フィギュアスケーターは、自身のパフォーマンスを最大限に発揮するため、体づくりに非常にこだわる。その磨き上げられた美しい肉体に憧れる人も少なくないだろう。だが、毎日のちょっとしたトレーニングを積み重ねれば、「美ボディー」は手に入れられるのだ。

本連載では、かつて自身もフィギュアスケーターとして活躍し、フィットネスクラブでのインストラクター経験もある澤田亜紀さんが、主にヨガを通じてフィギュアスケーターの「美ボディー」に近づくためのメソッドを紹介していく。初回は美脚を手に入れるためのポーズだ。

鈴木明子さんも現役時に実践したヨガ

今年の夏は暑い日が続き、必要時以外は家などの涼しい場所で過ごした方も多いのではないでしょうか。外に出る機会が減ると運動不足になり、身体がだるいなと感じることも多かったかもしれません。そこで今回から、家で簡単にできる運動として、フィギュアスケートの鈴木明子さんも現役時代にトレーニングの一環として取り入れていたヨガをご紹介したいと思います。

古代インドで発祥したヨガは、伝統的な宗教的行法として生まれたものですが、現在では宗教色を排した身体的なエクササイズとして行われているところが多いです。

ヨガではポーズのことを「アーサナ」と呼びます。アーサナを行うことで、リラックスをしたり、筋肉を強くしたりするなど、さまざまな効果が期待できます。また、マット1枚分のスペースがあればどこでもできるという点もメリットです。

ヨガにはたくさんの流派がありますが、今回はアシュタランガヨガのアーサナの中から、美脚効果があるアーサナをご紹介したいと思います。鈴木さんのように美しく健康的な脚を目指して頑張ってみてください。

ウッティタトリコナーサナ

このアーサナは、脚だけではなく、ウエストやお尻を引き締めるのにも効果的です。

ウッティタトリコナーサナのアーサナ

■やり方

1.足を大きく広げて立ちます。目安は両手を広げ、手のひらの真下に足がくるくらいです

2.右足先は正面、左足先は左に向け、両手を広げます

3.一度息を吸い、吐きながら骨盤を左に傾け、上体を左に倒します。このとき、上半身は力を抜くのではなく、上に伸びながら倒していきます

4.倒す範囲は、身体が柔らかい方は左手で足首を触るまで、ゆっくりと行いたい方は、膝を触るところまででも構いません。ご自身の心地いい場所で止め、深呼吸を5回ほど繰り返してください。このときの右手は、天井に向けて伸ばしましょう

5.深呼吸が終わったら、息を吸いながらゆっくりと起き上がります

パールシュヴァコナーサナ

パールシュヴァコナーサナのアーサナ

■やり方

1.足を大きく広げて立ちます。目安は両手を広げ、手のひらの真下に足がくるくらいです

2.右足先は正面、左足先は左に向け、両手を広げます

3.一度息を吸い、吐きながら左ひざを曲げます。このとき、かかとの真上に膝がくるようにゆっくりと曲げてください

4.もう一度息を吸い、吐きながら左に上体を倒し、左肘を曲げた膝の上に置きます。できる方は、写真のように手を背中に回しましょう

5.息を吸いながら、右手を頭の上に向かってゆっくりと回します。息を吐きながら、左脚から右手までが一直線になるようにし、心地いい場所で止め、深呼吸を5回ほど繰り返します

6.深呼吸が終わったら、息を吸いながらゆっくりと起き上がります

ヴィーラバドラーサナ

ヴィーラバドラーサナのアーサナ

■やり方

1.足を大きく広げて立ちます。目安は両手を広げ、手のひらの真下に足がくるくらいです

2.右足先は正面、左足先は左に向け、両手を広げます

3.一度息を吸い、吐きながら左ひざを曲げます。このとき、かかとの真上に膝がくるようにゆっくりと曲げてください

4.左のかかとが浮かないようにしっかりと床を踏みしめながら、深呼吸を5回ほど繰り返します

5.深呼吸が終わったら、息を吸いながらゆっくりと起き上がります

この3つのアーサナはいかがだったでしょうか? 試してみて、すでに内ももあたりに刺激がきていると感じてらっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。決して無理はせず、できる範囲で続けてみてください。

最後にチャレンジアーサナとして、少しハードなものをご紹介します。

ウッティタハスタパダングシュダーサナ

少しハードなアーサナです

■やり方

1.両足をそろえて立ち、右ひざを曲げて、人さし指・中指の2本で右足の親指を持ちます。持つときは足の親指、人さし指の間に手の指を入れて持ってください。そして左手は腰に添えます

2.息を吸いながら、無理のない範囲で右足の膝を正面に向かって伸ばします

3.息を吐きながらゆっくりと右脚を右に向けて開きます。顔は左に向け、深呼吸を5回ほど繰り返します

4.深呼吸が終わったら、息を吸いながらゆっくりと起き上がります

このポーズは上がっている脚に注意がいきがちですが、軸足を意識すると立ちやすくなります。ぜひチャレンジしてみてください。

すべてのアーサナは、今回紹介した向きと左右逆にもやると効果的なので、ぜひ左右をバランスよく鍛えてくださいね。

筆者プロフィール: 澤田亜紀(さわだ あき)

1988年10月7日、大阪府大阪市生まれ。関西大学文学部卒業。5歳でスケートを始め、ジュニアGP大会では、優勝1回を含め、6度表彰台に立った。また2004年の全日本選手権4位、2007年の四大陸選手権4位という成績を残している。2011年に現役を引退し、現在は母校・関西大学を拠点に、コーチとして活動している。

モデルプロフィール: 大濱文(おおはま あや)

ヨガインストラクター。主に「Studio+Lotus8」や「寺子親の和」などでヨガのレッスンを行っている。日常をつづったブログ「大濱文 Sukham Yoga スッカムヨガ日記」も随時更新中。