ・みなさんの金融リテラシーは?
10万円を投資すると、半々の確率で 2万円の値上がり益か、1万円の値下がり損のいずれか発生するとします。あなたなら、どうしますか?
資産運用など苦手で保守的な人にとってみると「半分の確率で1万円損をする」ということに向き合いたくないという気持ちもよく分かります。ただし、もう半分の確率で利益が生じ、さらにその利益の額は損失の額の2倍、2万円です。
「期待収益率」つまり、資産運用でよく使われる「リターン」という考え方では以下の計算式になります。
(+2万円×50%)+(-1万円×50%)=+5,000円
プラス5,000円というリターンが期待できるわけです。金融リテラシーは知識だけではなく、判断力も問われます。よって、冷静に「投資をする」と判断できる人が金融リテラシーの高い人となるわけです。「金融リテラシー調査」では以下の結果となりました。
投資する 21.4%
投資しない 78.6%
約8割の人が投資をしないと回答しているほか、その他の調査項目でも概ね諸外国よりも金融リテラシーが低いことが同調査内で指摘されています。
皆さんは「投資する」、「投資しない」どちらを選びましたか? 例えば、硬貨の表裏で考えてもらっても分かると思うのですが、何度も表か裏か当てるゲームをすると、数を重ねるほど表と裏の出る確率は半々になると思います。
よって、上のクイズ、意思決定を日々行わなければならない場合は、やはり確率や、そこから得られるリターンを考慮すると、損失を恐れず「投資する」を選んでほしいところです。
金融リテラシーが高いと幸せ?
別の調査においても同様で、米国の格付け会社S&P社が、2015年に世界各国を対象に実施したグローバル・ファイナンシャル・リテラシー調査によると、日本の金融リテラシーは調査対象国の144国中38位、先進国の中ではイタリアに次いで下位に位置付けられる結果となりました。
なお、1位はノルウェー、2位がデンマーク、3位がスウェーデンと北欧諸国がランクイン。北欧諸国の金融リテラシーが高いことが分かりましたが、これら上位国は世界幸福度ランキングでも上位を占めているのです。
金融リテラシー上位3国と日本を上の表にまとめました。因果関係までは分かりませんが、「金融リテラシーが高い国ほど幸福度が高い」ようです。
「北欧」という地域性が影響している可能性があるため、北欧以外で幸福度の高い国カナダ(幸福度7位)の金融リテラシー順位を調べると、全体で5位とやはりどちらも高い水準であることが分かりました。
私たち日本人もたくさんのモノに囲まれ、便利なサービスもたくさんあり、幸福を感じる機会も少なくありませんが、なんとなく「将来が不安」、「これから先が心配」と悲観的な人も多い気がします。
「お金のことを勉強するなんて面倒くさい」と思っている人も多いかもしれませんが、金融リテラシーを高めると、悲観的な見方が和らぎ、一層幸せな気持ちを味わえるかもしれません。ぜひ一緒に、これから金融リテラシーを高めるために向き合ってみませんか。
なお、金融中央広報委員会は1つの目安として「金融リテラシーマップ」を作成しています。年齢層別に身に付けておきたい金融リテラシーがまとめられています。
「若年会社員」や「一般会社員」という欄を一読し、まずはどの程度の金融リテラシーが必要なのか? 目安を設定するところから始めてみてください。