旅に行くなら、1台はフィルムカメラを持っていこう。もちろん、デジタルカメラは便利なんだけど、旅だとどうしてもメモ代わりに使う人が多そうだ。

旅といえば上野駅。出発時刻前に着いて、旅情を写すのも「さあこれから旅に出かける」っていう気分になる。DELTA 3200は、ISO感度3200という超高感度なフィルム。粒状性にも優れているので、夜の駅構内でも手持ちで撮影可能。今年の5月あたりは上野のヨドバシカメラにもあったので、ここで購入して旅に出ることができたけど、今は置いていない。悲しい (カメラ:フレクサレット VI フィルム:ILFORD DELTA 3200 PROFESSIONAL シャッタースピード:1/100秒 絞り:F5.6)

旅の印象を残すなら、枚数の制限があるフィルムカメラこそがおすすめ。じっくりファインダーを覗くので、心のなかに、思い出が写し込まれる。

北海道の空気感を淡い感じで表現したい。「稚内港北防波堤ドーム」のゴシック風建築を、あえて低彩度のフィルム「PRO400H」を使うことで、北の雰囲気を表現 (カメラ:フレクサレット IIa フィルム:FUJICOLOR PRO 400H シャッタースピード:1/100 絞り:F8)

折りたたみカメラもちょっと自慢

気分によって持っていくカメラを使い分けるのもおすすめ。二眼レフカメラ、折りたたみカメラ、35mmカメラなどなど、なにを持っていったかも、旅の思い出になる。今回は、6×4.5サイズが撮影できるスーパーセミイコンタ(Super Ikonta 530 ドイツ製、1934年発売)を持っていった。ボタンを押すと、ふたが開き、ジャバラを引き出してセット。招き猫の手のようなものを起こしてあげてピントを合わす。ドレー・カイルプリズム方式といわれるもので、スーパーイコンタシリーズの特徴だ。

スーパーセミイコンタ。ジャバラを引き出してカメラをセットする

スーパーセミイコンタは、小さなバッグにも入るし、男の子だったらジーンズのポケットにもすっぽり入る。ちょこっと旅の思い出を撮るには、最高かもしれない。

能登半島の北50kmにある舳倉島(へぐらじま)を訪れた。海女さんの三輪車が何気なしに置かれていたのが、印象的だったので、ジャバラを起こして撮影。海を見ると、海女さんたちが潜ってサザエをとっていた (カメラ:スーパーセミイコンタ フィルム:ベルビア50 シャッタースピード:1/100秒 絞り:F8)

時には35mmカメラはいかが?

旅に持っていくには、35mm一眼レフもいいかもしれない。せっかく撮るのならば、デジタル一眼よりも楽しくなくっちゃいけない。ブローニーフィルムを使う中版カメラでばっかり撮っていたら、35mm一眼レフが使いやすいことに気がついた。なんていっても軽いし、レンズもいろいろ交換できる。

オークションで落としたトキナーの17mmレンズをつけたオリンパス「OM-1」。純正レンズのほうがかわいいけど…

おすすめはオリンパスのOMシリーズ。わたしは、むかしっからのOM-1ユーザー。ちょっと露出がむずかしいけど、軽いし、デザインもかわいいし、ボディと交換レンズ2、3本をお気に入りのカメラバッグに入れて旅に出るのは、ほんとに楽しい。

その17mmレンズをつけて舳倉島(へぐらじま)の埠頭で撮影。民宿のおばちゃんたちが引くリヤカーが整然と並んでいる

やっぱりおすすめは二眼レフ

でも、存在感があるのは二眼レフカメラ。周りがデジタル一眼レフを構えてても、なんのその。「ローライですか?」なんて勝手に勘違いされても、にこにこして笑ってられる。でも、二眼レフカメラを構えていると、コンパクトデジカメを手に、「これで撮ってください」っていうカップルが多いのにはびっくり!

赤と黄色の花がきれいだった(愛知県佐久島にて)

クローズアップレンズで彼岸花を写してみた

「あ、こっちだと光の当たり方がよくないから、ちょっとそっちに立っててね」なんてプロっぽく撮影してあげると、カップルもにっこり。旅の思い出になったかな?

フィルムによって写り方に差が出る。こちらはビビッドの色合いが特徴のポジフィルム、ベルビア50。空と海が真っ青だったので、青にかぶったかも(三重県神島にて)

こちらは、ネガのFUJICOLOR PRO 400H

旅の印象の一つは色。赤いホース入れをポイントで入れた。まわりの黒壁を引き立てている(愛知県佐久島にて)

ポジも大胆に使ってみよう。快晴だと、ISO100のフィルムで絞り値が11、シャッタースピードが1/100秒が基準。使用フィルムはベルビア50だったので、絞り値を8にシャッタースピードを1/100秒で写した。露出計なんてかっこわるいからなるべく使わないで。素手で勝負って感じだ。写真は、愛知県伊良湖岬から見た、三重県神島

『フィルムカメラの撮り方 きほんBOOK』

フィルムで撮る楽しみをクローズアップした本。特に、著者のふんわりやさしく撮るテクニックは真似したいものばかり。「コダック プロフェッショナル ポートラ NC」の作例が満載なので、フィルムカメラ女子必携の本ともいえる。フィルム写真にこだわりをもつ男性にもぜひ読んでほしい。
山本まりこ著、毎日コミュニケーションズ・デジカル編集