旅に行くなら、1台はフィルムカメラを持っていこう。もちろん、デジタルカメラは便利なんだけど、旅だとどうしてもメモ代わりに使う人が多そうだ。
旅の印象を残すなら、枚数の制限があるフィルムカメラこそがおすすめ。じっくりファインダーを覗くので、心のなかに、思い出が写し込まれる。
北海道の空気感を淡い感じで表現したい。「稚内港北防波堤ドーム」のゴシック風建築を、あえて低彩度のフィルム「PRO400H」を使うことで、北の雰囲気を表現 (カメラ:フレクサレット IIa フィルム:FUJICOLOR PRO 400H シャッタースピード:1/100 絞り:F8) |
折りたたみカメラもちょっと自慢
気分によって持っていくカメラを使い分けるのもおすすめ。二眼レフカメラ、折りたたみカメラ、35mmカメラなどなど、なにを持っていったかも、旅の思い出になる。今回は、6×4.5サイズが撮影できるスーパーセミイコンタ(Super Ikonta 530 ドイツ製、1934年発売)を持っていった。ボタンを押すと、ふたが開き、ジャバラを引き出してセット。招き猫の手のようなものを起こしてあげてピントを合わす。ドレー・カイルプリズム方式といわれるもので、スーパーイコンタシリーズの特徴だ。
スーパーセミイコンタは、小さなバッグにも入るし、男の子だったらジーンズのポケットにもすっぽり入る。ちょこっと旅の思い出を撮るには、最高かもしれない。
能登半島の北50kmにある舳倉島(へぐらじま)を訪れた。海女さんの三輪車が何気なしに置かれていたのが、印象的だったので、ジャバラを起こして撮影。海を見ると、海女さんたちが潜ってサザエをとっていた (カメラ:スーパーセミイコンタ フィルム:ベルビア50 シャッタースピード:1/100秒 絞り:F8) |
時には35mmカメラはいかが?
旅に持っていくには、35mm一眼レフもいいかもしれない。せっかく撮るのならば、デジタル一眼よりも楽しくなくっちゃいけない。ブローニーフィルムを使う中版カメラでばっかり撮っていたら、35mm一眼レフが使いやすいことに気がついた。なんていっても軽いし、レンズもいろいろ交換できる。
おすすめはオリンパスのOMシリーズ。わたしは、むかしっからのOM-1ユーザー。ちょっと露出がむずかしいけど、軽いし、デザインもかわいいし、ボディと交換レンズ2、3本をお気に入りのカメラバッグに入れて旅に出るのは、ほんとに楽しい。
やっぱりおすすめは二眼レフ
でも、存在感があるのは二眼レフカメラ。周りがデジタル一眼レフを構えてても、なんのその。「ローライですか?」なんて勝手に勘違いされても、にこにこして笑ってられる。でも、二眼レフカメラを構えていると、コンパクトデジカメを手に、「これで撮ってください」っていうカップルが多いのにはびっくり!
「あ、こっちだと光の当たり方がよくないから、ちょっとそっちに立っててね」なんてプロっぽく撮影してあげると、カップルもにっこり。旅の思い出になったかな?
フィルムによって写り方に差が出る。こちらはビビッドの色合いが特徴のポジフィルム、ベルビア50。空と海が真っ青だったので、青にかぶったかも(三重県神島にて) |
こちらは、ネガのFUJICOLOR PRO 400H |
『フィルムカメラの撮り方 きほんBOOK』
フィルムで撮る楽しみをクローズアップした本。特に、著者のふんわりやさしく撮るテクニックは真似したいものばかり。「コダック プロフェッショナル ポートラ NC」の作例が満載なので、フィルムカメラ女子必携の本ともいえる。フィルム写真にこだわりをもつ男性にもぜひ読んでほしい。
山本まりこ著、毎日コミュニケーションズ・デジカル編集