ビジネスパーソンならば、一度は確定申告という言葉を聞いた経験があることでしょう。確定申告とは、所得を税務署に申告する手続きを指します。国は税金で成り立っており、企業でも個人でも何かしら収入があれば税金を支払わなければなりません。
企業は決算月の翌々月に決算報告書を提出して納税しますが、個人の場合は確定申告により納税します。サラリーマンは特別なケースを除き、会社を通じて納税するため確定申告をする必要がありません。それでも、サラリーマンでも確定申告が必要な場合や、確定申告を行った方が節税になるケースがあることをご存じでしょうか?
そこで本特集では、確定申告について詳しくご紹介していきます。今回は、確定申告が必要なサラリーマンに焦点を当ててみましょう。
確定申告は、通常のサラリーマンにとって、あまりなじみのないことかもしれません。特に「マイホームの購入もこれから」という若い方にとっては、なおさらでしょう。しかし、政府は経済を活性化させるべく、熟年層の資産を若い方が活用するための贈与税の特例をいろいろ設けるなどしています。
そうした場合の多くは、確定申告が必要となってきますし、投資などによる配当なども確定申告によって節税できるケースがあります。逆に必要とされる申告を怠れば、より多く課税されることも念頭に置いておかなければなりません。
企業勤めでも確定申告が必要な条件
下記の要件に該当すると、サラリーマンでも確定申告が必要となります。
(1)給与の収入金額が2,000万円を超えている
(2)給与を1カ所から受けていて、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)の合計額が20万円を超えている
(3)給与を2カ所以上から受けていて、年末調整をされなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)との合計額が20万円を超えている
(4)同族会社の役員やその親族などで、その同族会社からの給与のほかに、貸付金の利子、店舗・工場などの賃貸料、機械・器具の使用料などの支払いを受けたとき
(5)給与について、災害減免法により所得税などの源泉徴収税額の徴収猶予や還付を受けたとき
(6)在日の外国公館に勤務する方や家事使用人の方などで、給与の支払いを受ける際に所得税などを源泉徴収されないこととなっている
近年取り組んでいる人も多い副業をしている場合、(2)に注意しないといけませんし、いわゆるダブルワークをしている人は(3)に該当する可能性があります。
年金受給者
公的年金などの雑所得の金額から、所得控除を差し引いて残額がある方も確定申告の対象者となります。ただし、公的年金などの収入金額が400万円以下であり、かつ、その公的年金などの全部が源泉徴収の対象となる場合は不要です。
退職所得がある方
通常、退職金などの支払者に「退職所得の受給に関する申告書」を提出した場合、退職所得に係る所得税などは源泉徴収により課税がすむため、退職所得の申告は不要になります。ただし、外国企業から受け取った退職金など、源泉徴収されないものがあるときは確定申告が必要です。